新型コロナウイルス新規感染者が２０万人を超える中で韓国政府が社会的距離確保の早期緩和を示唆した。１３日まで続く現行の「私的会合６人・営業時間夜１０時」の制限を早期に解除すると予告したのだ。感染者数と死亡者数が連日最多を記録するなど防疫指標が改善していない状況で、大統領選挙を１週間前にしたタイミングで政府が突然社会的距離確保緩和のカードを切り議論が起きている。

中央災害安全対策本部は２日から２日間にわたり医療界、自営業者団体、地方自治体などの意見を取りまとめ、日常回復支援委員会全体会議を相次ぎ開いて社会的距離確保調整案を議論すると明らかにした。早ければ４日午前に金富謙（キム・ブギョム）首相主宰で開かれる中央災害安全対策本部会議で最終確定、発表されるものとみられる。

中央事故収拾本部の孫映莱（ソン・ヨンレ）社会戦略班長はこの日の会見で、「オミクロン株の速い感染力を考慮すると、流行拡散遮断に向けた社会的距離確保強化の効率性は落ちるとみている。現在としては感染者そのものを抑制するよりは、重症・死亡を最小化するための管理に注力し、実質的被害を最小化することに注力している」と明らかにした。また、「きょうとあす、日常回復支援委員会と傘下の防疫医療分科委員会を開き、現在の防疫状況に対する評価と社会的距離確保調整の必要性に対する意見を取りまとめる予定。防疫医療分科委員会の専門家をはじめ関係官庁と自治体、自営業、小商工人などのさまざまな意見を広く聞いて議論したい」と話した。


これに先立ち金首相もこの日午前の中央災害安全対策本部会議で「社会的距離確保に対して現在の防疫状況を綿密に分析しオミクロン株対応目標の観点から調整の必要性に対する議論を集めていくようにする」として社会的距離確保調整の可能性を示唆した。

ある政府関係者は「私的会合の制限は大きな意味がなくなった状況で増やすことに異論はあまりなく、営業時間制限を延長する案をめぐって激論が行き来している」と伝えた。経済官庁の要求が激しかったという。「８人・１１時」「１０人・１２時」」などの案が有力に議論されているという。また、別の政府関係者は「現在の流行のピークが大統領選挙日前後と予想されるが、重症患者は２～４週間後の推移を見なければならない。現状で重症患者が最大２５００人出ると予測され、２３００～２５００人までは対応可能だ。しかしここで『１０人・１２時』と緩和すれば重症患者が最小１０％程度は増え、医療対応の限界を上回りかねず不安だ」と話した。

防疫当局はこれに先立ち感染者に対する疫学調査と濃厚接触者に対する隔離を中断し、防疫パスを廃止した。これに加えて社会的距離確保まで大幅に緩和されれば事実上マスク着用以外のすべての防疫措置が解除されることになる。

感染力は強く毒性は弱いオミクロン株の特性を考慮すると近く出口戦略を用意しなくてはならないということに多くの専門家が同意する。だがタイミングが問題だ。最近感染拡大傾向が鈍化してはいるが、今月中に１日の感染者数が３５万人を超えるだろうという見通しが出ている。まだ感染拡大傾向が続いておりピークに達していない。また、感染者数が爆発的に増加し致死率はこれに反比例して徐々に低くなっているが、死亡者数は連日過去最多を記録している。


突然日程を前倒し…韓国大統領選挙前の社会的距離確保緩和に「政治防疫賭博」（２）