キムさんが透析患者の母の病床を探すために電話をかけながら書いたメモ。受け入れ不可能な病院にXをつけている。 写真=キムさん
Aさんの息子・娘3人は仕事を中断して全国の病院に電話を数十件ずつした。2日後、かろうじてある療養型病院に入ることができた。しかし透析中にショックで心筋梗塞が起こった。透析は2時間で中断された。担当医は「肺がひどく損傷していて、これ以上は治療が難しい」とし「大きな病院に行かなければいけない」と話した。しかし病床がないため移ることはできなかった。
Aさんの家族は「(父は)幸い、意識はあるが、とても危険な状態」とし「大きな病院でまともな治療を受けなければいけないが、どうにもならない」と語った。
新型コロナ感染者の急増で医療対応が限界状況を迎えている。特に慢性腎不全の「腎臓病」患者が危機だ。月・水・金曜日または火・木・土曜日と2日間隔で透析しなければならないが、病床が不足している。透析をしなければ数日以内に状態が深刻化する。尿毒だけでなく肺に水がたまって生命が脅かされる。呼吸困難、臓器損傷など深刻な状況が発生したりもする。実際、今月初め、70代の血液透析患者が病床待機中に心停止で病院に運ばれた。その状態になってようやく救急室に移されて透析と心肺蘇生を受けたが、一日も経たずに死亡した。
◆「母を助けて」電話300回
こうした事情の中、保護者は感染者を受け入れてくれる人工腎室を直接探そうと数百件ずつ電話をしている。キムさん(39)は「保健所、病院、腎臓学会などを合わせて電話を300回以上した」とし「病院リストを置いて順に『母を受けれてほしい』と泣いて訴えたが、透析ができるところはなかった」と話した。キムさんの母Bさん(60代)は慢性腎不全だ。
病床待機3日目にBさんは呼吸が困難になった。酸素飽和度も落ちた。キムさんは急いで119番に電話をした。出動した救急隊員はBさんが普段透析している病院に電話をかけた。救急隊員が「透析だけでもしてほしい」と頼んだが、効果はなかった。幸い、Bさんは最後の透析日から6日目、ようやく新型コロナ専門病院の京畿道平沢(ピョンテク)博愛病院に入院し、透析治療を受けることができた。
◆特化病院は稼働率97%…待機20-30人
透析患者が新型コロナに感染することに対応し、政府は昨年12月、平沢の博愛病院を透析特化病院に指定した。今月初めには龍仁江南病院などを追加した。しかし最近追加された病院はまだ患者を受け入れる準備が整っていない状況だ。このため従来の病院に集まる。すでに先月末、病床稼働率は97%になった。博愛病院は隔離透析病床60床を運営している。現在待機中の患者は30人ほどだ。キムさんは「(病床待機中には)母が死んでしまうという恐怖を強く感じた」と伝えた。
平沢博愛病院のユ・ソンボン診療団長は「午前と午後だけでなく晩まで3交代で透析をし、日曜日の外来まで開いたが、患者はまだずっと増えている」とし「腎臓学会レベルの医療支援があるが、すでに限界値でこれ以上は受け入れられる状況でない」と説明した。
「母の透析を…」電話300回…これが韓国の医療現実(2)
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