24日に北京五輪「外交的ボイコット」方針を明らかにした松野博一官房長官
来年が日中国交正常化50周年であるうえ、直前の夏季五輪開催国として政府高官級が誰も出席しないのは適切でないというのが、岸田政権内の雰囲気だった。外交的ボイコットの名分である中国の人権問題に対し、日本政府が制裁決議案に賛同しなかったという点も指摘された。したがって、今年7月の東京夏季五輪に中国から苟仲文国家体育総局長が訪日しただけに、政府組織上閣僚でないスポーツ庁の室伏広治長官(元ハンマー投げ選手)を派遣する案が検討された。
しかし24日に日本政府が発表した最終結論は「政府関係者は一人も派遣しない」だった。前日、岸田首相は安倍元首相の議員会館事務室を訪れた。共同通信は「安倍元首相がこの席で外交的ボイコットを早期に表明することを要求したとみられる」と伝えた。北京五輪に政府使節団が1人でも行けば中国の人権弾圧を容認することになり、国際社会に誤ったメッセージを与えるという理由からだ。
安倍元首相と政治的性向が似た自民党の佐藤正久外交部会会長も「ある意味(外交的ボイコットはしないと)態度を表明している韓国の方が立派」とし、政府の立場発表を遅らせる岸田首相に圧力を加えた。自民党の外交部会と外交調査会は林芳正外相に23日、外交的ボイコットの早期表明を要求する文書を提出した。
日本政界では、安倍元首相ら自民党内の強硬派の圧力に岸田首相一人では対抗できなかったという解釈が出ている。さらに現在推進しているバイデン米大統領との就任後最初の首脳会談を意識せざるを得なかったという分析もある。
共同通信は「人権問題を理由に外交ボイコットを発表した米国や英国と協調する姿勢を示した形」とし「ただ、中国との関係を考慮して首相が直接発表せず、官房長官が発表する形をとった」と指摘した。
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