中国の動画投稿アプリのティックトックを運営するバイトダンスが４月に米ニューヨーク証券市場上場を断念したことが中国規制当局の圧力のためだったとウォール・ストリート・ジャーナルが１３日に報道した。バイトダンスは昨年から米国や香港の証券市場での企業公開（ＩＰＯ）を推進してきた。４月２３日には突然「ＩＰＯに必要な要件をそろえられなかったと自主的に判断した。現在としてはＩＰＯの計画はない」という立場を出した。同社の昨年の売上額は３４３億ドルだった。一時この会社の企業価値は１８００億ドルに達するという話も業界から出ていた。

同紙は匿名の関係者の話しとして、バイトダンスの張一鳴創業者兼最高経営責任者（ＣＥＯ）が３月初めに中国のインターネット監督機関である国家インターネット情報弁公室（ＣＡＣ）関係者に会ったと報道した。ＣＡＣ関係者はバイトダンスのアプリケーションがデータセキュリティ規定に違反しかねないと懸念したという。その上でバイトダンスがどのようにデータを収集し保存、管理するのか確認したと同紙は伝えた。

張ＣＥＯはＣＡＣ関係者と面談した後にＣＥＯから退くと明らかにした。５月には後任のＣＥＯを発表した。年末までに引き継ぎ作業を終えるという計画だ。


同紙によると、ユーモアを紹介するバイトダンスのアプリ「内涵段子」は２０１８年初めに中国の規制当局によって閉鎖された。当時規制当局は内涵段子が低俗な内容を含んでいるという理由を挙げた。こうした規制学習効果があったためバイトダンスの上場撤回決定も速やかになされたと同紙は紹介した。

同紙は「以前まで外国証券市場上場を推進する中国企業はＣＡＣの許可が必要でなかった。米国と中国の緊張が深まり昨年末から非公式にＣＡＣの承認を要求してきた」と伝えた。

「中国版ウーバー」と呼ばれた配車アプリの滴滴出行はこうした中国規制当局の意向に逆らい先月末にニューヨーク証券市場に上場した。その後規制当局は滴滴出行に国家安保規定違反という重大な容疑をかぶせて調査に入った。中国のすべてのアプリストアから滴滴出行のアプリを削除しろという指示も出した。

ＣＡＣが最近公開したインターネット安保審査規定改正案によると、会員１００万人以上の中国のインターネット企業が外国証券市場に上場するには必ず事前審査を受けなければならない。同紙は「ニューヨーク証券市場上場を準備していた中国企業はＩＰＯ手続きを中断したり香港証券市場に上場する代案を模索している」と伝えた。