1346年8月、イングランドとフランスがブルターニュ継承問題をめぐり歴史的な決戦をした。イングランド軍を率いるエドワード3世はフランスのノルマンディに上陸した後、パリを侵攻した。これに対応するフィリップ6世はフランス軍を率いてフランス北部クレシーでエドワード3世と対峙した。当時イングランド軍は1万-1万5000人だったが、フランス軍は2万-3万人と優勢だった。結果はフランスの大敗だった。イングランド軍の長弓が決定的だった。イングリッシュロングボウというイングランド軍の長弓は弓の長さが2メートルだが90メートル以上も飛び、フランス軍の鉄甲を突き抜け、馬を倒した。フランス軍はまともな戦闘もできずに後退した。
1592年の壬辰倭乱(文禄の役)当時、韓半島(朝鮮半島)に進駐した倭軍は陸地では破竹の勢いだったが、海では連戦連敗だった。李舜臣(イ・スンシン)将軍が指揮する朝鮮軍艦船の板屋船に20門ほど搭載された天字銃筒など大砲の射程距離は900メートルであるのに対し、倭軍の艦船の大砲は2、3門にすぎず、鳥銃の射程距離は50-100メートルだった。李舜臣は倭軍の艦船と一定の距離を維持しながら大砲を浴びせた。閑山(ハンサン)大捷など李舜臣将軍の23戦23勝だった。
2003年のイラク戦争で米軍はイラク軍を完全に制圧した。米軍はイラク軍の位置を先に把握して精巧に攻略した。米軍の作戦はイラク部隊に非対称的時間差攻撃で進められた。イラク軍は被害を判断する前にまた攻撃を受けた。攻撃が繰り返されるとイラク軍はまひし、戦闘意志は崩れた。米軍は正確な情報を基盤に「観測→判断→決心→戦闘施行」など戦闘サイクルを速かに稼働した。逆にイラク軍は米軍の位置も把握できず、意思決定はさらに遅れた。
◆先進国、新技術で軍隊革新中
戦争は武器と戦闘方式の革新によって勝敗が決まるケースが多い。最近、米国、中国、ロシアなど軍事強国は急速に発展した軍事科学技術で軍隊を完全に改造している。人工知能(AI)・ロボット・ドローン・情報通信・量子コンピューティングなど第4次産業革命技術とレーザー・ステルスなど新技術が次々と開発されているからだ。従来の武器と戦闘方式では戦争の勝利どころか、国土防衛も確実でない。戦争で自国の軍人と国民を犠牲にするだけだ。実際、米国は米本土から韓半島(朝鮮半島)にいたる領域でAI-無人戦闘体系を構築している。
中国は知能化された技術軍を目標にAIや量子などを軍に集中導入している。ロシアはプーチン大統領の指示で2025年までに独立的に戦闘任務を遂行できるロボット戦闘部隊を創設する。日本も米国などの支援を受けて無人戦闘機を開発し、2035年から配備することを推進している。有人戦闘機1機と無人戦闘機3機が一つのチームで空中作戦をする。核兵器とミサイルだけを信じる北朝鮮を除いた韓半島周辺のすべての国が軍隊を革新している。
しかし韓国は米国防総省が2009年に破棄した国防改革方式をまだ推進している。いわゆる文在寅式「国防改革2.0」だ。こうした国防改革では国防部が目標とする能動的防衛戦略を実現できない。「能動的防衛」とは、防御と競争で戦争拡大を防ぐが、必要な時には攻勢的に作戦を遂行する。しかし現在の韓国軍は攻勢的概念の能動的防衛戦略を遂行するのに限界がある。しかも人口減少で韓国軍は近い将来、総兵力40万人を満たすのが難しくなる。米軍がAI-ロボット戦闘体系を備えれば韓米連合訓練自体も難しくなる。韓米軍のレベルの差があまりにも大きく広がるからだ。これでは北朝鮮の核・ミサイルへの対処も難しいうえ、周辺強大国を牽制できない。
◆国防改革2.0では未来を担保できず
それで国防部は紆余曲折の末、7月末に未来国防革新案を公開した。時代遅れの国防改革2.0では未来の安全保障を担保できないからだ。革新案は、韓国軍がAIや無人戦闘体系など先端技術を基盤とする作戦能力を持つというのが核心だ。国防部は国防無人体系発展マスタープランと中長期ロードマップを年末までに作成することにした。これに合わせて「国防ビジョン2050」を立てて、陸・海・空軍と海兵隊もビジョンを作っている。しかし米国など先進国より10年以上の遅れをとった。
国防部によると、こうしたビジョンの一環として、宇宙・サイバー・ミサイルを統合した戦略軍司令部を創設するという。敵が韓国上空に接近さえできないよう「知能型統合空中防御体系」も推進する。このためミサイルを迎撃できる数百キロワット級レーザー武器を10年以内に開発するなど、先端迎撃体系と遠距離監視体系も備える。また、自律・知能化された有人および無人複合戦闘体系も開発する。戦争の版図を変えることができる極超音速および超長射程ミサイル、レールガン、生体模倣ロボット、ステルス戦車と無人戦闘機、戦闘ロボット、スマート戦闘服、量子技術などのゲームチェンジャーも確保する計画という。
国防部の構想は防衛事業庁につながった。国防部がいくらゲームチェンジャー武器を確保しようとしても、防衛事業庁が腕を組んでいればそれまでだ。新しい先端武器は独自では可能でない。AIとロボット・量子など核心技術の専門家はほとんどが民間で活動している。米国防総省もAI基盤の無人戦闘体系を構築するため多くの民間企業と研究所に課題を割り当てている。開発に失敗する可能性もある。ところが防衛事業庁は防衛事業の不正を一掃するために設立された機関だ。挑戦するよりも事なかれ主義であり、閉鎖的な風潮がある。失敗の可能性がある技術と武器開発は避け、責任を避けようとする雰囲気だ。
実際、防衛事業庁が最近完了した国防技術開発340件余りのうち失敗はわずか1件にすぎない。開発成功率は99%を超える。確実に成功するプロジェクトばかりを遂行してきたということだ。技術レベルが高い米国も成功率は80%だ。韓国の国防科学技術開発から挑戦精神が消えて久しい。その防衛事業庁が雰囲気を変えるという。開発難易度が高い技術を「超一流開発事業」という名で今年下半期から挑戦する。防衛事業庁のチェ・ホチョン未来戦力事業本部長は「5年以内に試作品形態であれ実際の環境で運用してみるのが目標」と述べた。過去には武器開発に平均10年かかった。誠実に研究して失敗すれば容認するという。ところが今後を眺める必要がある。
<Mr.ミリタリー>AI・無人ロボット…韓国国防部がもたつく間に米国に10年の遅れ?(2)
1592年の壬辰倭乱(文禄の役)当時、韓半島(朝鮮半島)に進駐した倭軍は陸地では破竹の勢いだったが、海では連戦連敗だった。李舜臣(イ・スンシン)将軍が指揮する朝鮮軍艦船の板屋船に20門ほど搭載された天字銃筒など大砲の射程距離は900メートルであるのに対し、倭軍の艦船の大砲は2、3門にすぎず、鳥銃の射程距離は50-100メートルだった。李舜臣は倭軍の艦船と一定の距離を維持しながら大砲を浴びせた。閑山(ハンサン)大捷など李舜臣将軍の23戦23勝だった。
2003年のイラク戦争で米軍はイラク軍を完全に制圧した。米軍はイラク軍の位置を先に把握して精巧に攻略した。米軍の作戦はイラク部隊に非対称的時間差攻撃で進められた。イラク軍は被害を判断する前にまた攻撃を受けた。攻撃が繰り返されるとイラク軍はまひし、戦闘意志は崩れた。米軍は正確な情報を基盤に「観測→判断→決心→戦闘施行」など戦闘サイクルを速かに稼働した。逆にイラク軍は米軍の位置も把握できず、意思決定はさらに遅れた。
◆先進国、新技術で軍隊革新中
戦争は武器と戦闘方式の革新によって勝敗が決まるケースが多い。最近、米国、中国、ロシアなど軍事強国は急速に発展した軍事科学技術で軍隊を完全に改造している。人工知能(AI)・ロボット・ドローン・情報通信・量子コンピューティングなど第4次産業革命技術とレーザー・ステルスなど新技術が次々と開発されているからだ。従来の武器と戦闘方式では戦争の勝利どころか、国土防衛も確実でない。戦争で自国の軍人と国民を犠牲にするだけだ。実際、米国は米本土から韓半島(朝鮮半島)にいたる領域でAI-無人戦闘体系を構築している。
中国は知能化された技術軍を目標にAIや量子などを軍に集中導入している。ロシアはプーチン大統領の指示で2025年までに独立的に戦闘任務を遂行できるロボット戦闘部隊を創設する。日本も米国などの支援を受けて無人戦闘機を開発し、2035年から配備することを推進している。有人戦闘機1機と無人戦闘機3機が一つのチームで空中作戦をする。核兵器とミサイルだけを信じる北朝鮮を除いた韓半島周辺のすべての国が軍隊を革新している。
しかし韓国は米国防総省が2009年に破棄した国防改革方式をまだ推進している。いわゆる文在寅式「国防改革2.0」だ。こうした国防改革では国防部が目標とする能動的防衛戦略を実現できない。「能動的防衛」とは、防御と競争で戦争拡大を防ぐが、必要な時には攻勢的に作戦を遂行する。しかし現在の韓国軍は攻勢的概念の能動的防衛戦略を遂行するのに限界がある。しかも人口減少で韓国軍は近い将来、総兵力40万人を満たすのが難しくなる。米軍がAI-ロボット戦闘体系を備えれば韓米連合訓練自体も難しくなる。韓米軍のレベルの差があまりにも大きく広がるからだ。これでは北朝鮮の核・ミサイルへの対処も難しいうえ、周辺強大国を牽制できない。
◆国防改革2.0では未来を担保できず
それで国防部は紆余曲折の末、7月末に未来国防革新案を公開した。時代遅れの国防改革2.0では未来の安全保障を担保できないからだ。革新案は、韓国軍がAIや無人戦闘体系など先端技術を基盤とする作戦能力を持つというのが核心だ。国防部は国防無人体系発展マスタープランと中長期ロードマップを年末までに作成することにした。これに合わせて「国防ビジョン2050」を立てて、陸・海・空軍と海兵隊もビジョンを作っている。しかし米国など先進国より10年以上の遅れをとった。
国防部によると、こうしたビジョンの一環として、宇宙・サイバー・ミサイルを統合した戦略軍司令部を創設するという。敵が韓国上空に接近さえできないよう「知能型統合空中防御体系」も推進する。このためミサイルを迎撃できる数百キロワット級レーザー武器を10年以内に開発するなど、先端迎撃体系と遠距離監視体系も備える。また、自律・知能化された有人および無人複合戦闘体系も開発する。戦争の版図を変えることができる極超音速および超長射程ミサイル、レールガン、生体模倣ロボット、ステルス戦車と無人戦闘機、戦闘ロボット、スマート戦闘服、量子技術などのゲームチェンジャーも確保する計画という。
国防部の構想は防衛事業庁につながった。国防部がいくらゲームチェンジャー武器を確保しようとしても、防衛事業庁が腕を組んでいればそれまでだ。新しい先端武器は独自では可能でない。AIとロボット・量子など核心技術の専門家はほとんどが民間で活動している。米国防総省もAI基盤の無人戦闘体系を構築するため多くの民間企業と研究所に課題を割り当てている。開発に失敗する可能性もある。ところが防衛事業庁は防衛事業の不正を一掃するために設立された機関だ。挑戦するよりも事なかれ主義であり、閉鎖的な風潮がある。失敗の可能性がある技術と武器開発は避け、責任を避けようとする雰囲気だ。
実際、防衛事業庁が最近完了した国防技術開発340件余りのうち失敗はわずか1件にすぎない。開発成功率は99%を超える。確実に成功するプロジェクトばかりを遂行してきたということだ。技術レベルが高い米国も成功率は80%だ。韓国の国防科学技術開発から挑戦精神が消えて久しい。その防衛事業庁が雰囲気を変えるという。開発難易度が高い技術を「超一流開発事業」という名で今年下半期から挑戦する。防衛事業庁のチェ・ホチョン未来戦力事業本部長は「5年以内に試作品形態であれ実際の環境で運用してみるのが目標」と述べた。過去には武器開発に平均10年かかった。誠実に研究して失敗すれば容認するという。ところが今後を眺める必要がある。
<Mr.ミリタリー>AI・無人ロボット…韓国国防部がもたつく間に米国に10年の遅れ?(2)
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