ソチオリンピック(五輪)直後、フィギュアコーチのエテリ・トゥトベリーゼに勲章を直接授与したプーチン大統領。トゥトベリーゼが本人のインスタグラムに投稿した写真。[写真 エテリ・トゥトベリーゼ インスタグラム]
ソチの次の2018年平昌(ピョンチャン)五輪でもトゥトベリーゼが育てたアリーナ・ザギトワ選手が金メダル、エフゲニア・メドベージェワ選手が銀メダルを首にかけた。国際スケート連盟(ISU)は2020年トゥトベリーゼを「今年のコーチ」に選定して賞を与えたこともある。そのようなトゥトベリーゼが20日に閉幕した北京冬季五輪で「虐待のアイコン」になった。有望株だったがドーピング疑惑が浮上し、結局演技中に数回転倒して4位に留まったカミラ・ワリエワ選手のコーチだったためだ。競技直後に泣いて戻ってきた15歳の少女ワリエワにトゥトベリーゼが「なぜあきらめたのか」と言って責める場面は全世界に生中継された。トゥトベリーゼが10代前半の青少年有望株に対して薬物投与および極端な食事制限などを併用してトレーニングしてきた事実も明らかになった。
それでもロシアは政府も民間も「ワリエワは英雄」としながらトゥトベリーゼの肩を持つような雰囲気だ。メダルの数と色を国力の誇示と見なす雰囲気も相変わらずだ。トゥトベリーゼがワリエワに「なぜ戦うのを止めたのか」と責めたのは、競技をすなわち「他の人を押しのけて勝つべき戦い」としてのみ認識している証拠でもある。