ポスコの職員が溶鉱炉で1500度を超える鉄が問題なく流れ出るよう出湯口の整理作業をしている。 [写真 ポスコ]
年初に40ドル台だった国際原油価格は最近1バレルあたり約80ドルまで上がった。18日(現地時間)の米ニューヨーク商品取引所で西部テキサス産原油(WTI)12月先物は前営業日に比べ0.83%上昇した1バレルあたり79.01ドルとなった。北海産ブレンド油1月物は1.2%上昇した1バレルあたり81.24ドルで取引を終えた。
米国が中国をはじめ韓国・日本・インドなどに戦略的備蓄油(SPR)の供給を要請したと伝えられたが、原油価格はむしろ上がった。需要と供給の不均衡が改善する余地が見えないからだ。有煙炭の価格も急騰している。韓国資源情報サービスによると、国際相場基準のオーストラリア産有煙炭価格は12日、1トンあたり114.51ドルだった。50ドル台だった年初と比較すると倍以上に上がった。中国政府が石炭採掘量を制限して供給量が減少すると、世界の石炭価格が上昇した。
屑鉄(鉄スクラップ)価格の上昇も尋常でない。世界的な炭素中立政策の余波で屑鉄と電気炉を利用した鉄鋼生産量が増えているからだ。電気炉で屑鉄を溶かして鉄を作れば鉄鉱石を使用する場合に比べて炭素排出量が4分の1に減る。鉄鋼業界によると、全国の鉄スクラップ平均価格は19日基準で1トンあたり58万ウォン(約5万5640円)となった。9日には13年ぶりに60万ウォンを超えた。
企業は上昇する原材料価格にコスト負担を訴えている。セメント業界の場合、有煙炭価格の急騰に頭を悩ませている。有煙炭価格が製造コストの30-40%を占めるからだ。韓国セメント協会によると、昨年と同じ量のセメントを生産する場合、有煙炭購買費用が約5000億ウォン増える見込みだ。
鉄鋼業界も有煙炭と屑鉄の価格に影響を受ける。溶けた鉄1トンに鉄鉱石1.6トンと有煙炭0.7トンが必要だ。ポスコ・現代製鉄など鉄鋼企業は炭素排出量を減らすために屑鉄を活用した電気炉使用も増やしている。バッテリー業界もアルミニウム・ニッケルなど原材料不足に緊張している。NH投資証券のファン・ビョンジン研究員は「電気自動車産業が成長し、銅、アルミニウム、ニッケルなどの金属需要が急増している」とし「これは原材料不足と価格上昇につながる」と述べた。
原材料価格の急騰が消費者の負担として作用するという見方もある。最近、韓国経済研究院が売上高500大企業のうち輸出主力業種100社を対象に調査した結果、83%が原材料価格上昇が営業利益の減少など経営環境にマイナスの影響を及ぼすと答えた。昨年より原材料価格の負担が増加した企業の半分以上(65.2%)は製品価格の上昇(34.1%)と原材料以外のコスト削減(31.1%)を通して原材料価格の上昇に対応すると答えた。また、回答企業の76.1%は原材料価格の上昇が6カ月以上続くと予想した。
韓国経済研究院のチュ・グァンホ経済政策室長は「原材料輸入関税を引き下げ、生産者物価を安定化させ、消費者物価に乗せる状況を防ぐべきであり、長期的には安定した原材料供給者を確保する必要がある」と話した。
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