世界3位の経済大国で新たな人物が国政を総括する席に上がった。日本の100番目の首相に選出された岸田文雄氏(64)だ。4日に発足した内閣の構成を見ると、安定を重視し静かな変化を推進するという考えがうかがえる。安倍内閣と菅内閣の閣僚を相当数再起用しながらも13人の新しい顔を選んだ。全閣僚20人のうち半分を大きく上回る。
特に目立った新しい顔は経済安全保障担当相だ。以前になかったポストを新たに作った。このポストには小林鷹之議員(47)を抜擢した。岸田内閣で40代の閣僚は小林氏を含め2人だけだ。考えてみれば経済と安全保障をひとつにまとめるのは不自然な組み合わせかもしれない。ここで核心は半導体だ。岸田首相が先月自民党総裁選で提示した政策資料を見ると、半導体を国家安全保障問題としてアプローチするという考えを明確に示した。彼は「先端半導体の安定した供給を確保するために国際共同開発と国内誘致推進など経済安全保障を強化する」と公約した。
岸田首相は中国との関係を考慮し明確に言及はしなかったが「中国製造2025」にともなう「半導体崛起」を意識している。バイデン米大統領が半導体を単純な商品ではなく国家安全保障に必須の戦略物資と考えているのと一脈通じる。米国と中国の技術覇権競争が激しくなる中で日本も先端技術競争力を安全保障の観点で見ている。
こうした政策は突然出てきたのではない。日本の経済産業省は6月に「半導体・デジタル産業戦略」を発表した。その上で半導体分野の最初の課題として、「先端半導体製造技術の共同開発と生産能力の確保」を提示した。だれが首相を務めるかに関係なく日本政府は半導体中心の産業戦略を準備していたという話だ。
岸田首相はまた、「半導体など重要物資の確保と技術流出防止に向けた経済安全保障推進法を作る」と公約した。こうした政策を推進する指令塔として選択した人物が小林氏だ。当選3回の小林氏は自民党内で新国際秩序創造戦略本部という組織の事務局長を務めてきた。
先端産業技術を強調する岸田首相の政策はここにとどまらない。彼は経済成長戦略の最初に「科学技術立国」を提示した。その上で年内に10兆円規模の「大学ファンド」を設立すると公約した。内閣府と文部科学省によると、大学ファンドは政府資金4兆5000億円に民間資金5兆5000億円を加え官民合同基金として作る計画だ。
大学ファンドは毎年3000億円ほどのファンド収益金で大学の基礎研究力強化、新進研究人材育成、研究施設拡充などに使う。ファンドの運用期間は50年と設定した。長期的な観点から大学の研究開発能力を育てていくという意味だ。岸田首相は技術革新と研究開発投資を促進するために果敢な税制改編も約束した。科学技術専門家を政府各省に顧問として配置するという構想も明らかにした。
エネルギー政策では「原子力発電などを含めたクリーンエネルギー戦略をまとめる」と公約した。再生可能エネルギーだけでは炭素排出縮小目標を達成できないというのが岸田首相の判断だ。脱原発を宣言した文在寅(ムン・ジェイン)政権とは全く違う道を選んだ。
岸田首相には成長戦略だけがあるのではない。彼は「成長と分配が好循環する新しい日本式資本主義」を掲げる。その上で「新自由主義からの転換」と説明した。新自由主義とは距離をおき成長と分配のバランスを合わせることに重点を置くという意味だ。岸田氏の経済政策をアベノミクスの単純な延長と見ることはできない理由だ。
もちろん岸田首相の前途はバラ色ではない。今月末に予定される衆議院選挙が足下の火だ。もし今回の選挙で自民党が敗北すれば岸田内閣は短命に終わるかもしれない。これに対し安定した過半数の議席を確保するならば今後の政策推進に弾みがつくだろう。
韓国はどうなのか。現在まで各政党の有力大統領選候補の中で注目するほどの科学技術政策を提示した人物は見られない。候補者がまだ準備できていないのか、そうでなければ科学技術に最初から関心がないのかもしれない。少子高齢化で潜在成長率が下落する韓国経済に今後5年は極めて重要な山場になるだろう。国の未来がかかった科学技術政策をめぐって熱を帯びた討論を行う候補者を見たい。
チュ・ジョンワン/経済エディター
特に目立った新しい顔は経済安全保障担当相だ。以前になかったポストを新たに作った。このポストには小林鷹之議員(47)を抜擢した。岸田内閣で40代の閣僚は小林氏を含め2人だけだ。考えてみれば経済と安全保障をひとつにまとめるのは不自然な組み合わせかもしれない。ここで核心は半導体だ。岸田首相が先月自民党総裁選で提示した政策資料を見ると、半導体を国家安全保障問題としてアプローチするという考えを明確に示した。彼は「先端半導体の安定した供給を確保するために国際共同開発と国内誘致推進など経済安全保障を強化する」と公約した。
岸田首相は中国との関係を考慮し明確に言及はしなかったが「中国製造2025」にともなう「半導体崛起」を意識している。バイデン米大統領が半導体を単純な商品ではなく国家安全保障に必須の戦略物資と考えているのと一脈通じる。米国と中国の技術覇権競争が激しくなる中で日本も先端技術競争力を安全保障の観点で見ている。
こうした政策は突然出てきたのではない。日本の経済産業省は6月に「半導体・デジタル産業戦略」を発表した。その上で半導体分野の最初の課題として、「先端半導体製造技術の共同開発と生産能力の確保」を提示した。だれが首相を務めるかに関係なく日本政府は半導体中心の産業戦略を準備していたという話だ。
岸田首相はまた、「半導体など重要物資の確保と技術流出防止に向けた経済安全保障推進法を作る」と公約した。こうした政策を推進する指令塔として選択した人物が小林氏だ。当選3回の小林氏は自民党内で新国際秩序創造戦略本部という組織の事務局長を務めてきた。
先端産業技術を強調する岸田首相の政策はここにとどまらない。彼は経済成長戦略の最初に「科学技術立国」を提示した。その上で年内に10兆円規模の「大学ファンド」を設立すると公約した。内閣府と文部科学省によると、大学ファンドは政府資金4兆5000億円に民間資金5兆5000億円を加え官民合同基金として作る計画だ。
大学ファンドは毎年3000億円ほどのファンド収益金で大学の基礎研究力強化、新進研究人材育成、研究施設拡充などに使う。ファンドの運用期間は50年と設定した。長期的な観点から大学の研究開発能力を育てていくという意味だ。岸田首相は技術革新と研究開発投資を促進するために果敢な税制改編も約束した。科学技術専門家を政府各省に顧問として配置するという構想も明らかにした。
エネルギー政策では「原子力発電などを含めたクリーンエネルギー戦略をまとめる」と公約した。再生可能エネルギーだけでは炭素排出縮小目標を達成できないというのが岸田首相の判断だ。脱原発を宣言した文在寅(ムン・ジェイン)政権とは全く違う道を選んだ。
岸田首相には成長戦略だけがあるのではない。彼は「成長と分配が好循環する新しい日本式資本主義」を掲げる。その上で「新自由主義からの転換」と説明した。新自由主義とは距離をおき成長と分配のバランスを合わせることに重点を置くという意味だ。岸田氏の経済政策をアベノミクスの単純な延長と見ることはできない理由だ。
もちろん岸田首相の前途はバラ色ではない。今月末に予定される衆議院選挙が足下の火だ。もし今回の選挙で自民党が敗北すれば岸田内閣は短命に終わるかもしれない。これに対し安定した過半数の議席を確保するならば今後の政策推進に弾みがつくだろう。
韓国はどうなのか。現在まで各政党の有力大統領選候補の中で注目するほどの科学技術政策を提示した人物は見られない。候補者がまだ準備できていないのか、そうでなければ科学技術に最初から関心がないのかもしれない。少子高齢化で潜在成長率が下落する韓国経済に今後5年は極めて重要な山場になるだろう。国の未来がかかった科学技術政策をめぐって熱を帯びた討論を行う候補者を見たい。
チュ・ジョンワン/経済エディター
この記事を読んで…