東京に来て12日目。いよいよ、きょうが開会式だ。しかし、ここが本当にオリンピック(五輪)が開催される場所なのだろうかと思う。
選手たちの姿をカメラに収めるため、東京の夢の島公園アーチェリー場、有明体操競技場などを訪れた。都心を横切る車窓の外を見ると、五輪の広告や公式バナーは見当たらない。むしろ、渋谷のスクランブル交差点で防弾少年団(BTS)のアルバムの広報車が目に入った。
五輪の雰囲気を少しでも感じることができたのは、21日、五輪スタジアムに行った時だった。この日、日本の航空自衛隊のブルーインパルスが「アクロバット飛行」の予行演習を行った。戦闘機5機が上空で五輪旗を描いた。東京市民がカメラにこの様子を収めた。それがすべてだった。
五輪の熱気はどこにもない。「蒸し暑さ」の方が熱い。体感温度は摂氏40度に及ぶ。日本の市民の一部は、暑さのためか「ノーマスク」で街を歩いている。
現在、日本では緊急事態宣言が発令されている。すべての飲食店は午後8時まで営業する。酒類の提供はできない。違反した場合、30万円以下の過料が課されるが、これを守らない飲食店もかなりある。赤坂、新宿、渋谷などの街には、お酒を飲んでいる人が多いという。一方、選手団や海外取材陣には厳しい防疫ルールを求めている。現在、私は行ける場所は、競技場、メインプレスセンター(MPC)、選手村だけだ。
4日間の自己隔離が終わったが、入国後14日間の活動は制限される。公共交通機関も利用することができない。後輩の記者は韓国サッカー代表チームの取材のためにタクシー代に往復7万円払った。東京から鹿嶋までタクシーで片道だけで3万4820円だ。TM(ホテル~スタジアムを往復するシャトルバス)があるが、座席との運営時間が限られている。結局、「TCT(組織委員会提携のタクシー)」を利用するしかない。組織委員会からTCTの1万円分の無料クーポンが14枚提供されるが、これを使い切ったら自己負担だ。
競技場の取材も事前に予約しなければならない。1メートル以上距離を空けなければならない写真記者の立場は、特に制限される。組織委員会は、「公式通信社、地元メディア、国際五輪委員会(IOC)に多く貢献したメディアの順に入場を許可する」とした。自国の選手が出場する試合は、優先的に割り当てるというが、一日ごとにチケット入手に奮闘しなければならない。
「コンビニ利用制限15分」もそのままだ。防疫ルールを破る記者をキャッチするためのパパラッチが登場したという話もある。あまりのことに、「海外記者をウイルス扱いするのか」という話まで出ている。
選手たちはライバル選手よりもウイルスとより激しい戦いを繰り広げている。開幕もしないうちに何人もの選手が新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)陽性判定を受け、五輪出場が見送られた。
21日、射撃女子クレー・スキート世界ランキング1位のアンバー・ヒル選手(24・英国)は、東京行きの飛行機に乗らなかった。競技は26日だが、出国前に新型コロナ陽性判定を受けた。無症状だが、英国政府の指示によって隔離され、五輪出場が叶わなかった。ヒル選手は「今の気持ちを表現する言葉が見つからない。5年間トレーニングして準備したが、新型コロナ陽性が出た」と複雑な心境を伝えた。世界1位も新型コロナに負けた。5年間、骨身を削るような苦痛に耐えて努力したのに…。
ロシアの水泳の天才・イリヤ・ボロディン選手(18)は、ロシア・ウラジオストクで訓練中に新型コロナに感染した。米国テニス代表のコリ・ガウフ選手(17)も陽性判定を受け、夢をあきらめた。このほか、テコンドーチリ代表のフェルナンダ・アギーレ選手、テニスオーストラリア代表のアレックス・デミノー選手なども新型コロナに感染し、五輪をテレビで見るほかなくなった。
五輪選手村でも選手と関係者などの感染が続いている。22日午後現在、出場者のうち新型コロナ感染者は87人にのぼる。開幕後もこのような勢いは、衰えなさそうだ。今回の五輪は実力よりも新型コロナにかからない「幸運」の方がより重要かもしれない。
23日の東京五輪開会式のテーマは「感動で私たちは一つになる(United by Emotion)」だ。隔離とソーシャルディスタンスが重要な今、五輪で一つになれるだろうか。
選手たちの姿をカメラに収めるため、東京の夢の島公園アーチェリー場、有明体操競技場などを訪れた。都心を横切る車窓の外を見ると、五輪の広告や公式バナーは見当たらない。むしろ、渋谷のスクランブル交差点で防弾少年団(BTS)のアルバムの広報車が目に入った。
五輪の雰囲気を少しでも感じることができたのは、21日、五輪スタジアムに行った時だった。この日、日本の航空自衛隊のブルーインパルスが「アクロバット飛行」の予行演習を行った。戦闘機5機が上空で五輪旗を描いた。東京市民がカメラにこの様子を収めた。それがすべてだった。
五輪の熱気はどこにもない。「蒸し暑さ」の方が熱い。体感温度は摂氏40度に及ぶ。日本の市民の一部は、暑さのためか「ノーマスク」で街を歩いている。
現在、日本では緊急事態宣言が発令されている。すべての飲食店は午後8時まで営業する。酒類の提供はできない。違反した場合、30万円以下の過料が課されるが、これを守らない飲食店もかなりある。赤坂、新宿、渋谷などの街には、お酒を飲んでいる人が多いという。一方、選手団や海外取材陣には厳しい防疫ルールを求めている。現在、私は行ける場所は、競技場、メインプレスセンター(MPC)、選手村だけだ。
4日間の自己隔離が終わったが、入国後14日間の活動は制限される。公共交通機関も利用することができない。後輩の記者は韓国サッカー代表チームの取材のためにタクシー代に往復7万円払った。東京から鹿嶋までタクシーで片道だけで3万4820円だ。TM(ホテル~スタジアムを往復するシャトルバス)があるが、座席との運営時間が限られている。結局、「TCT(組織委員会提携のタクシー)」を利用するしかない。組織委員会からTCTの1万円分の無料クーポンが14枚提供されるが、これを使い切ったら自己負担だ。
競技場の取材も事前に予約しなければならない。1メートル以上距離を空けなければならない写真記者の立場は、特に制限される。組織委員会は、「公式通信社、地元メディア、国際五輪委員会(IOC)に多く貢献したメディアの順に入場を許可する」とした。自国の選手が出場する試合は、優先的に割り当てるというが、一日ごとにチケット入手に奮闘しなければならない。
「コンビニ利用制限15分」もそのままだ。防疫ルールを破る記者をキャッチするためのパパラッチが登場したという話もある。あまりのことに、「海外記者をウイルス扱いするのか」という話まで出ている。
選手たちはライバル選手よりもウイルスとより激しい戦いを繰り広げている。開幕もしないうちに何人もの選手が新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)陽性判定を受け、五輪出場が見送られた。
21日、射撃女子クレー・スキート世界ランキング1位のアンバー・ヒル選手(24・英国)は、東京行きの飛行機に乗らなかった。競技は26日だが、出国前に新型コロナ陽性判定を受けた。無症状だが、英国政府の指示によって隔離され、五輪出場が叶わなかった。ヒル選手は「今の気持ちを表現する言葉が見つからない。5年間トレーニングして準備したが、新型コロナ陽性が出た」と複雑な心境を伝えた。世界1位も新型コロナに負けた。5年間、骨身を削るような苦痛に耐えて努力したのに…。
ロシアの水泳の天才・イリヤ・ボロディン選手(18)は、ロシア・ウラジオストクで訓練中に新型コロナに感染した。米国テニス代表のコリ・ガウフ選手(17)も陽性判定を受け、夢をあきらめた。このほか、テコンドーチリ代表のフェルナンダ・アギーレ選手、テニスオーストラリア代表のアレックス・デミノー選手なども新型コロナに感染し、五輪をテレビで見るほかなくなった。
五輪選手村でも選手と関係者などの感染が続いている。22日午後現在、出場者のうち新型コロナ感染者は87人にのぼる。開幕後もこのような勢いは、衰えなさそうだ。今回の五輪は実力よりも新型コロナにかからない「幸運」の方がより重要かもしれない。
23日の東京五輪開会式のテーマは「感動で私たちは一つになる(United by Emotion)」だ。隔離とソーシャルディスタンスが重要な今、五輪で一つになれるだろうか。
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