韓国ギャラップが4日に発表した文在寅(ムン・ジェイン)大統領の職務遂行調査で「うまくやっている」と回答したのは45%だった。大統領選挙前の最後の支持率調査で40%中盤台を記録したのだ。これは過去の大統領と比較しても圧倒的に優れた数値だ。韓国ギャラップが今まで実施した歴代大統領の任期最後の年の最後の四半期(5年目10-12月期)の職務遂行肯定率は金泳三(キム・ヨンサム)6%、金大中(キム・デジュン)24%、盧武鉉(ノ・ムヒョン)27%、李明博(イ・ミョンバク)24%だった〔任期を満了できなかった朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾直前の支持率は5%だった〕。「87年体制」の産物である5年単任制で大統領支持率の上高下低は不変の法則だった。与党から追い出されなければ幸いというほど執権後半期は冷遇されるのが常だった。
このような原理が文大統領によって破られることになったのだ。文大統領も支持率80%を上回る就任初期に比べると下方曲線を描いたのは事実だが、過去の下落幅とは著しく異なる。任期5年間の最も低い支持率が35%(韓国ギャラップ5年目1-3月期)にすぎず、大統領重任制なら十分に再任も可能な支持率推移を示した。任期末の支持率が暴落して退任後に不幸な大統領として記録されるのが帝王的大統領制の限界ではなかったか。これによって、大韓民国もこれまで待ち望んできた「成功した退任大統領」を輩出できるようになったということだろうか。
だが、気になるところがいくつもあって手放しには歓呼できない。まず、現職大統領支持率が40%を上回っているにもかかわらず、政権交代世論は政権延長より10%ポイント以上優位が続いている。野党大統領候補が文大統領を非難するのは政治構図上避けられないが、与党候補まで「間違っている、謝る」として損切モードだ。功罪を具体的に確認しても、点数を甘くつけることは容易ではない。不動産政策は与野党共に最悪という評価だ。就任初期から心血を注いでいた南北緊張緩和は、北朝鮮が今年に入りすでに9回のミサイルを撃ち、事実上原点に回帰した。所得主導成長と青瓦台(チョンワデ、大統領府)雇用状況板は何の便りもなくいつの間にか消えてなくなり、多数の反対にも脱原発に固執し続けた文大統領は先月突然「今後60年余り、原発を主力として活用しなければならない」と話して皆を戸惑わせた。そのうえ自慢だという「K防疫」までオミクロン株感染者が20万人を超えるなど、一日感染者数が世界最多水準を記録して色あせた。積弊清算? 果たして政敵除去以上の意味付けは可能だろうか。検察改革? 現在の高位公職者犯罪捜査処(公捜処)を見れば「改革」という単語を付けるのは顔が赤くなるほどだ。ところでなぜ支持率は40%を超えているのか。
解釈はいろいろだ。支持層はまず、文大統領の親戚・側近の不正がないという点を前面に出す。いくつかの雑音があったものの、実際の大型スキャンダルは大きく取り沙汰されることはなかった。現在の与野党候補よりも道徳的・情緒的比較優位が好感度を維持するのに作用したという評価もある。激しい感情を表に出さず、安定感を与え、仕事の虫のような一面を見せたという点も挙げられる。反面、正反対の解釈も少なくない。任期中は一貫して“陣営割り打ち”によって支持層の離脱を最小化した。蔚山(ウルサン)選挙介入、月城(ウォルソン)原発経済性操作、ライム・オプティマス事件から分かるように、側近の不正が消えたのでなく側近の不正を捜査できないようにした。「イベント政治」でイメージだけを良く見せようとしたなどなど。
その中でも最も辛らつな批判は「文大統領は国政を運営しなかったから支持率下落がない」という主張だ。国家の将来を真剣に考えるなら苦痛が伴い支持層の反発が起こる場合もある。盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領のイラク派兵や韓米FTA、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の年金改革推進などがその例だ。たとえ非難を受けても課題を推進しなければならないのが指導者の宿命だからだ。だが、文大統領は利害関係が衝突する複雑な懸案にはまず出ようとはしなかった。「汚水が跳ね返ってくるようなことには顔さえ出さなかった」ということだ。その代わり、独立活動家の遺骨送還や先端国防武器披露のような格好のよいことにはもれなく登場した。コロナ2年間、文大統領は「トンネルの出口が見える」とささやいたが、ワクチン需給などで問題が大きくなれば下々の者が出て謝らなければならなかった。いつでも美しい言葉や見栄えのいい場面は文大統領の取り分だった。結局、文在寅執権5年は選挙キャンペーンのような国政運営で綴られた5年だった。
このような苦言が文大統領にとっては「厳格に数値という客観的事実があるのに、なぜ揚げ足ばかりを取ろうとするのか」と言うかもしれない。実際、改憲が進んで権力構造が改編されれば文大統領は大韓民国史上最高支持率大統領として永久に記録される可能性がある。だが、記録が記憶として剥製になるわけではない。呪われた傑作が後世になって照明があたるように、同時代の人気がすべてではない。退く文大統領は、今後は支持率よりもはるかに冷厳な歴史的評価に直面することになった。
チェ・ミヌ/政治エディター
このような原理が文大統領によって破られることになったのだ。文大統領も支持率80%を上回る就任初期に比べると下方曲線を描いたのは事実だが、過去の下落幅とは著しく異なる。任期5年間の最も低い支持率が35%(韓国ギャラップ5年目1-3月期)にすぎず、大統領重任制なら十分に再任も可能な支持率推移を示した。任期末の支持率が暴落して退任後に不幸な大統領として記録されるのが帝王的大統領制の限界ではなかったか。これによって、大韓民国もこれまで待ち望んできた「成功した退任大統領」を輩出できるようになったということだろうか。
だが、気になるところがいくつもあって手放しには歓呼できない。まず、現職大統領支持率が40%を上回っているにもかかわらず、政権交代世論は政権延長より10%ポイント以上優位が続いている。野党大統領候補が文大統領を非難するのは政治構図上避けられないが、与党候補まで「間違っている、謝る」として損切モードだ。功罪を具体的に確認しても、点数を甘くつけることは容易ではない。不動産政策は与野党共に最悪という評価だ。就任初期から心血を注いでいた南北緊張緩和は、北朝鮮が今年に入りすでに9回のミサイルを撃ち、事実上原点に回帰した。所得主導成長と青瓦台(チョンワデ、大統領府)雇用状況板は何の便りもなくいつの間にか消えてなくなり、多数の反対にも脱原発に固執し続けた文大統領は先月突然「今後60年余り、原発を主力として活用しなければならない」と話して皆を戸惑わせた。そのうえ自慢だという「K防疫」までオミクロン株感染者が20万人を超えるなど、一日感染者数が世界最多水準を記録して色あせた。積弊清算? 果たして政敵除去以上の意味付けは可能だろうか。検察改革? 現在の高位公職者犯罪捜査処(公捜処)を見れば「改革」という単語を付けるのは顔が赤くなるほどだ。ところでなぜ支持率は40%を超えているのか。
解釈はいろいろだ。支持層はまず、文大統領の親戚・側近の不正がないという点を前面に出す。いくつかの雑音があったものの、実際の大型スキャンダルは大きく取り沙汰されることはなかった。現在の与野党候補よりも道徳的・情緒的比較優位が好感度を維持するのに作用したという評価もある。激しい感情を表に出さず、安定感を与え、仕事の虫のような一面を見せたという点も挙げられる。反面、正反対の解釈も少なくない。任期中は一貫して“陣営割り打ち”によって支持層の離脱を最小化した。蔚山(ウルサン)選挙介入、月城(ウォルソン)原発経済性操作、ライム・オプティマス事件から分かるように、側近の不正が消えたのでなく側近の不正を捜査できないようにした。「イベント政治」でイメージだけを良く見せようとしたなどなど。
その中でも最も辛らつな批判は「文大統領は国政を運営しなかったから支持率下落がない」という主張だ。国家の将来を真剣に考えるなら苦痛が伴い支持層の反発が起こる場合もある。盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領のイラク派兵や韓米FTA、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の年金改革推進などがその例だ。たとえ非難を受けても課題を推進しなければならないのが指導者の宿命だからだ。だが、文大統領は利害関係が衝突する複雑な懸案にはまず出ようとはしなかった。「汚水が跳ね返ってくるようなことには顔さえ出さなかった」ということだ。その代わり、独立活動家の遺骨送還や先端国防武器披露のような格好のよいことにはもれなく登場した。コロナ2年間、文大統領は「トンネルの出口が見える」とささやいたが、ワクチン需給などで問題が大きくなれば下々の者が出て謝らなければならなかった。いつでも美しい言葉や見栄えのいい場面は文大統領の取り分だった。結局、文在寅執権5年は選挙キャンペーンのような国政運営で綴られた5年だった。
このような苦言が文大統領にとっては「厳格に数値という客観的事実があるのに、なぜ揚げ足ばかりを取ろうとするのか」と言うかもしれない。実際、改憲が進んで権力構造が改編されれば文大統領は大韓民国史上最高支持率大統領として永久に記録される可能性がある。だが、記録が記憶として剥製になるわけではない。呪われた傑作が後世になって照明があたるように、同時代の人気がすべてではない。退く文大統領は、今後は支持率よりもはるかに冷厳な歴史的評価に直面することになった。
チェ・ミヌ/政治エディター
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