新型コロナ防疫を理由に東京オリンピック(五輪)に参加せず国際オリンピック委員会(IOC)の制裁を受けた北朝鮮は、来年2月の北京冬季五輪に参加することになるのだろうか。新型コロナ拡大以降、国境を事実上閉鎖している北朝鮮を引き出そうという動きが相次いで確認されている。任期末の文在寅(ムン・ジェイン)政権の積極的な仲裁外交の中、平昌(ピョンチャン)五輪に続いてもう一つの「サプライズイベント」が実現するかどうかに関心が集まっている。
◆慌ただしく動く文在寅政権
これに先立ち文在寅大統領は先月15日、青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)で中国の王毅国務委員兼外相に会談し、「北京五輪が平昌五輪に続いて北と関係を改善するもう一つの転機となり、北東アジアと世界の平和に寄与することを望む」と述べた。
これに対し王毅外相は「北京(冬季)五輪が南北関係改善の契機になるよう努力する」とし「積極的な態度と政治的な意志さえあれば、一日でも歴史的なことを実現させることができるだろう」と答えた。当時、青瓦台は王外相の「歴史的なこと」発言を強調し、南北関係突破における中国の役割を暗示した。
金富謙(キム・ブギョム)首相も1日、日本経済新聞のインタビューで、北朝鮮が来年の北京冬季五輪に参加できるようIOCが「寛大な措置」を取ることを望む、と明らかにした。
最近は北朝鮮の五輪参加が「終戦宣言」カードと噛み合って実現する可能性があるという見方が出ている。文在寅政権が推進する終戦宣言について「韓国側と引き続き協議する」という原則的な立場を維持してきた米国政府が最近、順序・時期・条件など3つの要素を挙げながら韓国と観点が異なることを示唆し、協議過程の輪郭が表れた状態だ。
ビーガン前米国務副長官も15日、あるセミナーで「中国が北朝鮮の北京冬季五輪参加に向けて努力している」とし「これをきっかけに米韓朝が接触する可能性がある」という見方を示した。
◆北朝鮮は五輪の興行にプラス…IOCは反対する理由ない
専門家らは北京で南北が会う国際的な環境に異常はないという立場だ。
国家情報院傘下の国家安保戦略研究院長を務めた南成旭(ナム・ソンウク)高麗大行政大学院長は中央日報との電話で「IOCの制裁のため北が北京冬季五輪に参加するのは難しいという観測は、中国の国力を無視した判断」と指摘した。IOCの制裁で2022年まで北朝鮮五輪委員会(NOC)の資格が停止したほか、IOCの財政的支援も受けられなくなった。
しかし南院長は「中国が対北ペナルティを補償するのに、五輪の興行を期待するIOCが北朝鮮の参加に反対する理由はない」と述べた。中国が北朝鮮招請の負担をすべて抱え込む場合、IOCも制裁の原則を守るのは難しいということだ。
むしろ越えるべきヤマは米国の「牽制」の可能性だ。ひとまず米国では香港民主主義弾圧と人権問題を理由に北京五輪に対する外交的ボイコットを主張する声が出ている。その場合、米国が抜けた状況で中韓朝首脳が北京で集まる格好となる。米国としては歓迎できない風景だ。
アンドリュー・キム元米中央情報局(CIA)コリアミッションセンター長は5日、あるオンラインセミナーで「米国は五輪期間に北京で中国の習近平国家主席が金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と文大統領の間で会談を仲介するような姿を見せることを決して望まないだろう」と述べた。
◆ジェスチャー送る中国…北朝鮮の選択は
孤立主義を続ける北朝鮮もスポーツ分野では国際社会と協力してきた長い歴史を持つ。1966年イングランドワールドカップ(W杯)でアジア国家で初めて8強入りし、2016年リオデジャネイロ五輪では金メダル2つを含む7個のメダルを獲得し、206カ国のうち34位に入った。2018年のジャカルタ・アジア競技大会では計37個のメダルを獲得した。
2022年カタールW杯アジア地域予選も順調に開始し、北朝鮮の代表的なサッカークラブ「4・25体育団」はアジアチャンピオンズリーグの2部格に該当するAFCカップで決勝に進出した。
しかし新型コロナの世界的な大流行で北朝鮮の国際スポーツ交流にもブレーキがかかった。北朝鮮当局は昨年1月、新型コロナ遮断のために中国およびロシアとの国境を封鎖したのに続き、今年3月には33年ぶりに夏季五輪不参加を宣言した。IOCは東京五輪の閉幕後の9月、北朝鮮に制裁を加えた。
北朝鮮の立場でスポーツ分野の国際交流は体制の脅威にならないうえ、対内外的に政治・経済的実利を獲得できる機会を提供してきた。新型コロナ遮断のための一連の措置で北朝鮮は国際社会と意思疎通できる可視的で安全な窓口を失った状況だ。独ドイチェ・ヴェレ(DW)は「北朝鮮はスポーツ分野で最も可視的な対外交流をしてきたため、この分野から手を引いた現在のように国際社会から孤立したことはなかった」と指摘した。
北朝鮮は表面的に「新型コロナ防疫」を口実に東京五輪とカタールW杯予選を辞退したが、実際にそうなのか政治的な判断が作用したのかは知る方法がない。北朝鮮は8月、COVAXの新型コロナワクチン支援も拒否した。このため北京五輪を控えた北朝鮮の選択は、今後の朝鮮半島情勢の行方を知るバロメーターとなる可能性が高い。
◆慌ただしく動く文在寅政権
これに先立ち文在寅大統領は先月15日、青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)で中国の王毅国務委員兼外相に会談し、「北京五輪が平昌五輪に続いて北と関係を改善するもう一つの転機となり、北東アジアと世界の平和に寄与することを望む」と述べた。
これに対し王毅外相は「北京(冬季)五輪が南北関係改善の契機になるよう努力する」とし「積極的な態度と政治的な意志さえあれば、一日でも歴史的なことを実現させることができるだろう」と答えた。当時、青瓦台は王外相の「歴史的なこと」発言を強調し、南北関係突破における中国の役割を暗示した。
金富謙(キム・ブギョム)首相も1日、日本経済新聞のインタビューで、北朝鮮が来年の北京冬季五輪に参加できるようIOCが「寛大な措置」を取ることを望む、と明らかにした。
最近は北朝鮮の五輪参加が「終戦宣言」カードと噛み合って実現する可能性があるという見方が出ている。文在寅政権が推進する終戦宣言について「韓国側と引き続き協議する」という原則的な立場を維持してきた米国政府が最近、順序・時期・条件など3つの要素を挙げながら韓国と観点が異なることを示唆し、協議過程の輪郭が表れた状態だ。
ビーガン前米国務副長官も15日、あるセミナーで「中国が北朝鮮の北京冬季五輪参加に向けて努力している」とし「これをきっかけに米韓朝が接触する可能性がある」という見方を示した。
◆北朝鮮は五輪の興行にプラス…IOCは反対する理由ない
専門家らは北京で南北が会う国際的な環境に異常はないという立場だ。
国家情報院傘下の国家安保戦略研究院長を務めた南成旭(ナム・ソンウク)高麗大行政大学院長は中央日報との電話で「IOCの制裁のため北が北京冬季五輪に参加するのは難しいという観測は、中国の国力を無視した判断」と指摘した。IOCの制裁で2022年まで北朝鮮五輪委員会(NOC)の資格が停止したほか、IOCの財政的支援も受けられなくなった。
しかし南院長は「中国が対北ペナルティを補償するのに、五輪の興行を期待するIOCが北朝鮮の参加に反対する理由はない」と述べた。中国が北朝鮮招請の負担をすべて抱え込む場合、IOCも制裁の原則を守るのは難しいということだ。
むしろ越えるべきヤマは米国の「牽制」の可能性だ。ひとまず米国では香港民主主義弾圧と人権問題を理由に北京五輪に対する外交的ボイコットを主張する声が出ている。その場合、米国が抜けた状況で中韓朝首脳が北京で集まる格好となる。米国としては歓迎できない風景だ。
アンドリュー・キム元米中央情報局(CIA)コリアミッションセンター長は5日、あるオンラインセミナーで「米国は五輪期間に北京で中国の習近平国家主席が金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と文大統領の間で会談を仲介するような姿を見せることを決して望まないだろう」と述べた。
◆ジェスチャー送る中国…北朝鮮の選択は
孤立主義を続ける北朝鮮もスポーツ分野では国際社会と協力してきた長い歴史を持つ。1966年イングランドワールドカップ(W杯)でアジア国家で初めて8強入りし、2016年リオデジャネイロ五輪では金メダル2つを含む7個のメダルを獲得し、206カ国のうち34位に入った。2018年のジャカルタ・アジア競技大会では計37個のメダルを獲得した。
2022年カタールW杯アジア地域予選も順調に開始し、北朝鮮の代表的なサッカークラブ「4・25体育団」はアジアチャンピオンズリーグの2部格に該当するAFCカップで決勝に進出した。
しかし新型コロナの世界的な大流行で北朝鮮の国際スポーツ交流にもブレーキがかかった。北朝鮮当局は昨年1月、新型コロナ遮断のために中国およびロシアとの国境を封鎖したのに続き、今年3月には33年ぶりに夏季五輪不参加を宣言した。IOCは東京五輪の閉幕後の9月、北朝鮮に制裁を加えた。
北朝鮮の立場でスポーツ分野の国際交流は体制の脅威にならないうえ、対内外的に政治・経済的実利を獲得できる機会を提供してきた。新型コロナ遮断のための一連の措置で北朝鮮は国際社会と意思疎通できる可視的で安全な窓口を失った状況だ。独ドイチェ・ヴェレ(DW)は「北朝鮮はスポーツ分野で最も可視的な対外交流をしてきたため、この分野から手を引いた現在のように国際社会から孤立したことはなかった」と指摘した。
北朝鮮は表面的に「新型コロナ防疫」を口実に東京五輪とカタールW杯予選を辞退したが、実際にそうなのか政治的な判断が作用したのかは知る方法がない。北朝鮮は8月、COVAXの新型コロナワクチン支援も拒否した。このため北京五輪を控えた北朝鮮の選択は、今後の朝鮮半島情勢の行方を知るバロメーターとなる可能性が高い。
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