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【社説】ワンテンポ遅れた防疫強化、オミクロン株抑えられるか=韓国

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版

新型コロナウイルスの状況が悪化し、日常回復(ウィズコロナ)にブレーキがかかった。6日から社会的距離確保を強化することにしウィズコロナは中断された。左上から時計回りにコロナ対応の指揮責任系統にある文在寅大統領、金富謙首相、鄭銀敬疾病管理庁長、権徳チョル保健福祉部長官。[中央フォト]

新型コロナウイルス克服に向けた段階的日常回復(ウィズコロナ)の第1段階措置を4週間中断して防疫を強化する措置を韓国政府がきのう発表した。6日から事実上社会的距離確保第4段階に戻ることになる。私的な会合の人数制限を首都圏で10人から6人に、地方で12人から8人に強化し、食堂やカフェなど16種類の大衆利用施設に行く時は防疫パス(接種証明、陰性確認書)がなければならない。

連日5000人前後の感染者があふれ、感染力が最大5倍というオミクロン株が韓国国内に流入したのに伴う避けられない措置とみられる。大統領選挙を控えて小商工人と自営業者の追加被害を意識した政府と与党がぎりぎりまで「日常回復の後退はない」というメッセージを流したが、現状況で防疫強化以外にはこれといった代案はなかったようだ。

わずか1カ月でウィズコロナが事実上挫折したのは残念なことだ。期待を集めた日常回復はひとまず来年1月を待たなければならな状況だ。11月1日から社会的距離確保を緩和した日常回復第1段階を始めながら短期間で感染者が急増したが、ついにオミクロン株の奇襲に遭い防疫当局が白旗を揚げた。


だが韓国政府の対処が十分で適切だったのかは冷静に振り返らなければならない。疾病管理庁がこれに先立ち感染者が5000人を超える恐れがあると警告したが、そのような状況に対する備えは不十分だったしおろそかだった。保健福祉部と疾病管理庁は重症患者病床を適時に確保できなかった。1日の感染者が3000人を超えた時点で文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「国民との対話」に出演して「K防疫」の成功を自画自賛した。大統領が防疫の全権を信じて任せたという青瓦台(チョンワデ、大統領府)の奇牡丹(キ・モラン)防疫企画官が予想されたコロナ状況の悪化に備えてどのような役割をしたのかはベールに包まれている。

オミクロン株がアフリカで初めて確認されたのは先月中旬だった。入国禁止など先制的措置を決める時間的余裕があった。しかし政府は先月25日日常回復支援委員会を開いたが、結論を出すことができなくて時間を浪費した。先月29日に部分的対策を発表したが、依然として不十分だった。まごまごしてゴールデンタイムをのがして金側のような時間を1週間ほど飛ばした。

検査(Testing)・追跡(Tracing)・治療(Treatment)で構成された防疫の「3T」も揺らいでいる。オミクロン株は既存の変異株より感染判定まで時間がかかり、オミクロン株が優勢株になれば検査にも過負荷が予想される。実際にナイジェリアから入国した仁川(インチョン)の40代の牧師夫婦は11月25日に新型コロナの感染が確認されたが6日後の今月1日にオミクロン株の判定を受けた。この夫婦は「空港から防疫タクシーに乗って移動した」として動線を偽っていたが、陳述にだけ依存したためにすぐ濃厚接触者を見つけ出すことができなかった。このためオミクロン株感染者と接触した人の数が幾何級数的に増えており、全国的な拡散も懸念される。防疫人材が不足しているという現場の哀訴もあるだけに、穴があいた防疫網を再点検しなければならない。

ワクチン追加接種(ブースター接種)と病床確保はオミクロン株が出現する前から切迫した問題だったため韓国政府がオミクロン株や仁川の牧師夫婦のせいにするだけにはいかない。「水ワクチン」議論に包まれたアストラゼネカとヤンセンのワクチン接種者と医療陣・警察官・消防署員など公共必須人材に対する優先的追加接種を急ぎ、集団感染とブレイクスルー感染を防がなければならない。病床不足を理由に政府が先月29日に突然発表した自宅療養方針にともなう副作用を最小化するのも至急だ。不十分な自宅療養の渦中に家族単位の集団感染の危険性が大きくなっており対策が切実だ。自宅療養の渦中に医療空白ができ被害者が続出しないよう死角地帯を見つけ出して補完措置をしなければならない。政府の対応失敗の責任を国民に転嫁し、国民の医療選択権を制限したという批判に対する謝罪も伴わなければならないだろう。



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