ノーベル文学賞を受賞したアブドゥルラザク・グルナ氏
グルナ氏はタンザニア・ザンジバルに生まれ、1960年代に難民として英国に渡った。1980年代に英語で発表した序盤の作品は移住の経験を基盤としている。第4作の小説『Paradise』(1994)で広く人々に知られるようになった。タンザニアで育った少年の話を通じて第1次世界大戦中の東アフリカの植民歴史を描いてブッカー賞最終候補に入った。
グルナ氏の作品は植民時代と移住の記憶に基づいていて、人種・宗教・社会などの違いによって他者化される人物を扱った。ノーベル委員会のアンデルス・オルソン委員長は「グルナ氏は世界で最も注目されるポストコロニアル作家の一人。彼のキャラクターは文化と大陸、存在していた生活と目の前の生活の間の空白期、そして決して解決されることのない不安定な状態を発見する」と説明した。最近作『Afterlives』(2020)まで長編10作と多数の短編を発表しているが、韓国で翻訳出版されたものはない。
KAIST(韓国科学技術院)教授でアフリカ文化研究所長のイ・ソクホ氏は「重要な作家だがノーベル文学賞受賞は意外」とし「アフリカ本土で活動する作家に比べてグルナ氏の作品は帝国主義と植民主義に対する批判の程度が高くない。比較的中和された批判の語調で、文学性を強調した作家」と説明した。全北(チョンブク)大学英語英文学科のワン・ウンチョル教授は「グルナ氏はアフリカ出身のムスリムとして英国で暮らしながら直面する脱植民主義問題とディアスポラ、文化衝突などの経験を作品の中で書いてきた」とし「最近イスラム圏と西ヨーロッパ圏の緊張が高まって注目されていた」とコメントした。
グルナ氏は英国のケント大学で英文学および脱植民地文学を教え、英国南東部のブライトンに住んでいる。グルナ氏は受賞発表直後、ノーベル委員会との電話で「最初は受賞の知らせがいたずらだと思った」としながら「非常に大きい賞だ。(人生の変化を)避けられないだろうし、受け入れているところ」と話した。
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