先月３１日、東京都の京王線国領駅で米国コミックの登場人物ジョーカーの格好をして刃物を振り回し、放火までした２０代男が捕まった。この事件で７０代男性が凶器に刺されて重態となったほか、煙を吸い込んだり逃げる途中で転倒したりした乗客など１６人がけがをした。今年８月に３０代男による小田急電鉄無差別刺傷事件からわずか３カ月しか経過していない中で、再び公共の場所で通り魔犯罪が発生した。

１日、共同通信・ＮＨＫなど現地メディアによると、日本警察は殺人未遂容疑で服部恭太（２４）と名乗る男性を逮捕して取り調べている。服部容疑者は前日午後８時ごろ人々で混雑する京王線に乗り込んだ後、持っていた凶器で７２歳の男性を刺した。その後逃げる乗客を追いかけて引火物質を撒いた後に火をつけた容疑がもたれている。


ハロウィンデーを迎えて混雑していた車内は運行中に発生した凶行で一瞬のうちに地獄と化した。新宿駅に向かって進んでいた列車は当初通過予定だった国領駅に緊急停車した。列車が定位置で停車できず扉が開かない状態で、車両の窓を開けてここから逃げようとする乗客で国領駅は修羅場となった。警察と消防車が出動して火は３０分後に消し止められた。乗客はハロウィンデーのために男性の服装を不審に思わなかったという。


共同通信によると、服部容疑者は１日、警察に対して「仕事で失敗した。友人関係がうまくいかなかった」と供述ししている。服部容疑者は無職で住所も不定だとメディアは伝えた。服部容疑者は大規模殺人を狙っていたとも供述しているという。「人が多い上り電車で、停車駅が少なく、走行時間が長い」として特急電車の犯行に及んだという。

服部容疑者は「２人以上殺せば死刑になると思った」とし「６月ぐらいから死刑になることを考えていた。計画通りいかなくて悔しい」とも供述している。服部容疑者は犯行当時、米コミックの悪役キャラクターで映画としても製作された「ジョーカー」の服装をまねていた。紫色の上・下のスーツに黄色く頭を染めて、片方の手にはたばこを、もう片方の手には刃渡りの長い刃物を持っていたと目撃者は話した。

犯人が今年８月６日の小田急線無差別刺傷事件に影響を受けたとも供述しているという。この事件では３０代男の対馬悠介容疑者が同じ車両に乗り合わせた２０代女子大学生を刃物で刺して電車に火を付けようと食用油を床に撒いた。女子学生は一命をとりとめたが、周辺にいた４～５人が刃物に刺され、６人が倒れてけがをするなどの被害があった。この男性は警察に捕まった後、「６年くらい前から、幸せそうな女性を見ると殺してやりたいと思っていた」と供述した。

警察によると、今回の事件では犯人が小田急線事件のときよりも危険な引火物質が入ったペットボトル４～５本を持って乗車し、火をつけるために殺虫剤スプレーも使ったことが分かった。

短い間隔で似たような地下鉄テロ事件が起き、日本の「通り魔事件」に対する警戒心も高まっている。通り魔事件は予測不可能な無差別凶行という点で社会不安要素に挙げられる。２０１９年には神奈川県川崎市で５１歳男性が凶器を振り回してスクールバスを待っていた小学生など２人が死亡して１７人がけがする事件があった。

服部容疑者が就職問題と孤立感を訴えていたことが伝えられて、日本国内の「パラサイトシングル」または「引きこもり」問題を引き合いに出す人々もいる。パラサイトシングルは経済的独立を果たせなかった２０～３０代のうち両親の経済力に頼る人々のことを、引きこもりは社会的に孤立して自宅などから外に出ない人々のことを称する言葉だ。

社会心理学者の碓井真史氏は「（通り魔は通常の犯罪者とは違い）自分を評価してくれなかった社会に、自分の強さをアピールしたい」とし「周りを巻き込む『拡大自殺』」を試みる場合が多く危険だと説明した。