バイデン大統領と文在寅(ムン・ジェイン)大統領のワシントン会談が10日後に行われる。バイデン大統領と韓国の指導者が初めて会い、同盟と国際的イシューへの対応をリセットする重要な時期だ。期待と同時に「異見の増幅だけはないことを望む」という不安が共存する。なぜか。
まずはバイデン大統領のカラー。バイデン氏は1973年に上院に入って以来およそ40年間をワシントンのインサイダーとして活躍した筋金入りの民主党員だ。民主党の核心的な価値は人権、人種平等、女性保護、水・大気など環境、公平課税、年金保護、医療保険、名分のない戦争(ベトナム・イラク)に対する嫌悪だ。そのすべての出発点は「人権」にある。民主党の十字軍的な姿勢を考えると、彼に説教をしたり教えたりして北朝鮮に寛大な互恵性を見せてほしいという性急な態度は成功確率がゼロだ。79歳の政治家が深く掘り下げてきた「原則」に関連する問題だ。
上院外交委員長を務めたバイデン氏の外交スタイルも明瞭だ。1979年にバイデン氏が米上院代表団長としてクレムリンでソ連のブレジネフ書記長、コスイギン首相と向き合った。コスイギン首相が「歴史上核兵器を使用した国は米国だけだ。あなたたちが先に我々に核を使用しないと言っても信ることができない」とし、3時間ほど長広舌をふるった。バイデン氏がすでに把握していた欧州内のソ連のタンク数がはるかに少なく言及されると、バイデン氏はこう語った。「コシギン首相、我々(米国)式に話しましょうか。たわごとはほどほどにしろ(Don’t bullshit a bullshitter)!」。同僚議員が後ほど「何と通訳したのか」と尋ねると、通訳官は「冗談はやめてください(Don’t kid a kidder)…」(ジョー・バイデン自叙伝)。
バイデン氏は1993年、「バルカンの虐殺者」ミロシェビッチ・セルビア大統領に対する空襲とボスニア武器禁輸の解除を促した。戦争の拡大をためらうクリントン大統領を「カクテル左派」と疑った彼はこう責めた。「あなたは事実と情報の把握だけに慣れて、自身の本能を信じないローズ奨学生病になっている」とし「今回は自身の本能を信じなければいけない時だ」と。いかなる事実やデータよりも凄惨な人権現場を優先視するバイデン流の本能だ。ミロシェビッチの面前で「このクソ戦犯(a damn warcriminal)」と吐いたのもバイデン氏だ。
自身の外交哲学を彼は自叙伝にこう要約した。「悲劇は権力を目的に偏見を利用した非常に利口な人たちから始まった。私は米国を背負って話す時に謙そんは率直ほど重要でない(modesty is not as important as candor)ということを経験から学んだ。世界の指導者らは弱気な態度のにおいをよく感じ取る。率直に話して米国の力を示すことが、むしろ彼らの信頼を得る道だ」と。「金正恩(キム・ジョンウン)はならず者(thug)」「習近平は体質的に民主主義的な点が一つもない」など、今でも彼は率直だ。ミロシェビッチまで含めて共産・社会主義体制やその指導者に対するこのカトリック信者「ジョセフ」の不信は信仰的・根源的であるようだ。いくら善意で包装して言葉を選んで北朝鮮をかばっても消えない信念であるようだ。
幸いなのは、最近、大きな枠組みの米国の外交に対する自省が始まっていることだ。1991年のソ連崩壊で唯一超強大国になった米国は30年間ほど自信に満ちた自由主義的覇権(liberal hegemony)政策を展開してきた。人権無視独裁指導者は追放して自由民主主義国家に変える果敢な体制変更(regime change)戦略だった。民主主義国同士は戦争をしないという理論も作用した。
しかしシカゴ大のジョン・ミアシャイマー教授は「1989年以降、米国は3年のうち2年は戦争をし、イラクやアフガニスタンなど7件の戦争をした」とし「自由主義覇権外交は全世界で民族主義と現実主義の激しい挑戦にぶつかり、さらに悪い状況ばかりを招いた」と米国内の省察を主導している。 「大統領バイデン」も過去をレビューし、より実用的な外交を図ろうとしている。ソ連を完全に封鎖する代わりに、中国とは半導体などコアテックの競争、圧力を予告しながらも気候変動・パンデミックなど人類普遍の価値での協力は併行しようとする。崩れた自由民主主義価値同盟の復元もトランプ反すうの結果だった。失敗したトランプ政権のビーガン北朝鮮政策特別代表の声にも傾聴してレビューしたバイデン大統領の対北朝鮮政策は「クリントン・ブッシュ・オバマ・トランプとは異なるはず」であり「トランプ政権の大妥協(grand bargain)でも、オバマ大統領の戦略的忍耐(strategic patience)でもなく、非核化段階別に相応措置を取る漸進的進展(incremental progress)」(ホワイトハウスのサキ報道官)だ。「よく調整された実用的接近であるため、北朝鮮が外交の機会をつかむべき」(ブリンケン国務長官)と…。
文大統領のワシントン成功法も単純になる。「韓国は人権と平和を追求する自由民主主義共和国」であることを鮮明にすることだ。それも社会主義体制との地政学的最前線の砦であることを…。この共感のもと▼韓米同盟の価値の再確認▼対話・外交を通じた北朝鮮の完全な非核化協調▼域内安保に必須の日本との関係改善努力--などが共有されることを期待してみる。何よりも特定陣営だけの指導者ではなく「大韓民国の大統領」として国民多数の望みをバイデン大統領に伝えることを願う。外交は権力エリートだけの専有物ではない。
チェ・フン/編集者
まずはバイデン大統領のカラー。バイデン氏は1973年に上院に入って以来およそ40年間をワシントンのインサイダーとして活躍した筋金入りの民主党員だ。民主党の核心的な価値は人権、人種平等、女性保護、水・大気など環境、公平課税、年金保護、医療保険、名分のない戦争(ベトナム・イラク)に対する嫌悪だ。そのすべての出発点は「人権」にある。民主党の十字軍的な姿勢を考えると、彼に説教をしたり教えたりして北朝鮮に寛大な互恵性を見せてほしいという性急な態度は成功確率がゼロだ。79歳の政治家が深く掘り下げてきた「原則」に関連する問題だ。
上院外交委員長を務めたバイデン氏の外交スタイルも明瞭だ。1979年にバイデン氏が米上院代表団長としてクレムリンでソ連のブレジネフ書記長、コスイギン首相と向き合った。コスイギン首相が「歴史上核兵器を使用した国は米国だけだ。あなたたちが先に我々に核を使用しないと言っても信ることができない」とし、3時間ほど長広舌をふるった。バイデン氏がすでに把握していた欧州内のソ連のタンク数がはるかに少なく言及されると、バイデン氏はこう語った。「コシギン首相、我々(米国)式に話しましょうか。たわごとはほどほどにしろ(Don’t bullshit a bullshitter)!」。同僚議員が後ほど「何と通訳したのか」と尋ねると、通訳官は「冗談はやめてください(Don’t kid a kidder)…」(ジョー・バイデン自叙伝)。
バイデン氏は1993年、「バルカンの虐殺者」ミロシェビッチ・セルビア大統領に対する空襲とボスニア武器禁輸の解除を促した。戦争の拡大をためらうクリントン大統領を「カクテル左派」と疑った彼はこう責めた。「あなたは事実と情報の把握だけに慣れて、自身の本能を信じないローズ奨学生病になっている」とし「今回は自身の本能を信じなければいけない時だ」と。いかなる事実やデータよりも凄惨な人権現場を優先視するバイデン流の本能だ。ミロシェビッチの面前で「このクソ戦犯(a damn warcriminal)」と吐いたのもバイデン氏だ。
自身の外交哲学を彼は自叙伝にこう要約した。「悲劇は権力を目的に偏見を利用した非常に利口な人たちから始まった。私は米国を背負って話す時に謙そんは率直ほど重要でない(modesty is not as important as candor)ということを経験から学んだ。世界の指導者らは弱気な態度のにおいをよく感じ取る。率直に話して米国の力を示すことが、むしろ彼らの信頼を得る道だ」と。「金正恩(キム・ジョンウン)はならず者(thug)」「習近平は体質的に民主主義的な点が一つもない」など、今でも彼は率直だ。ミロシェビッチまで含めて共産・社会主義体制やその指導者に対するこのカトリック信者「ジョセフ」の不信は信仰的・根源的であるようだ。いくら善意で包装して言葉を選んで北朝鮮をかばっても消えない信念であるようだ。
幸いなのは、最近、大きな枠組みの米国の外交に対する自省が始まっていることだ。1991年のソ連崩壊で唯一超強大国になった米国は30年間ほど自信に満ちた自由主義的覇権(liberal hegemony)政策を展開してきた。人権無視独裁指導者は追放して自由民主主義国家に変える果敢な体制変更(regime change)戦略だった。民主主義国同士は戦争をしないという理論も作用した。
しかしシカゴ大のジョン・ミアシャイマー教授は「1989年以降、米国は3年のうち2年は戦争をし、イラクやアフガニスタンなど7件の戦争をした」とし「自由主義覇権外交は全世界で民族主義と現実主義の激しい挑戦にぶつかり、さらに悪い状況ばかりを招いた」と米国内の省察を主導している。 「大統領バイデン」も過去をレビューし、より実用的な外交を図ろうとしている。ソ連を完全に封鎖する代わりに、中国とは半導体などコアテックの競争、圧力を予告しながらも気候変動・パンデミックなど人類普遍の価値での協力は併行しようとする。崩れた自由民主主義価値同盟の復元もトランプ反すうの結果だった。失敗したトランプ政権のビーガン北朝鮮政策特別代表の声にも傾聴してレビューしたバイデン大統領の対北朝鮮政策は「クリントン・ブッシュ・オバマ・トランプとは異なるはず」であり「トランプ政権の大妥協(grand bargain)でも、オバマ大統領の戦略的忍耐(strategic patience)でもなく、非核化段階別に相応措置を取る漸進的進展(incremental progress)」(ホワイトハウスのサキ報道官)だ。「よく調整された実用的接近であるため、北朝鮮が外交の機会をつかむべき」(ブリンケン国務長官)と…。
文大統領のワシントン成功法も単純になる。「韓国は人権と平和を追求する自由民主主義共和国」であることを鮮明にすることだ。それも社会主義体制との地政学的最前線の砦であることを…。この共感のもと▼韓米同盟の価値の再確認▼対話・外交を通じた北朝鮮の完全な非核化協調▼域内安保に必須の日本との関係改善努力--などが共有されることを期待してみる。何よりも特定陣営だけの指導者ではなく「大韓民国の大統領」として国民多数の望みをバイデン大統領に伝えることを願う。外交は権力エリートだけの専有物ではない。
チェ・フン/編集者
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