◆政府要職にコメディアンの同僚…スパイも釈放
政治経歴が皆無に等しいゼレンスキー大統領が現在のウクライナ事態の元凶であるわけではない。しかし、2019年執権以降、国政首班としての彼の言動はアマチュアから抜け出すことができなかったというのが大体の評価だ。特に専門性を持っている内閣を構成するのではなく、政府要職に知り合いやコメディアン仲間を大勢座らせた点が批判されている。
先月、ニューヨーク・タイムズ(NYT)はゼレンスキー大統領が執権してから、政府の主な要職にテレビ番組製作会社「クヴァルタール95スタジオ」所属のかつての同僚やその一家・親戚を配置していると伝えた。現状況で最も重要な部署といえる外交と国防関連の職務にも俳優や演出家を置いているとしながらだ。
特にクヴァルタール95スタジオの代表監督だったイヴァン・バカノフ国家情報局長が国家情報局要員によって摘発されたウクライナ内のロシアスパイ2000人余りを釈放したことはウクライナの安全保障に致命的だったという評価だ。ロシアから金銭的な見返りを受けるということがバカノフ氏の構想だったが、近代以来スパイ・秘密工作で悪名を轟かせてきたロシアスパイを放免したのはゼレンスキー内閣の安易な安保意識を如実に見せたものだった。一部ではウクライナ政府が要求した金も受けることができなかったと言われている。
これに先立ち、ドミトロ・ラズムコフ前下院議長は「ウクライナ政治はまるで一つのコメディホラードラマ同然」とし「専門家がいない政府、外交官がいない外交部、将軍がいない軍指揮部がいつ崩壊するのか誰も分からない」と批判した。
ゼレンスキー大統領は個人蓄財の疑いももたれている。昨年10月、国際調査ジャーナリスト協会(ICIJ)が公開した「パンドラ文書」はゼレンスキー大統領がタックス・ヘイヴン(租税回避地)にペーパーカンパニー(書類上だけで存在する会社)を設立して巨額の財産を隠匿して脱税してきたという疑惑を暴いた。大統領選挙の時から雑音が多かったウクライナの金融財閥であるイゴール・コロモイスキー氏との癒着関係にあるという疑問も解消することができずにいる。
◆ウクライナのないウクライナ会談から打開するべき
ゼレンスキー大統領は大統領候補だった当時、「ドンバス地域問題を解決するためにそう多くの時間はかからない」としながら「ウラジーミル・プーチン大統領と直接対話する」という抱負を明らかにした。2014年のクリミア半島事態以来、最大の危機状況であるにもかかわらず、ウクライナはロシアの「交渉相手」として待遇されない境遇だ。今月10日の米国・ロシア間の高官会談の時も、12日北大西洋条約機構(NATO)とロシアの会談の時もウクライナがその中に入る隙間はなかった。13日、オーストリア・ウィーンで開かれた欧州安全保障協力機構(OSCE)とロシアの会談になんとか参加したものの、成果なしで終わった。先月末からゼレンスキー大統領はロシアと個別に外交的議論を推進しているが、プーチン大統領は米国でなければ見向きもしない姿勢で応酬している。
ゼレンスキー大統領は19日に国民向け演説を通じてロシアの脅威に対するニュースに「慌てるな」と呼びかけた。ゼレンスキー大統領は「戦争は8年間続いている」とし「我々はすべてのことを知って準備ができている。(しかし)それが必要ないように最善を尽くしている」と述べた。
国民の動揺と混乱を落ち着かせるための言葉だとしても、実際に大統領の現実認識がそうなのはないかと懸念されているのも事実だ。軍事専門家はロシアが総攻勢を開始する場合、ウクライナ東部軍は30~40分しか耐えられないと予想する。2014年ロシアのクリミア半島併合以降、米国とNATOが25億ドル(約2850億円)相当の武器を支援したが、ウクライナの戦力はロシアとは比較相手にならない。
ゼレンスキー大統領は当選当時、支持者に対して「失望させない。我々は何でもできる」と述べた。ウクライナ国民はドラマ『国民のしもべ』で私欲のない政治、堂々とした外交を行う主人公に期待をかけてゼレンスキーを選んだが、現実は「ドラマは所詮ドラマにすぎない」方向に流れている。
ロシアが攻め込もうとしているのに…コメディアン出身のウクライナ大統領のとんちんかんな行動(1)
政治経歴が皆無に等しいゼレンスキー大統領が現在のウクライナ事態の元凶であるわけではない。しかし、2019年執権以降、国政首班としての彼の言動はアマチュアから抜け出すことができなかったというのが大体の評価だ。特に専門性を持っている内閣を構成するのではなく、政府要職に知り合いやコメディアン仲間を大勢座らせた点が批判されている。
先月、ニューヨーク・タイムズ(NYT)はゼレンスキー大統領が執権してから、政府の主な要職にテレビ番組製作会社「クヴァルタール95スタジオ」所属のかつての同僚やその一家・親戚を配置していると伝えた。現状況で最も重要な部署といえる外交と国防関連の職務にも俳優や演出家を置いているとしながらだ。
特にクヴァルタール95スタジオの代表監督だったイヴァン・バカノフ国家情報局長が国家情報局要員によって摘発されたウクライナ内のロシアスパイ2000人余りを釈放したことはウクライナの安全保障に致命的だったという評価だ。ロシアから金銭的な見返りを受けるということがバカノフ氏の構想だったが、近代以来スパイ・秘密工作で悪名を轟かせてきたロシアスパイを放免したのはゼレンスキー内閣の安易な安保意識を如実に見せたものだった。一部ではウクライナ政府が要求した金も受けることができなかったと言われている。
これに先立ち、ドミトロ・ラズムコフ前下院議長は「ウクライナ政治はまるで一つのコメディホラードラマ同然」とし「専門家がいない政府、外交官がいない外交部、将軍がいない軍指揮部がいつ崩壊するのか誰も分からない」と批判した。
ゼレンスキー大統領は個人蓄財の疑いももたれている。昨年10月、国際調査ジャーナリスト協会(ICIJ)が公開した「パンドラ文書」はゼレンスキー大統領がタックス・ヘイヴン(租税回避地)にペーパーカンパニー(書類上だけで存在する会社)を設立して巨額の財産を隠匿して脱税してきたという疑惑を暴いた。大統領選挙の時から雑音が多かったウクライナの金融財閥であるイゴール・コロモイスキー氏との癒着関係にあるという疑問も解消することができずにいる。
◆ウクライナのないウクライナ会談から打開するべき
ゼレンスキー大統領は大統領候補だった当時、「ドンバス地域問題を解決するためにそう多くの時間はかからない」としながら「ウラジーミル・プーチン大統領と直接対話する」という抱負を明らかにした。2014年のクリミア半島事態以来、最大の危機状況であるにもかかわらず、ウクライナはロシアの「交渉相手」として待遇されない境遇だ。今月10日の米国・ロシア間の高官会談の時も、12日北大西洋条約機構(NATO)とロシアの会談の時もウクライナがその中に入る隙間はなかった。13日、オーストリア・ウィーンで開かれた欧州安全保障協力機構(OSCE)とロシアの会談になんとか参加したものの、成果なしで終わった。先月末からゼレンスキー大統領はロシアと個別に外交的議論を推進しているが、プーチン大統領は米国でなければ見向きもしない姿勢で応酬している。
ゼレンスキー大統領は19日に国民向け演説を通じてロシアの脅威に対するニュースに「慌てるな」と呼びかけた。ゼレンスキー大統領は「戦争は8年間続いている」とし「我々はすべてのことを知って準備ができている。(しかし)それが必要ないように最善を尽くしている」と述べた。
国民の動揺と混乱を落ち着かせるための言葉だとしても、実際に大統領の現実認識がそうなのはないかと懸念されているのも事実だ。軍事専門家はロシアが総攻勢を開始する場合、ウクライナ東部軍は30~40分しか耐えられないと予想する。2014年ロシアのクリミア半島併合以降、米国とNATOが25億ドル(約2850億円)相当の武器を支援したが、ウクライナの戦力はロシアとは比較相手にならない。
ゼレンスキー大統領は当選当時、支持者に対して「失望させない。我々は何でもできる」と述べた。ウクライナ国民はドラマ『国民のしもべ』で私欲のない政治、堂々とした外交を行う主人公に期待をかけてゼレンスキーを選んだが、現実は「ドラマは所詮ドラマにすぎない」方向に流れている。
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