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【噴水台】コロナ五輪

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
競技を前に、爪の先まで全身の力を引き上げなければならない運動選手にとって食事は一種の神聖な「儀式」だ。1996年12月。中国・北京で開催されたショートトラック大会を控え、韓国代表には変わったことが注文された。卵チャーハンを食べてはならないということだった。氷上で刹那を争う選手たちが「転倒しないように」監督がタブーの食品を定めたが、バナナ・わかめなどのつるつるしたものや、卵のように割れる可能性があることが禁止の対象だった。いわば一種のジンクスだった。

食べ物が十分でなかった時代には、ユニークな料理が選手に愛された。ベルリン五輪(1936年)のマラソン金メダルの英雄、孫基禎(ソン・ギジョン)選手がそうだった。不足している塩分とタンパク質補充のために後輩選手を訓練する時、アミの塩辛と鶏の丸焼きにこだわった。同大会で銅メダルを獲得した南昇竜(ナム・スンニョン)選手が最も愛したマラソンの補薬は大福。大会当日は必ず大福を食べていた南選手は急いで買い求めた餅に似ているものを食べて出場したが、3位に留まったのは大福が食べられなかったためだと嘆いたという。

食事は万国の選手たちの共通の関心事だが、アトランタ五輪(1996年)の時は、中国の重量挙げ代表監督が食事の問題で激怒した。選手村の食事に中国料理が含まれていなかったためだ。肝が据わった監督は、笑えない話をメディアに残した。「こんなことだろうと思って秘蔵の武器をたっぷり準備した。ラーメンだ」


今回も食事の問題で騒がしかった。2020東京五輪選手村の近くに韓国選手団が給食支援センターを設けると、日本の一部で「(食材を供給する)福島住民の心を踏みにじる行為」と反発した。米国選手団も独自調達していることが判明し、反対はトーンダウンした。

2020東京五輪の開会式が今夜行われる。新型コロナで1年延期された五輪の聖火が燃え上がる。史上初めて行われるコロナ五輪だ。血の汗を流し、大会に備えた選手たちは、観客の歓声なく競技を行わなければならない。感染の懸念のために金メダルを獲得しても、自分で自分の首にメダルをかけなければならず、授賞式では団体写真を撮ることができない。ハイタッチや対戦相手との握手もすることができない。更に「途中中断」の言及が出るほど深刻な変異株の拡散まで、選手たちにとって取るに足らないことはただの1つもない。ドラマは始まった。すでにあなた達はチャンピオンだ。

キム・ヒョネ/Pチーム長



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