人権と民主主義を媒介に対中攻勢を強化する米国と、これに反発する中国の間で、韓国の外交の軸が中国側に傾く兆候が表れている。香港・台湾問題と北京オリンピック(五輪)など中国の「核心利益」をめぐる米中対立事案について、韓国が沈黙を越えて中国側に同調するような姿を見せながらだ。
最近、米中対立様相が表面化した北京冬季五輪「外交的ボイコット」および香港立法会議員選挙に関連し、韓国政府は言葉を控えて中国を刺激しないよう配慮する姿だ。韓国外交部の崔英森(チェ・ヨンサム)報道官は16日の定例記者会見で、北京五輪に対する外交的ボイコットの理由となった新疆ウイグル自治区の人権問題に関連し「普遍的価値として人権と民主主義を重視する」としながらも「外交的ボイコットは検討していない」と一線を画した。
また、事実上、中国の事前検閲下で進行された香港立法会選挙について「関連の動向は関心を持って見守っている」(21日の定例記者会見)という原則的な答弁で一貫した。選挙に対する判断や評価はなかった。先月のニカラグア大統領選挙に対しては質問が出る前から論評を出し「自由かつ公正で透明な形で実施されなかったことを強く懸念する」という立場を表明したが、温度差が明確に感じられる答弁だった。
◆行事当日に「招待キャンセル」…「中国意識」がもたらした外交欠礼
大統領直属の第4次産業革命委員会は16日の政策カンファレンスに台湾閣僚級の唐鳳(オードリー・タン)政務委員(デジタル担当)を講演者として招請しておきながら、行事当日に突然これをキャンセルしたのは、中国を意識したものだという分析が出ている。唐鳳政務委員の講演中止事態について、外交部は21日、「諸般状況を総合的に検討して決定したものと聞いている」とだけ説明した。
ただ、台湾外交部は台湾中央通信社に「韓国側が『両岸関係の各側面に対する考慮』を招待キャンセルの理由と明らかにした」と説明した。台湾外交部の主張が事実なら、韓国は中国が唐鳳政務委員の講演に強く反応する可能性があるという点を考慮し、外交欠礼を犯しながら招請をキャンセルしたということだ。
◆米国、人権・民主主義を前に出して対中圧力
米国は最近、北京五輪と台湾・香港問題で中国と激しく対立している。米ホワイトハウスは北京五輪に対する外交的ボイコットの背景に新疆ウイグル自治区の人権侵害問題があることを明示したほか、20日にはウズラ・ゼヤ国務次官(民間人保護・民主主義・人権担当)をチベット問題担当特別調整官に任命し、中国が1950年に武力占領したチベットの人権問題を狙った。
また親中候補が議席を埋めた香港立法会選挙に対しては、ブリンケン米国務長官らG7外相が共同声明で「香港の今回の選挙システムは民主主義の後退」とし「中国が香港の根本的な自由と権利を尊重する国際的義務と一致する行動をすることを促す」と明らかにした。香港立法会選挙の非民主性を指摘すると同時に、その責任が中国にあることを明確にする批判声明だった。
バイデン政権が普遍的価値の民主主義と人権に関連して中国に問題を提起する中、米国と一線を画するような韓国の態度は中国の立場に同調するように見える余地がある。これはバイデン政権の核心基調「価値外交」路線から韓国が離脱するのではという懸念につながる。
◆「思惑は韓中首脳会談の開催、終戦宣言の進展」
一部ではこれを終戦宣言に対する呼応を誘導するための韓国政府の「戦略的沈黙」という分析もある。韓米両国の隔たりが狭まった状況で終戦宣言の議論を一段階さらに進展させるためには、もう一つの当事者である中国の協力が必要であるからだ。中国外務省は14日、終戦宣言に関連し「建設的な役割をしていく」という立場を明らかにしたが、具体的な動きは見せていない。
亜洲大のキム・フンギュ米中政策研究所長は「政府が北京五輪に対する外交的ボイコットと台湾・香港問題において中国側の立場を考慮するような姿を見せたり沈黙を守ったりすることは、結局、任期末の韓中首脳会談開催と終戦宣言推進という思惑が反映された結果とみられる」とし「特に終戦宣言に関連して中国の呼応を引き出し、これを基礎に北朝鮮まで牽引しようという意図なのかもしれないが、これは無理に近い戦略」と指摘した。
もちろん23日に行われる韓中外交次官戦略対話で、中国側が終戦宣言をめぐる進展した立場を表明する可能性もある。最近、米国をはじめ西側の対中攻勢が強まっているという点で、中国もいつよりも「友軍」が必要な状況だ。
外交部当局者は2017年6月以来4年6カ月ぶりに開催される今回の韓中戦略対話について「両国政府は高官級交流が両国関係の発展に非常に重要な意味を持つということに共感している。こうした共感の上で高官級交流を含む韓中関係全般に関する意見の交換があるだろう」と説明した。
最近、米中対立様相が表面化した北京冬季五輪「外交的ボイコット」および香港立法会議員選挙に関連し、韓国政府は言葉を控えて中国を刺激しないよう配慮する姿だ。韓国外交部の崔英森(チェ・ヨンサム)報道官は16日の定例記者会見で、北京五輪に対する外交的ボイコットの理由となった新疆ウイグル自治区の人権問題に関連し「普遍的価値として人権と民主主義を重視する」としながらも「外交的ボイコットは検討していない」と一線を画した。
また、事実上、中国の事前検閲下で進行された香港立法会選挙について「関連の動向は関心を持って見守っている」(21日の定例記者会見)という原則的な答弁で一貫した。選挙に対する判断や評価はなかった。先月のニカラグア大統領選挙に対しては質問が出る前から論評を出し「自由かつ公正で透明な形で実施されなかったことを強く懸念する」という立場を表明したが、温度差が明確に感じられる答弁だった。
◆行事当日に「招待キャンセル」…「中国意識」がもたらした外交欠礼
大統領直属の第4次産業革命委員会は16日の政策カンファレンスに台湾閣僚級の唐鳳(オードリー・タン)政務委員(デジタル担当)を講演者として招請しておきながら、行事当日に突然これをキャンセルしたのは、中国を意識したものだという分析が出ている。唐鳳政務委員の講演中止事態について、外交部は21日、「諸般状況を総合的に検討して決定したものと聞いている」とだけ説明した。
ただ、台湾外交部は台湾中央通信社に「韓国側が『両岸関係の各側面に対する考慮』を招待キャンセルの理由と明らかにした」と説明した。台湾外交部の主張が事実なら、韓国は中国が唐鳳政務委員の講演に強く反応する可能性があるという点を考慮し、外交欠礼を犯しながら招請をキャンセルしたということだ。
◆米国、人権・民主主義を前に出して対中圧力
米国は最近、北京五輪と台湾・香港問題で中国と激しく対立している。米ホワイトハウスは北京五輪に対する外交的ボイコットの背景に新疆ウイグル自治区の人権侵害問題があることを明示したほか、20日にはウズラ・ゼヤ国務次官(民間人保護・民主主義・人権担当)をチベット問題担当特別調整官に任命し、中国が1950年に武力占領したチベットの人権問題を狙った。
また親中候補が議席を埋めた香港立法会選挙に対しては、ブリンケン米国務長官らG7外相が共同声明で「香港の今回の選挙システムは民主主義の後退」とし「中国が香港の根本的な自由と権利を尊重する国際的義務と一致する行動をすることを促す」と明らかにした。香港立法会選挙の非民主性を指摘すると同時に、その責任が中国にあることを明確にする批判声明だった。
バイデン政権が普遍的価値の民主主義と人権に関連して中国に問題を提起する中、米国と一線を画するような韓国の態度は中国の立場に同調するように見える余地がある。これはバイデン政権の核心基調「価値外交」路線から韓国が離脱するのではという懸念につながる。
◆「思惑は韓中首脳会談の開催、終戦宣言の進展」
一部ではこれを終戦宣言に対する呼応を誘導するための韓国政府の「戦略的沈黙」という分析もある。韓米両国の隔たりが狭まった状況で終戦宣言の議論を一段階さらに進展させるためには、もう一つの当事者である中国の協力が必要であるからだ。中国外務省は14日、終戦宣言に関連し「建設的な役割をしていく」という立場を明らかにしたが、具体的な動きは見せていない。
亜洲大のキム・フンギュ米中政策研究所長は「政府が北京五輪に対する外交的ボイコットと台湾・香港問題において中国側の立場を考慮するような姿を見せたり沈黙を守ったりすることは、結局、任期末の韓中首脳会談開催と終戦宣言推進という思惑が反映された結果とみられる」とし「特に終戦宣言に関連して中国の呼応を引き出し、これを基礎に北朝鮮まで牽引しようという意図なのかもしれないが、これは無理に近い戦略」と指摘した。
もちろん23日に行われる韓中外交次官戦略対話で、中国側が終戦宣言をめぐる進展した立場を表明する可能性もある。最近、米国をはじめ西側の対中攻勢が強まっているという点で、中国もいつよりも「友軍」が必要な状況だ。
外交部当局者は2017年6月以来4年6カ月ぶりに開催される今回の韓中戦略対話について「両国政府は高官級交流が両国関係の発展に非常に重要な意味を持つということに共感している。こうした共感の上で高官級交流を含む韓中関係全般に関する意見の交換があるだろう」と説明した。
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