韓国陸軍1師団都羅(ドラ)OP鉄柵に科学化警戒システム構築の一環として光網が設置されている。光網は鉄柵に設置する網形の感知装備だ。[写真 共同取材団]
国防部関係者はこの日、記者団と会い、民間人統制線一帯の監視カメラ映像を通じて越北者の容貌や身なりを識別した結果、2020年11月に脱北して韓国側に亡命した人物と同一人だと判断したと明らかにした。
これに先立って江華島(カンファド)へ泳いで38度線を越えた脱北民が3年余り後の2020年7月に海兵隊第2師団の警戒網を突破して江華島から泳いで越北する事件が発生し、軍は大きな非難を受けた。
◆「再入北が憂慮される」二度の諜報にも…ソウル警察庁、何の措置もなく
当時、韓国軍は再発防止を約束したが、今回同じ事件が再び起きた。特に今回の越北事件が発生した場所は警戒の失敗が頻繁に起きる陸軍第22師団の管轄地だったため、軍内からですら「規律の弛緩が深刻」という批判が出ている。
複数の軍消息筋によると、キムさんは今回も事実上同じ手法と経路で越北に成功した。ある消息筋は「キムさんは江原道高城郡(カンウォンド・コソングン)統一展望台付近のGOP(一般前哨)鉄柵を、自分の家に出入りするかのように2度も越えた」とし「南下する時は内陸側のGOP西側鉄柵を、北上する時は東海(トンへ、日本名・日本海)岸側のGOP東側鉄柵を越えた」と話した。
同じ経路を2度も、しかもそれを知りながら突破された国防部の関係者は関連する質問に「柵越え経路などについては、現在、戦備態勢検閲団が調査中なので後ほどお伝えする」と答えるにとどまった。
越南当時、キムさんは3メートルを越える鉄柵を一気に跳び越えて話題になった。キムさんは身長が低く、体重も50余キロの小柄な体格だった。キムさんは亡命以降、関連機関の合同尋問過程で「学校に通っていた時に器械体操を習った」と話していたことが分かった。当時、当局はキムさんの陳述を検証するために二度試演させたという。
キムさんの2度の柵越え過程で警戒の穴は深刻だった。越南当時には、警戒網が突破された事実を一歩遅れて知った韓国軍が、兵力を動員しながらも14時間かかってようやくキムさんの身柄を確保することができた。今回も軍はキムさんが鉄条網を越えた事実を3時間ほど遅れて発見した。光網(鉄条網感知センサー)警報アラームが鳴るなど科学化警戒システムが正常稼動していたにも関わらず、監視カメラ監視兵がこれを見逃し、初動出動した兵力も「異常なし」とした。
さらに事件一日前、元仁哲(ウォン・インチョル)空軍合同参謀議長は各級部隊に通達した新年の挨拶で「平時警戒作戦の完全性を備えて敵の挑発を抑制すること」「基本と原則に忠実に従うこと」などを強調したが、このような言葉は面目を失うことになった。
新年の鉄柵越北者は一昨年「ジャンプ亡命」した器械体操経歴ある30代男性=韓国(2)
この記事を読んで…