◆ジェンダー葛藤よりも大きな反中感情
葛藤の素材が文化アイデンティティであるため、中国に対する反感が自然に政治的なものにつながる。各種オンライン掲示板を見ると、香港・台湾・新疆ウイグル・南シナ海など中国に関連した葛藤事案で中国を糾弾するコメントをすぐに見つけることができる。韓国で最も激烈な論争の種であるジェンダー葛藤も中国問題の前では収まるほどだ。
このため、最近韓国政府と与党が北京冬季五輪を巡って見せている態度に対し、オンライン掲示板に漂う違和感を感知するのはそう難しいことではない。中国との関係を考えるとき、韓国が他の西側諸国のように外交的ボイコットを甘受すべきかどうかについては今も賛否がある。問題は文在寅(ムン・ジェイン)政府が北京五輪を終戦宣言の舞台程度にしか考えていなかったところにある。西側の外交的ボイコットを真剣に考慮したのかさえ疑わしい。そうでなければ崔鍾建(チェ・ジョンゴン)外交部次官が「(ボイコット国の選手たちが)寂しそうだ」などという不適切な発言をするわけがない。
特に与党である共に民主党議員の「発言の不在」は珍しい。政府がそれなりの計算でボイコットに不参加を決めたとしても、国会からは中国に対する批判的な声が出てくるべきだ。過去の冷戦期、米政府は韓国の軍事政府を支持したが、米下院では鋭い批判と監視を緩めなかった。国力差を考慮しても韓国の与党はおかしなほど中国に対する批判的声が小さい。
多くの青年が中国の脅威を肌で感じているが、国民を代表しているはずの政治家がそのような不満を全く代弁しないため、違和感と不信を感じるほかない。その不信はおそらく「その世代がなぜそこまで中国が好きなのか」という質問につながったのだろうと思う。
このような話をすると、当然中国との経済関係をはじめとする「実利」が引き合いに出される。要するに、青年層は実利を知らないということだ。だが、民主党は不思議なことに、米国と日本に相対するときはまさに実利を脇に置く。「実利を理由に原則を譲歩することはできない」と声を高める。ハリー・ハリス元駐韓米大使が文在寅政府の対北政策に懸念を表わすと、民主党議員は先を争ってハリス大使を批判した。ここには「大使が朝鮮総督のように振る舞っている」という侮辱的発言も含まれていた。
韓日貿易戦争を触発した徴用工補償判決でも「歴史問題に関する原則的事案であり司法府の固有判断」と触れるにとどまった。米国と日本は、中国と同じ「実利」を提供することはできないということか。
◆中国だけに寛容な執権勢力のダブルスタンダード
西側と中国に対して見せるこのようなダブルスタンダードのために「原則より実利」という民主党の釈明はつじつまが合わず言葉に詰まるほかない。事実、冷戦期の米国のように政府、議会、市民社会が原則と実利を巡って意見を統一させる理由はない。原則を堅持しながらも最大限実利を追求することができるように、議会と市民社会がさまざまな意見を提示して政府はこれを調整して政策を推進し、政治的責任を負えばよいことだ。だが、朴炳錫(パク・ビョンソク)国会議長(共に民主党)が北京五輪祝賀使節代表団として訪問するところを見ても、今の国会はかえって中国に対する批判要求をどうにかして回避するように手助けする手段になったようだ。もちろん野党も責任を避けることはできない。中国の自由主義国際秩序に対する挑戦、韓国の地位と責任という脈絡で、中国に中途半端な与党と真剣に意見を戦わせた記憶がないから呈する言葉だ。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)「国民の力」大統領候補の「青年たちのほとんどが中国を嫌っている」という発言を巡り、民主党のカン・ソナ報道官は「妄言が国境を越える」と批判した。だが、該当の発言が軽率だったこととは別個に、青年層の反中感情を否定することはできない。オンラインでリアルタイムでぶつかる文化戦線を覆い隠すことはできない。
だが、すでに存在している反中感情をないかのように無視し、「実利」を前面に出して何も言うことができない状況は心配だ。韓流の拡散と中国の崛起という流れを見るとき、韓国大衆文化を巡るオンライン文化戦争は今後激化こそすれ、短期間に収まる兆しは見られない。青年層の中国に対する警戒心が政治全般に対する不信を植え付け、さらには中国と中国人に対する憎しみに広がるなら? すでに手元に届いた請求書に対してどのように耐えようと考えて民主党はこのように手を離したのか、不思議に思いつつも懸念せざるをえない。
イム・ミョンムク/ソウル大学院生
【私は告発する】民主党議員の皆さん、青年の目には中国が嫌いではないほうがおかしいです=韓国(1)
葛藤の素材が文化アイデンティティであるため、中国に対する反感が自然に政治的なものにつながる。各種オンライン掲示板を見ると、香港・台湾・新疆ウイグル・南シナ海など中国に関連した葛藤事案で中国を糾弾するコメントをすぐに見つけることができる。韓国で最も激烈な論争の種であるジェンダー葛藤も中国問題の前では収まるほどだ。
このため、最近韓国政府と与党が北京冬季五輪を巡って見せている態度に対し、オンライン掲示板に漂う違和感を感知するのはそう難しいことではない。中国との関係を考えるとき、韓国が他の西側諸国のように外交的ボイコットを甘受すべきかどうかについては今も賛否がある。問題は文在寅(ムン・ジェイン)政府が北京五輪を終戦宣言の舞台程度にしか考えていなかったところにある。西側の外交的ボイコットを真剣に考慮したのかさえ疑わしい。そうでなければ崔鍾建(チェ・ジョンゴン)外交部次官が「(ボイコット国の選手たちが)寂しそうだ」などという不適切な発言をするわけがない。
特に与党である共に民主党議員の「発言の不在」は珍しい。政府がそれなりの計算でボイコットに不参加を決めたとしても、国会からは中国に対する批判的な声が出てくるべきだ。過去の冷戦期、米政府は韓国の軍事政府を支持したが、米下院では鋭い批判と監視を緩めなかった。国力差を考慮しても韓国の与党はおかしなほど中国に対する批判的声が小さい。
多くの青年が中国の脅威を肌で感じているが、国民を代表しているはずの政治家がそのような不満を全く代弁しないため、違和感と不信を感じるほかない。その不信はおそらく「その世代がなぜそこまで中国が好きなのか」という質問につながったのだろうと思う。
このような話をすると、当然中国との経済関係をはじめとする「実利」が引き合いに出される。要するに、青年層は実利を知らないということだ。だが、民主党は不思議なことに、米国と日本に相対するときはまさに実利を脇に置く。「実利を理由に原則を譲歩することはできない」と声を高める。ハリー・ハリス元駐韓米大使が文在寅政府の対北政策に懸念を表わすと、民主党議員は先を争ってハリス大使を批判した。ここには「大使が朝鮮総督のように振る舞っている」という侮辱的発言も含まれていた。
韓日貿易戦争を触発した徴用工補償判決でも「歴史問題に関する原則的事案であり司法府の固有判断」と触れるにとどまった。米国と日本は、中国と同じ「実利」を提供することはできないということか。
◆中国だけに寛容な執権勢力のダブルスタンダード
西側と中国に対して見せるこのようなダブルスタンダードのために「原則より実利」という民主党の釈明はつじつまが合わず言葉に詰まるほかない。事実、冷戦期の米国のように政府、議会、市民社会が原則と実利を巡って意見を統一させる理由はない。原則を堅持しながらも最大限実利を追求することができるように、議会と市民社会がさまざまな意見を提示して政府はこれを調整して政策を推進し、政治的責任を負えばよいことだ。だが、朴炳錫(パク・ビョンソク)国会議長(共に民主党)が北京五輪祝賀使節代表団として訪問するところを見ても、今の国会はかえって中国に対する批判要求をどうにかして回避するように手助けする手段になったようだ。もちろん野党も責任を避けることはできない。中国の自由主義国際秩序に対する挑戦、韓国の地位と責任という脈絡で、中国に中途半端な与党と真剣に意見を戦わせた記憶がないから呈する言葉だ。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)「国民の力」大統領候補の「青年たちのほとんどが中国を嫌っている」という発言を巡り、民主党のカン・ソナ報道官は「妄言が国境を越える」と批判した。だが、該当の発言が軽率だったこととは別個に、青年層の反中感情を否定することはできない。オンラインでリアルタイムでぶつかる文化戦線を覆い隠すことはできない。
だが、すでに存在している反中感情をないかのように無視し、「実利」を前面に出して何も言うことができない状況は心配だ。韓流の拡散と中国の崛起という流れを見るとき、韓国大衆文化を巡るオンライン文化戦争は今後激化こそすれ、短期間に収まる兆しは見られない。青年層の中国に対する警戒心が政治全般に対する不信を植え付け、さらには中国と中国人に対する憎しみに広がるなら? すでに手元に届いた請求書に対してどのように耐えようと考えて民主党はこのように手を離したのか、不思議に思いつつも懸念せざるをえない。
イム・ミョンムク/ソウル大学院生
【私は告発する】民主党議員の皆さん、青年の目には中国が嫌いではないほうがおかしいです=韓国(1)
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