先週反政府デモが発生した南太平洋ソロモン諸島の首都ホニアラのチャイナタウンで3人の遺体が見つかったとオーストラリアのABC放送が28日に報道した。
現地警察は、暴動が発生して燃えたチャイナタウン地域の商店で発見された遺体3体を鑑別するため法医学チームが努力していると話した。死因と身元は確認されていない。
今回の暴動は24日に始まり3日間にわたりチャイナタウン一帯の建物56軒を焼き3930万ドルの被害を出したとソロモン中央銀行は集計した。暴動は根深い地域感情と経済難、中国と台湾をめぐる中央と地方の対立が重なって起きた。
中国当局としては在外中国国民の安全が足下の火となった。特に新型コロナウイルス発生から2年近く国境を厳格に統制してきた中国としては、今後「コロナ鎖国」を解除する場合に、愛国主義の洗礼を受けた中国人と反中感情が高まった国際社会との間の物理的衝突をどのように防ぐかが課題になった。
◇現地雇用のない中国企業の形態もデモ要因
今回のデモは24日にソロモン諸島のガダルカナル島に位置した人口8万人の首都ホニアラで始まった。数千人のデモ隊は主にマライタ島出身という。デモ隊は首相官邸を放火し、斧や刃物などで武装してチャイナタウンで略奪と放火を行った。
80万人前後であるソロモン諸島の人口の約4分の1を占めるマライタ島はこれまで台湾との経済貿易関係が緊密だった。これに対しソガバレ首相は2019年4月に4回目の再任に成功した後、中国から5億ドルの援助を受けて同年9月に台湾と断交し中国と修交した。マライタ州のスイダニ州長は最近の声明を通じ、しばらく中央政府の予算支援を受けることができず、代わりに今年に入り台湾から人道主義医療援助を受けたと明らかにした。また、国民より外国人の利益を優先しているとしてソガバレ首相の辞任を要求した。香港紙明報は27日、ソガバレ政権が北京と修交した際に国内世論を全く取りまとめておらず、外国企業が現地住民に就職の機会を提供していないことに対する不満も今回のデモのまた別の原因だと指摘した。
ソロモンは内戦も深刻だった。第2次大戦末期に日本軍と連合軍の激戦地だったガダルカナル島の隣にあるマライタ島の間では1998年と2003年にも内戦が発生した。当時進駐したオーストラリアとニュージーランドの平和維持軍は2017年まで駐留した。今回も暴動鎮圧のためソロモン政府の要請でオーストラリアとパプアニューギニア軍150人ほどが派遣された。彼らは夜間通行禁止をしながら暴徒100人ほどを逮捕・拘禁した。
◇中国、軍隊派遣せず注意警報だけ
中国は軍隊派遣を躊躇している。26日にロシアのタス通信の記者が「中国もオーストラリアとともにソロモン諸島に軍隊と警察の派遣を考慮するか」と尋ねると中国外交部の趙立堅報道官は「現在ソロモン諸島政府からそうした要求を聞いていない。われわれ(中国)は関連各方面がソロモン諸島の主権を尊重することを希望する」と原則的に答えるのにとどまった。
在ソロモン中国大使館もこれといった対策を出せずにいる。在ソロモン中国大使館はメッセージアプリの微信に24日から26日まで1日1回「重要通知」を上げ、「連日暴徒の略奪で一部僑胞が深刻な財産損失を出している。本館は僑民に臨時避難所を用意しサポートしているので危険地域に滞留せず警戒を強化せよ」とだけ伝えた。
◇コンゴやパキスタンで中国人狙ったテロ増加傾向
ソロモン諸島だけでなく海外で中国人を狙ったテロも増加している。24日にアフリカのコンゴ民主共和国東部の金鉱で中国人が拉致され殺害される事件が発生したと香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストが28日に報道した。現地武装民兵の襲撃を受け中国人2人を含む4人が射殺され、中国人鉱山労働者5人が依然として拉致された状態だ。
7月にはパキスタンでバスに対するテロが発生し中国人9人が死亡した。テロ直後に中国は現地に自国の捜査チームを派遣するなど迅速な措置に出たが、その後の進行状況は確認されていない。
こうした現実は当局の宣伝映画とは異なる。最近韓国戦争(朝鮮戦争)を描いた映画『長津湖』が出るまで歴代興行1位だった2017年の映画『戦狼2』はアフリカ内戦に巻き込まれた中国僑民を特殊部隊の戦狼要員が艦隊を動員して救助するという内容だ。2018年には2015年のイエメン内戦当時の中国僑民撤退作戦を描いた『紅海行動』を制作し在外中国国民の安全は国が必ず守るという宣伝で愛国心を鼓吹した。
問題は新型コロナウイルス流行後の中国と世界の不和だ。英フィナンシャル・タイムズのコラムニスト、ギデオン・ラーマン氏は9日のコラムで「中国がいつか国境を開くことになれば、世界は大きく変わった国と出会うことになるだろう」と指摘した。中国の「コロナ鎖国」が終われば愛国主義で武装した中国人と相対的に反中感情が高まった西側諸国の国民の間で衝突が懸念されるという指摘だ。
現地警察は、暴動が発生して燃えたチャイナタウン地域の商店で発見された遺体3体を鑑別するため法医学チームが努力していると話した。死因と身元は確認されていない。
今回の暴動は24日に始まり3日間にわたりチャイナタウン一帯の建物56軒を焼き3930万ドルの被害を出したとソロモン中央銀行は集計した。暴動は根深い地域感情と経済難、中国と台湾をめぐる中央と地方の対立が重なって起きた。
中国当局としては在外中国国民の安全が足下の火となった。特に新型コロナウイルス発生から2年近く国境を厳格に統制してきた中国としては、今後「コロナ鎖国」を解除する場合に、愛国主義の洗礼を受けた中国人と反中感情が高まった国際社会との間の物理的衝突をどのように防ぐかが課題になった。
◇現地雇用のない中国企業の形態もデモ要因
今回のデモは24日にソロモン諸島のガダルカナル島に位置した人口8万人の首都ホニアラで始まった。数千人のデモ隊は主にマライタ島出身という。デモ隊は首相官邸を放火し、斧や刃物などで武装してチャイナタウンで略奪と放火を行った。
80万人前後であるソロモン諸島の人口の約4分の1を占めるマライタ島はこれまで台湾との経済貿易関係が緊密だった。これに対しソガバレ首相は2019年4月に4回目の再任に成功した後、中国から5億ドルの援助を受けて同年9月に台湾と断交し中国と修交した。マライタ州のスイダニ州長は最近の声明を通じ、しばらく中央政府の予算支援を受けることができず、代わりに今年に入り台湾から人道主義医療援助を受けたと明らかにした。また、国民より外国人の利益を優先しているとしてソガバレ首相の辞任を要求した。香港紙明報は27日、ソガバレ政権が北京と修交した際に国内世論を全く取りまとめておらず、外国企業が現地住民に就職の機会を提供していないことに対する不満も今回のデモのまた別の原因だと指摘した。
ソロモンは内戦も深刻だった。第2次大戦末期に日本軍と連合軍の激戦地だったガダルカナル島の隣にあるマライタ島の間では1998年と2003年にも内戦が発生した。当時進駐したオーストラリアとニュージーランドの平和維持軍は2017年まで駐留した。今回も暴動鎮圧のためソロモン政府の要請でオーストラリアとパプアニューギニア軍150人ほどが派遣された。彼らは夜間通行禁止をしながら暴徒100人ほどを逮捕・拘禁した。
◇中国、軍隊派遣せず注意警報だけ
中国は軍隊派遣を躊躇している。26日にロシアのタス通信の記者が「中国もオーストラリアとともにソロモン諸島に軍隊と警察の派遣を考慮するか」と尋ねると中国外交部の趙立堅報道官は「現在ソロモン諸島政府からそうした要求を聞いていない。われわれ(中国)は関連各方面がソロモン諸島の主権を尊重することを希望する」と原則的に答えるのにとどまった。
在ソロモン中国大使館もこれといった対策を出せずにいる。在ソロモン中国大使館はメッセージアプリの微信に24日から26日まで1日1回「重要通知」を上げ、「連日暴徒の略奪で一部僑胞が深刻な財産損失を出している。本館は僑民に臨時避難所を用意しサポートしているので危険地域に滞留せず警戒を強化せよ」とだけ伝えた。
◇コンゴやパキスタンで中国人狙ったテロ増加傾向
ソロモン諸島だけでなく海外で中国人を狙ったテロも増加している。24日にアフリカのコンゴ民主共和国東部の金鉱で中国人が拉致され殺害される事件が発生したと香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストが28日に報道した。現地武装民兵の襲撃を受け中国人2人を含む4人が射殺され、中国人鉱山労働者5人が依然として拉致された状態だ。
7月にはパキスタンでバスに対するテロが発生し中国人9人が死亡した。テロ直後に中国は現地に自国の捜査チームを派遣するなど迅速な措置に出たが、その後の進行状況は確認されていない。
こうした現実は当局の宣伝映画とは異なる。最近韓国戦争(朝鮮戦争)を描いた映画『長津湖』が出るまで歴代興行1位だった2017年の映画『戦狼2』はアフリカ内戦に巻き込まれた中国僑民を特殊部隊の戦狼要員が艦隊を動員して救助するという内容だ。2018年には2015年のイエメン内戦当時の中国僑民撤退作戦を描いた『紅海行動』を制作し在外中国国民の安全は国が必ず守るという宣伝で愛国心を鼓吹した。
問題は新型コロナウイルス流行後の中国と世界の不和だ。英フィナンシャル・タイムズのコラムニスト、ギデオン・ラーマン氏は9日のコラムで「中国がいつか国境を開くことになれば、世界は大きく変わった国と出会うことになるだろう」と指摘した。中国の「コロナ鎖国」が終われば愛国主義で武装した中国人と相対的に反中感情が高まった西側諸国の国民の間で衝突が懸念されるという指摘だ。
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