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【時視各角】米国へ行き中国の肩を持った韓国外交部長官

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

外交部の鄭義溶長官(左)が22日に外交・安保分野のシンクタンクである米外交協会(CFR)招請対談会でCNNアンカーのファリード・ザカリアと対話している。チョン・ジンウ記者

「中国が攻勢的という表現自体に同意しない。…20年前の中国ではない。われわれは中国が主張したいことを聞くよう努力しなければならない」。

最初は代表的な親中国であるパキスタンの外交官僚がした話だと思った。ところが詳しく見たら韓国外交部長官の発言だ! それもいま中国に向けた刃を研いでいる米国のど真ん中に行ってした話だ。

外交部の鄭義溶(チョン・ウィヨン)長官は22日にニューヨークで開かれた米外交協会招請の対談会で「中国が最近攻勢的な姿を見せている」という司会者の指摘に、「それは当然だ。中国は経済的にさらに強くなっている」としてこのように話した。また、司会者が米韓日豪を「反中ブロック」に分類すると、鄭長官は「それは中国の人たちが言うように冷戦時代の思考。韓国が米中の間で選択すべきだとは思わない」とも話した。


韓国外交部長官が日米豪印のクアッドに続き、米英豪のAUKUSまで構成して対中圧力に総力を上げる米国の外交政策を正面から蹴り飛ばした格好だ。「中国の報道官か」という非難があふれると、鄭長官は「ある国のブロックが特定国を狙うのは望ましくない。米国にいるからとそんな話もできないのか」と抗弁した。その上で「中国が強圧的とさまざまな国が懸念を示しているが、中国が韓国にはそのようにしているとは思わない」と話した。

中国が韓国に強圧的でない? あきれた話だ。鄭長官は2016年に韓国がTHAAD配備を決めて中国がどのように出たのか努めて忘却しているようだ。当時中国政府は限韓令を出し、K-POPやドラマ、芸能など韓国の文化商品輸入を全面中断させ、中国に進出した韓国企業に不買運動などによる全方向の圧迫を加えた。慶尚北道星州(キョンサンブクド・ソンジュ)にTHAAD用地を提供したロッテグループは中国で大々的な税務調査を受けたりもした。

さらに鄭長官の認識は米国と中国を同等の価値で扱っているという点で問題が深刻だ。米国は個人の自由と人権が保障された民主国家で、中国は共産党1党独裁の全体主義国だ。香港民主化弾圧で現れるように民主共和国である韓国の精神は共産党の理念とは相容れない。その上いまの中国は周辺国を、さらには全世界を「中華的秩序」に編入しようとする膨張主義路線を歩んでいる。そうする中で中国の脅威を感じた国々が米国に助けを求めて生まれたのがクアッドとAUKUSだ。

鄭長官は、インド、日本、オーストラリアとは違い韓国は「中華的秩序」からで無事なものと信じているようだがとんでもない。例えば文在寅(ムン・ジェイン)政権は南シナ海問題を対岸の火事と見ているが、実際に中国が南シナ海を支配することが起きれば韓国の原油輸送ルートを中国が掌握することになるためエネルギー安保に致命的危機が迫る。

オーストラリアのチャールズスタート大学のクライブ・ハミルトン教授は2018年に著書『サイレント・インベージョン~オーストラリアにおける中国の影響~』で、中国がオーストラリア指導層をひそかに買収しオーストラリアを丸め込もうとした実態を暴露して国際的に大きな波紋を起こした。今回中国の環球時報が鄭長官の発言を賞賛したというニュースに接し改めてハミルトン教授の警告が思い起こされる。

「すでに韓国の財界には北京の満足を唯一の目標にして活動する強力な利益集団が席を占めている。北京はまた、韓国の学界と政界、文化界、言論界の指導層全般にわたり北京擁護者と融和論者などを確保した。…オーストラリア政府は北京の嫌がらせに対抗したが、韓国の政治指導層は前もって恐れをなして中国と米国の間で「戦略的あいまいさ」という弱気な態度を維持する。もし韓国政府が中国と緊密な関係を維持しながら韓国の独立も守ることができると考えるならば危険な賭けをする格好だ。(『サイレント・インベージョン』韓国語版序文)。

キム・ジョンハ/政治ディレクター



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