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「文在寅政権の法超越と迂回、民主主義原理との衝突多い」

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版

崔章集教授が7日、済州道庁で韓国の民主主義について話している。[写真 済州道庁]

文在寅(ムン・ジェイン)政権は2016年のろうそくデモをろうそく革命と規定する。文大統領が「ろうそく革命は大統領としての私の出発点」(2017年6月)と述べたこともある。

進歩的政治学者である崔章集(チェ・ジャンジブ)高麗(コリョ)大学名誉教授は、「ろうそく革命と規定すること自体が誤ったもの。『ネロナムブル』(自分がやればロマンス、他人がやれば不倫。ダブルスタンダード)という表現もあるが、自ら道徳的で正当だと自認し信じることになる間に相手は改革の対象になり清算の対象になるのは民主主義の下ではとても危険な発想」と反論する。

農民・労働者・青年など「幅広い意味で社会からの要求」だったろうそくデモを文在寅政権が「革命」と定義したことは結果的に韓国の民主主義発展に重要な変曲点になったが、特に保守的政治エリートも同意した一種の暗黙的協約であり、平和的民主主義への移行を可能にさせた政治的基盤だった1987年体制を解体する結果をもたらしたとみるからだ。彼は「政治的に過去の保守勢力を否定するだけでなく道徳的に肯定的であれ否定的であれ現在を作ってきた過去を概ね否定する現象を作り出した。保守と進歩間の対立レベルを高め、二極化しながら対立を社会全体に拡散・深化する結果をもたらした。それにより韓国の民主主義が危険に陥ることになった」と診断した。


彼は7日に済州(チェジュ)で4時間近く韓国民主主義の危機について話した。100分間は済州研究院24周年特別講演で、130分間は元熙竜(ウォン・ヒリョン)済州道知事との対談だった。「韓国の民主主義の将来は悲観的という気がする」とまで話す彼の診断と懸念、助言を整理した。

◇保守と進歩の対立高め二極化拡散

Q:87年体制に保守も寄与したと評価した。

A:「進歩勢力が最大化された最新バージョンが文在寅政権だと考えるが、歴史と民主化を半分しか客観的に理解していないと考える。87年の民主化は旧体制の軍部権威主義勢力が民主主義に同意しなかったなら、われわれが経験したやり方で民主化はされなかっただろう。ミャンマーを見るべき。言うなれば6月抗争は全斗煥(チョン・ドゥファン)政権が軍事力を使わなかった結果、それでも血を流さず民主主義への移行を成就できた。その結果として民主化・保守勢力などさまざまな政派から出た8人の代表の合意を通じて民主憲法(87年10月)を作ることになったものだ。韓国の民主化は運動が主導したが、内容的には旧体制の執権勢力と民主派のパワーバランスを通じた『協約による民主化』と言える」

Q:ろうそくデモ以降に民主主義観も変わったと指摘した。

A:「積弊・歴史清算を改革政策に向けたスローガンとして押し進める感情的急進主義が政治を主導するに至った。既得勢力を清算しようとして制度圏政治に対する嫌悪が広がりかねない政治環境が作られ、ソーシャルメディアを通じて敵と味方を区分して世論を創出することが実際の政治を支配する現象が明確になった。新政権のエリートはいつの間にか自由主義的代議制民主主義を否定的に見て、民衆主義的(ポピュリスト)であり大衆参加的な直接民主主義を強調する現象を見ることになる。われわれが知っておりこれまで努力してきた民主主義は制度の枠組みの中で選出された代表を通じてなされる時に初めて国民の意思をまともに代表できるものだ。しかしいまは広場に行く。道路で大声を張り上げ、スポーツ中継するように何パーセントだ、何パーセントだ、と言いながら世論中心の政治をする。これは自由主義的代議制的政治的民主主義からの逸脱ないし歪曲だと考える」

崔教授はこの日、文大統領が2017年6月に民主抗争記念演説を通じて「政治と日常が、職場と家庭が民主主義につながる時、私たちの生活は揺らがない」と演説したのを引用し、「こうした形で民主主義を理解するのは望ましくない」と批判した。彼は「運動する方式ですべての社会を政治化し、市民運動の方式で民主主義を理解し、市民を普通の市民と『目覚めている市民』『ろうそく市民』に区分して彼らに民主主義を導いていく役割を付与するのは危険で全く望ましくない」とした。

Q:しばしば経済民主主義、経済民主化という言葉を使うのではないか。

A:「民主主義は政治的民主主義に限定されることが必要だ。直接民主主義観というか、運動論的民主主義観の観点から話す人たちは経済的差別が多く疎外勢力が多いが、これを解決できなければ何の民主主義か、言うなれば経済的民主主義を排除した政治的民主主義だけでそれを何の民主主義なのかと反論を提起したりする。われわれがこのように「最大の正義」を通じて民主主義を理解するならば民主主義は健全に発展するより失敗を呼び起こす可能性が大きい。もちろん韓国憲法にも経済条項がある。そうした表現は使うことはある。しかし経済的民主主義に拡張されなければ民主主義でないとするのは望ましくない。憲法の前文に盛り込むべきという主張もあるが、基本的に政治的民主主義を通じて経済的民主主義を実現できても、憲法前文に盛り込んで規定されることはできないと考える」

◇検察制度自らの悪魔化問題多い

Q:大統領に権力が集中したことを強く懸念する。

A:「韓国の自由主義的憲法の施行が可能になるためには三権分立と牽制と均衡の原理がどのように実現され、大統領の権力を牽制し法の支配の下に置けるようにできるかの問題が核心とみる。文在寅政権は民主主義の原理と衝突する場合が多く、法を超越したり迂回したりもする。制度としての検察そのものを悪魔化するよう改革を押し進める過程は本当に問題が多い。民主主義は大統領であれ、国のどんな機関であれ、だれも法の上に君臨できないという原理が核心だ。自ら法を作って自身のために法を守れというのは民主主義だと、法の支配だと言えないものだ」

Q:結局改憲の話をせざるをえない。

A:「5年単任制は民主化以降の政権交代が安定的に制度化するのに寄与していないのではないかと考える。大統領の権力がいくら強くても5年以上できないためだ。しかしいま民主化後1世代が過ぎ否定的要素は明らかになった。現制度の下で大統領への権力集中をどれだけ緩和できるかに対しては極めて懐疑的だ。一部では4年再任制を代案と考えるようだが現在の単任制よりさらに悪いとみる。理想的な代案は議会中心制だが、それへの改憲が難しいならば韓国憲法86条(首相は国会の同意を得て大統領が任命する)をさらに強化し、首相を大統領ではなく議会が選出するようにすれば良いと考える」。



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