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【コラム】歴史は政権安保用なのか=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
文在寅(ムン・ジェイン)政権を通じて韓日関係はどん底にはまったままだった。文政権は朴槿恵(パク・クネ)政府の韓日慰安婦合意を事実上白紙化したことに続き、大法院(最高裁に相当)の強制徴用被害者賠償判決を支持した。両国関係は破綻した。任期満了まで3カ月ほどとなった今、日帝強占期の朝鮮人強制労役の現場である佐渡金山の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産登録問題は外交戦に飛び火した。韓日政府はそれぞれタスクフォース(TF)チーム(作業部会)を構成して登録の実現とその反対に向けて突き進んでいる。

佐渡金山問題は日本政府が偏狭に処理した可能性が高い。日帝強占期に朝鮮人が佐渡金山で強制労役に動員された歴史的事実があるにもかかわらず、日本政府は江戸時代(1603~1868年)に期間を限定して世界遺産の登録を申請し、朝鮮人強制労役が含まれた明治時代(1868~1912年)以降は除外した。日本政府は2015年端島(別名軍艦島)炭鉱の世界文化遺産登録の前提条件として強制労役に関連した歴史的事実を知らせると約束しながら今まで履行しないでいる。

佐渡金山問題は韓日関係の現状を私たちに教えてくれる。韓日関係が円満で交流・協力が円滑だったなら、両国は疎通チャネルを稼動して大事になる前に問題を落ち着かせていたはずだ。しかし、両国政府は葛藤を解決する疎通窓口や政治意志がない状態だ。国民感情をあおり、国際舞台で一戦交えようという勢いだ。


日本は安倍政権以降右傾化し、韓日関係の悪化を放置している。両国関係の悪化が日本国内の民族主義勢力を結集させて執権自民党の支持につながっている。日本右翼政治家の民族主義の刺激で日本人の反韓感情も深まった。自民党最大派閥の細田派(現・安倍派)の実質的首長である安倍晋三元首相は佐渡金山登録に関連して「(韓国側に)歴史戦を挑まれている以上、避けることはできない」と主張してもいる。

日本の右傾化には文政権にも一部責任がある。文政権は被害者中心主義を全面に出して韓日慰安婦合意を事実上白紙化したが、慰安婦被害者に対する実質的な支援はほとんどしなかった。これは韓日歴史問題を陣営論理で裁き、反日感情を煽って支持基盤を固めようとする狙いが根底にあったのではないかという疑いをもたせた。

日本右翼政治家は日本国民の民族主義志向を刺激するために文政権の反日感情を利用した。韓国の反日感情と日本の反韓感情が互いに負のスパイラルを作り出す悪循環に陥った。

文政権の歴史解釈は中国政府の被害主義歴史観と一脈相通じる。上海のある専門大学の教師は昨年12月、授業中に「1937年南京大虐殺時、旧日本軍が30万人の中国人を虐殺したという主張は証拠が足りない」と話して解職された。その後、該当教師の解職が不当だと主張した女性教師が精神病院に監禁された。南京大虐殺の死亡者は、少ないもので2万人、多いものになると30万人と実に幅がある。

2人の教師は南京大虐殺死亡者30万人という中国政府の歴史解釈に問題を提起して圧迫を受けた。中国政府は南京大虐殺が日帝の残虐行為を示す事件だと宣伝している。特に習近平政権に入り、南京大虐殺とアヘン戦争は中国の「恥辱の世紀」を象徴し、これ以上外国勢力から屈辱を受けないように中国が再浮上しなければならないという習主席の論理を支えている。

このような歴史観は敵を必要とする。歴史に足をひっぱられれば未来を約束することはできない。韓国が隣国の日本の協力なくして繁栄し、経済力に見合った国際地位を手に入れることはできるだろうか。韓日は自由民主主義・人権・市場経済など価値と利益を共有する。北核問題や韓半島(朝鮮半島)平和のためにも日本の協力は不可欠だ。歴史や領土問題は韓日関係の障害物だ。しかしビジョンを持った指導者は韓日がウィンウィンの道を探すことができる。1998年当時、金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相は「韓日パートナーシップ共同宣言」を通じて歴史認識を共有して未来志向的に進む土台を用意した。

今年5月になれば新政府が発足する。新しい大統領は歴史を国内政治に利用しようとする誘惑から抜け出さなければならない。陣営論理に伴う歴史解釈は、結局、国民がその負担を負うことになる。新政府は執権後直ちに韓日関係をどん底に突き落とした強制徴用問題で日本が敏感に思う日本企業資産現金化を猶予し、対話・協力の雰囲気を盛り上げていかなくてはならない。指導者の政治力が韓日関係を左右する。

チョン・ジェホン/国際外交安保エディター



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