韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官が米メディアのインタビューで、北朝鮮との対話が中断している間に北朝鮮がミサイル能力を増強していることに懸念を表し、米国に向けて「対北朝鮮インセンティブを具体化すべき」と促した。
米ワシントンポスト(WP)は先月30日(現地時間)、「鄭長官は米国が北朝鮮との対面会談で北朝鮮に提供できるインセンティブをより一層具体化することを促した。また、北朝鮮が対話停滞期間をミサイルおよび核能力の増強に利用していると警告した」と報じた。インタビューは、鄭長官が国連総会に出席した文在寅(ムン・ジェイン)大統領に随行するため米ニューヨークに滞在していた先月23日、国連代表部公館で行われた。
◆米国にまた終戦宣言要求
WPによると、鄭長官は「現状態が続けば、これは北のミサイル能力の強化につながる」とし「我々はこれを深く憂慮している」と述べた。また「最も大きな2つの障害物は(米朝)双方の不信感と、新型コロナ拡大防止のために北が自ら選択した孤立状態」とし「不信感は一度に克服されない」と述べた。
これに関しWPは「文在寅大統領は北朝鮮との関係改善を(外交的)業績としてきたが、任期を約1年残して非核化交渉で進展がほとんどない米朝対話を再開させようという熱望がさらに強まっている」とし「北朝鮮は核兵器開発を(正当な)権利と主張し、米国に向けて制裁の解除を主張している」と説明した。
米朝間の不信感に言及した鄭長官はインタビューで、バイデン政権に向けて「(北が対話に応じる場合に備えて)交渉テーブルで北に提供できる具体的な措置(concrete things)を詳細に説明するのがよい」を述べ、終戦宣言を具体的措置の例に挙げたと、WPは伝えた。
◆悪い行動に見返り? 交渉でタブー
こうした鄭長官の発言は、米朝間の対話が中断し、北朝鮮がミサイル能力強化に集中しているため、米国が積極的なインセンティブ提供の意向を明らかにし、北朝鮮を対話テーブルに引き出し、緊張が高まるのを防ごうという趣旨と考えられる。
しかしこれは、北朝鮮がミサイルを開発しても終戦宣言などインセンティブを与えようという発言として聞こえる余地がある。「対話に出てくればいくつかの贈り物を与える」という形の約束は、北朝鮮だけでなくすべての交渉でダブーとされる「悪い行動に見返りを与えよう」という話にもなる。
特に北朝鮮は先月から長距離巡航ミサイル、列車発射短距離弾道ミサイル、極超音速ミサイル、地対空ミサイルなど一連のミサイル試験発射を繰り返し、韓米を脅かす挑発を続けている。
また、バイデン政権は対北朝鮮政策レビューを完成した直後から、北朝鮮に対し「調整された実用的な接近をする」という一貫した原則を表明してきた。しかし鄭長官が、米国の対北朝鮮インセンティブ提案がより一層具体的であるべきだと述べたのは、バイデン政権の対北朝鮮接近が精巧でないと見なして間接的に否定したように受け止められる余地がある。
◆米国「具体的な提案をした」と反論
実際、WPは鄭長官のこうした主張に対する米国側の反論も伝えた。WPは「米当局者はバイデン政権が北朝鮮に具体的事項を提案しなかったという(鄭長官の)意見を否認した。また、米国の対話提案に北朝鮮が応じず膠着状況になったと非難した」と説明した。
これによると、米当局者は「我々は北朝鮮外交に真摯に取り組み、条件を付けずにいつでも準備できている。我々は北朝鮮にこうした提案をする過程で北朝鮮との協議のための具体的な提案をしたが、まだ答えを受けていない」と述べた。
鄭長官はWPにブリンケン米国務長官との頻繁な協議に言及しながら「韓米の立場は一致する」とも述べたが、実際には北朝鮮接近法で温度差が感知されるということだ。バイデン政権は北朝鮮との条件のない対話に開かれた立場だが、「対話再開用のインセンティブはない」という原則を守ってきた。
◆米国務長官「北ミサイルは国際的な懸念」…温度差
先月28日の北朝鮮の極超音速ミサイル試験発射に対しても、韓国政府は北朝鮮が反発した「挑発」という表現を使用せず「遺憾」だけを表明し、弾道ミサイルとも規定しなかった。しかしここでも米国との立場の違いがある。
ブリンケン米国務長官は先月30日(現地時間)、ペンシルベニア州ピッツバーグを訪問中に記者らに対し「北朝鮮が正確に何を発射し、どんな技術を使用したかについて評価と分析を進行中」としながらも「それとは関係なく我々は(これを)繰り返される安保理決議違反と見ていて、国際社会はこれを深刻に受け止める必要がある」と述べた。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が前日の最高人民会議での施政演説で「10月初めに南北連絡線復元」に言及したことについては、「南北間の対話を我々は確実に、原則的には支持する。適切に現存する脅威を減らす方法があるなら、おそらく妥当だと見ることができるだろう」と述べた。しかし「原則的支持」「適切な方法」などの言葉に妙なニュアンスが込められているという指摘だ。
実際、ブリンケン長官は「我々は(北朝鮮の)反復的な安保理決議違反を憂慮していて、これはより大きな不安定と不安を招きかねない」と指摘した。南北関係改善を通した緊張緩和に対する期待よりも、北朝鮮の挑発に対する緊張形成に傍点が打たれる雰囲気だ。
米国は英国およびフランスと共に北朝鮮のミサイル発射について議論するための国連安全保障理事会招集も要請した。追加の制裁につながる可能性は高くないが、安保理レベルで強い懸念を表明し、北朝鮮の挑発を糾弾するとみられる。
米ワシントンポスト(WP)は先月30日(現地時間)、「鄭長官は米国が北朝鮮との対面会談で北朝鮮に提供できるインセンティブをより一層具体化することを促した。また、北朝鮮が対話停滞期間をミサイルおよび核能力の増強に利用していると警告した」と報じた。インタビューは、鄭長官が国連総会に出席した文在寅(ムン・ジェイン)大統領に随行するため米ニューヨークに滞在していた先月23日、国連代表部公館で行われた。
◆米国にまた終戦宣言要求
WPによると、鄭長官は「現状態が続けば、これは北のミサイル能力の強化につながる」とし「我々はこれを深く憂慮している」と述べた。また「最も大きな2つの障害物は(米朝)双方の不信感と、新型コロナ拡大防止のために北が自ら選択した孤立状態」とし「不信感は一度に克服されない」と述べた。
これに関しWPは「文在寅大統領は北朝鮮との関係改善を(外交的)業績としてきたが、任期を約1年残して非核化交渉で進展がほとんどない米朝対話を再開させようという熱望がさらに強まっている」とし「北朝鮮は核兵器開発を(正当な)権利と主張し、米国に向けて制裁の解除を主張している」と説明した。
米朝間の不信感に言及した鄭長官はインタビューで、バイデン政権に向けて「(北が対話に応じる場合に備えて)交渉テーブルで北に提供できる具体的な措置(concrete things)を詳細に説明するのがよい」を述べ、終戦宣言を具体的措置の例に挙げたと、WPは伝えた。
◆悪い行動に見返り? 交渉でタブー
こうした鄭長官の発言は、米朝間の対話が中断し、北朝鮮がミサイル能力強化に集中しているため、米国が積極的なインセンティブ提供の意向を明らかにし、北朝鮮を対話テーブルに引き出し、緊張が高まるのを防ごうという趣旨と考えられる。
しかしこれは、北朝鮮がミサイルを開発しても終戦宣言などインセンティブを与えようという発言として聞こえる余地がある。「対話に出てくればいくつかの贈り物を与える」という形の約束は、北朝鮮だけでなくすべての交渉でダブーとされる「悪い行動に見返りを与えよう」という話にもなる。
特に北朝鮮は先月から長距離巡航ミサイル、列車発射短距離弾道ミサイル、極超音速ミサイル、地対空ミサイルなど一連のミサイル試験発射を繰り返し、韓米を脅かす挑発を続けている。
また、バイデン政権は対北朝鮮政策レビューを完成した直後から、北朝鮮に対し「調整された実用的な接近をする」という一貫した原則を表明してきた。しかし鄭長官が、米国の対北朝鮮インセンティブ提案がより一層具体的であるべきだと述べたのは、バイデン政権の対北朝鮮接近が精巧でないと見なして間接的に否定したように受け止められる余地がある。
◆米国「具体的な提案をした」と反論
実際、WPは鄭長官のこうした主張に対する米国側の反論も伝えた。WPは「米当局者はバイデン政権が北朝鮮に具体的事項を提案しなかったという(鄭長官の)意見を否認した。また、米国の対話提案に北朝鮮が応じず膠着状況になったと非難した」と説明した。
これによると、米当局者は「我々は北朝鮮外交に真摯に取り組み、条件を付けずにいつでも準備できている。我々は北朝鮮にこうした提案をする過程で北朝鮮との協議のための具体的な提案をしたが、まだ答えを受けていない」と述べた。
鄭長官はWPにブリンケン米国務長官との頻繁な協議に言及しながら「韓米の立場は一致する」とも述べたが、実際には北朝鮮接近法で温度差が感知されるということだ。バイデン政権は北朝鮮との条件のない対話に開かれた立場だが、「対話再開用のインセンティブはない」という原則を守ってきた。
◆米国務長官「北ミサイルは国際的な懸念」…温度差
先月28日の北朝鮮の極超音速ミサイル試験発射に対しても、韓国政府は北朝鮮が反発した「挑発」という表現を使用せず「遺憾」だけを表明し、弾道ミサイルとも規定しなかった。しかしここでも米国との立場の違いがある。
ブリンケン米国務長官は先月30日(現地時間)、ペンシルベニア州ピッツバーグを訪問中に記者らに対し「北朝鮮が正確に何を発射し、どんな技術を使用したかについて評価と分析を進行中」としながらも「それとは関係なく我々は(これを)繰り返される安保理決議違反と見ていて、国際社会はこれを深刻に受け止める必要がある」と述べた。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が前日の最高人民会議での施政演説で「10月初めに南北連絡線復元」に言及したことについては、「南北間の対話を我々は確実に、原則的には支持する。適切に現存する脅威を減らす方法があるなら、おそらく妥当だと見ることができるだろう」と述べた。しかし「原則的支持」「適切な方法」などの言葉に妙なニュアンスが込められているという指摘だ。
実際、ブリンケン長官は「我々は(北朝鮮の)反復的な安保理決議違反を憂慮していて、これはより大きな不安定と不安を招きかねない」と指摘した。南北関係改善を通した緊張緩和に対する期待よりも、北朝鮮の挑発に対する緊張形成に傍点が打たれる雰囲気だ。
米国は英国およびフランスと共に北朝鮮のミサイル発射について議論するための国連安全保障理事会招集も要請した。追加の制裁につながる可能性は高くないが、安保理レベルで強い懸念を表明し、北朝鮮の挑発を糾弾するとみられる。
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