2.少子高齢化の津波
日本は少子高齢化が深刻化している。日本の国会は最近75歳以上の高齢者の医療費本人負担率を引き上げる法案を通過させた。制度が施行されれば75歳以上の人口は年金を含めた年間所得が200万円以上の場合に医療費の本人負担金が現行の10%から20%に増える。古紙や空き缶を回収して生計を維持する「貧困高齢者」があふれる日本で相当数の高齢者が生計費から医療費を負担しなければならない状況だ。
これを通じて削減できる医療費はせいぜい年間830億円だ。このように乾いたタオルをも絞らなければならない理由は人口減少問題と関連している絡。少子化が続く日本では高齢者の医療費負担を増やさなければ現役世代がその負担を耐えられなくなった。昨年日本の人口が0.7%(87万人)減少し世界の人口順位で10位から11位に落ちた余波だ。日本は昨年新生児数が84万人にとどまった。年間120万人以上が生まれた1980年代の高度成長時期の3分の2だ。出生率はこの5年連続で低下し1.34を記録した。第4次産業革命と人口減少がかみ合わさり若い層の雇用は減り続けるほかない。すでに潜在成長率が1%に落ち込んだ日本としては、いくらがんばっても低成長の泥沼から抜け出すことはできないという現実に直面した。
この姿は近い将来現実化する韓国の未来だ。1955~1963年生まれの700万人のベビーブーマーが高齢化し、毎年数十兆ウォンを投じてきたが、出生率は0.8%台に落ちた。近く日本を襲った高齢者医療費大乱と少子化にともなう経済躍動性低下の悪循環が韓国にも津波のように押し寄せるだろうという点を日本が「プレビュー」のように見せている格好だ。
中国もやはり同様の悩みに陥った。フィナンシャル・タイムズは「2019年に中国は過去の毛沢東時代の破壊的大躍進運動で餓死者が続出してから50年以上ぶりに初めて人口が減った」と報道した。中国がひとりっ子の原則に固執した結果で、中国経済に甚大な影響を及ぼすと予想した。経済の躍動性低下だけでなく、年金と医療費など高齢者扶養負担が増え中国経済に重荷となるためだ。中国政府があたふたと3人まで子どもを認める方針を打ち出したが、中国もやはり2019年から国民所得1万ドル時代を開き少子化の風潮が拡散しており結果を楽観するのは難しくなった。
3.グローバルリーダーに戻った米国
バイデン米大統領の活躍がすさまじい。グローバル最低法人税率15%を導入し、ビッグテック企業に対しては売り上げが発生した国に税金を払う国際協定を主導している。既存の租税体系の隙間や租税回避地を活用して税金賦課を回避しようとしていたビッグテック企業が鉄槌を受けることになった。先進7カ国(G7)だけでなく欧州連合(EU)加盟国の大多数がこの法案に賛成票を投じている。各国の法人税を国際規範で強制しようとする動きは今回が初めてだ。
これらすべてをバイデン大統領が主導し、それこそ米国が「世界秩序の軸」に戻っている。第2次世界大戦後の国際金融秩序を出発させた1944年のブレトンウッズ体制スタートと1971年のニクソン政権の金兌換(金保有量ドルと交換する制度)停止宣言にともなう金本位制の瓦解、1985年の人為的な円高誘導で日本経済衰退の導火線になったプラザ合意に比肩するほどの衝撃波が予想される。
最近のインフレ問題の震源も米国だ。米国経済が急速に回復し、イエレン米財務長官は繰り返し金利引き上げ不可避説を広めている。ニューヨーク・タイムズは「しっかりと準備しなければならない」と連日警告している。米連邦準備制度理事会(FRB)は基準金利引き上げ時期を当初より繰り上げた2023年末までだと釘を刺した。韓国銀行も年内に2回の金利引き上げを予告した。市場金利はすでに高騰している。3年物国債利回りは19カ月ぶりの高水準となった。2008年のように世界的な金融市場発作がいつでも起こりうる。だれであれ迅速に負債を解消し衝撃に備えなければならない。韓国政府が推進する33兆ウォン規模の追加補正予算も再考する必要が大きくなった。
米国の金利引き上げによりドル高に転じる可能性が大きくなっている。最近韓国の外為市場でドル相場はすでに1ドル=1130ウォン台にドル高が進んでいる。
キム・ドンホ/論説委員
【コラム】企業革新、経済成長が止まる瞬間「ジャパニフィケーション」がくる=韓国(1)
日本は少子高齢化が深刻化している。日本の国会は最近75歳以上の高齢者の医療費本人負担率を引き上げる法案を通過させた。制度が施行されれば75歳以上の人口は年金を含めた年間所得が200万円以上の場合に医療費の本人負担金が現行の10%から20%に増える。古紙や空き缶を回収して生計を維持する「貧困高齢者」があふれる日本で相当数の高齢者が生計費から医療費を負担しなければならない状況だ。
これを通じて削減できる医療費はせいぜい年間830億円だ。このように乾いたタオルをも絞らなければならない理由は人口減少問題と関連している絡。少子化が続く日本では高齢者の医療費負担を増やさなければ現役世代がその負担を耐えられなくなった。昨年日本の人口が0.7%(87万人)減少し世界の人口順位で10位から11位に落ちた余波だ。日本は昨年新生児数が84万人にとどまった。年間120万人以上が生まれた1980年代の高度成長時期の3分の2だ。出生率はこの5年連続で低下し1.34を記録した。第4次産業革命と人口減少がかみ合わさり若い層の雇用は減り続けるほかない。すでに潜在成長率が1%に落ち込んだ日本としては、いくらがんばっても低成長の泥沼から抜け出すことはできないという現実に直面した。
この姿は近い将来現実化する韓国の未来だ。1955~1963年生まれの700万人のベビーブーマーが高齢化し、毎年数十兆ウォンを投じてきたが、出生率は0.8%台に落ちた。近く日本を襲った高齢者医療費大乱と少子化にともなう経済躍動性低下の悪循環が韓国にも津波のように押し寄せるだろうという点を日本が「プレビュー」のように見せている格好だ。
中国もやはり同様の悩みに陥った。フィナンシャル・タイムズは「2019年に中国は過去の毛沢東時代の破壊的大躍進運動で餓死者が続出してから50年以上ぶりに初めて人口が減った」と報道した。中国がひとりっ子の原則に固執した結果で、中国経済に甚大な影響を及ぼすと予想した。経済の躍動性低下だけでなく、年金と医療費など高齢者扶養負担が増え中国経済に重荷となるためだ。中国政府があたふたと3人まで子どもを認める方針を打ち出したが、中国もやはり2019年から国民所得1万ドル時代を開き少子化の風潮が拡散しており結果を楽観するのは難しくなった。
3.グローバルリーダーに戻った米国
バイデン米大統領の活躍がすさまじい。グローバル最低法人税率15%を導入し、ビッグテック企業に対しては売り上げが発生した国に税金を払う国際協定を主導している。既存の租税体系の隙間や租税回避地を活用して税金賦課を回避しようとしていたビッグテック企業が鉄槌を受けることになった。先進7カ国(G7)だけでなく欧州連合(EU)加盟国の大多数がこの法案に賛成票を投じている。各国の法人税を国際規範で強制しようとする動きは今回が初めてだ。
これらすべてをバイデン大統領が主導し、それこそ米国が「世界秩序の軸」に戻っている。第2次世界大戦後の国際金融秩序を出発させた1944年のブレトンウッズ体制スタートと1971年のニクソン政権の金兌換(金保有量ドルと交換する制度)停止宣言にともなう金本位制の瓦解、1985年の人為的な円高誘導で日本経済衰退の導火線になったプラザ合意に比肩するほどの衝撃波が予想される。
最近のインフレ問題の震源も米国だ。米国経済が急速に回復し、イエレン米財務長官は繰り返し金利引き上げ不可避説を広めている。ニューヨーク・タイムズは「しっかりと準備しなければならない」と連日警告している。米連邦準備制度理事会(FRB)は基準金利引き上げ時期を当初より繰り上げた2023年末までだと釘を刺した。韓国銀行も年内に2回の金利引き上げを予告した。市場金利はすでに高騰している。3年物国債利回りは19カ月ぶりの高水準となった。2008年のように世界的な金融市場発作がいつでも起こりうる。だれであれ迅速に負債を解消し衝撃に備えなければならない。韓国政府が推進する33兆ウォン規模の追加補正予算も再考する必要が大きくなった。
米国の金利引き上げによりドル高に転じる可能性が大きくなっている。最近韓国の外為市場でドル相場はすでに1ドル=1130ウォン台にドル高が進んでいる。
キム・ドンホ/論説委員
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