韓国の公正取引委員会（公取委）が電気自動車（ＥＶ）大手テスラに対する制裁手続きに入った。電気自動車の販売でバッテリーの性能を誇張し、消費者の選択に不当な影響を及ぼしたという判断のためだ。公取委はテスラが手数料を払い戻さない行為に対しても制裁する予定だ。

公取委と業界によると、最近、表示広告法違反の疑いでテスラコリアに対する審査報告書が発送された。寒い天気ではバッテリー性能が落ち、電気自動車の走行距離が急減するが、これを消費者に知らせなかったという内容だ。１年半にわたり調査をした公取委は天気によりバッテリー効率が約４０％まで落ちると判断した。

テスラは自社のホームページで、主要車種モデル３ロングレンジを紹介しながら「１回充電で５２８キロ走行可能」と表示した。テスラによると、モデルＹの最大走行距離は５１１キロ。しかし低温で走行距離がどれほど減少するかなどは表示していない。


天気が寒くなればバッテリーイオンの動きが鈍る。内部の抵抗が大きくなり、常温よりバッテリーが早く消耗するため、走行距離は短くなるしかない。業界関係者は「二次電池は温度の変数に大きな影響を受ける」とし「低温でバッテリーの耐久性は落ちないが、電力の減少は避けにくい」と説明した。

公取委はテスラが広告で天気による走行距離減少を十分に表示していないと見なした。実際、テスラのモデル３パフォーマンスの場合、１回の充電で４１４．８キロ走行するが、マイナス７度以下（低温）では走行距離が２５０．８キロに減少する。モデル３ロングレンジの場合、常温と低温での走行距離の差が３８．８％にのぼる。

これに関連し公取委は全員会議を開き、テスラに対する制裁の程度を決定する予定だ。表示広告法違反には相対的に課徴金金額が少ない定額課徴金が科される場合が多いが、テスラに対してはこれより制裁の程度が強まる可能性もある。電気自動車は政府の購買補助金が出るため販売者の責任が大きい。

関連売上高に一定比率を掛けて計算する定率補助金賦課決定が出る可能性もあるというのが公取委の説明だ。テスラの国内売上高が兆ウォン単位であるだけに１％の課徴金でも１００億ウォン（約１０億円）以上となる。

一方、公取委はテスラがオンライン車両購買をキャンセルした消費者に１０万ウォンの注文手数料を払い戻さなかったことに対しても過怠金を科す方針だ。テスラは消費者がインターネットで電気自動車を購入する場合に注文手数料を受けるが、期間内に注文を取り消しても手数料を払い戻さなかった。