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【コラム】米国との「スワップ」霧散、失敗した「ワクチン外交」=韓国

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版
韓国政府が「オオカミ少年」のようになりつつある。すぐに入ってくる、心配するな、11月には集団免疫が獲得できるだろう。その間に他の国々は40%、60%まで接種しマスクを脱いでいるが、韓国は人口比で1回目の接種がようやく3.9%水準(4月23日中央災害安全対策本部発表)とはいったいだれを信じるべきだろうか。「ワクチンはなく、民心は最低」だが支障はないという言葉ばかり繰り返している。「K防疫」の幻想に浸って世界に広報しようと虚勢を張っていたが私たちが打つワクチンはどこにあるのか、いまに至るまで五里霧中だ。

4月に青瓦台(チョンワデ、大統領府)改編と閣僚交代の中で突然秘書室に首席級防疫企画官を新設した。このポストをつかんだ奇牡丹(キ・モラン)教授は、ワクチンは急ぐことはないと主張した人物なので野党の批判だけでなく国民世論が良いはずはなかった。青瓦台の釈明が傑作だ。当時は副反応などを考慮してワクチン導入を急ぐ必要はなかったという意味だったし、さらに奇教授はワクチン担当ではなく防疫担当だと強弁する。ワクチンと防疫は手の甲と手のひらの関係であるのは明らかなのに、青瓦台の釈明をそのまま信じる国民が何人いるだろうか。

倭乱を迎えた先祖は李舜臣(イ・スンシン)を起用して国難を克服したが、疫乱を迎えた文在寅(ムン・ジェイン)大統領は反ワクチン主義者を起用するとは。いまになってあわてる韓国政府の姿はあちこちで現れている。


外交部の鄭義溶(チョン・ウィヨン)長官は先月20日にワクチンスワップを米国と真剣に協議していると話した。米国の余裕分を確保するために努力していると説明する中でスワップを取り上げた。彼は苦しい時に助ける友人が真の友人だと感性に訴えた。ところが鄭長官の発言が出るやバイデン米大統領から出た返事は「韓国に与えるほどワクチンは十分でない」というものだった。こんな恥さらしがあるだろうか。事前に外交チャンネルを通じて十分に競技した上で発表すべき事項を協議なく一方的に発表し外交的恥さらしを自ら招いた。韓昇洲(ハン・スンジュ)元外交部長官がこのほど出した著書『韓国に外交はあるのか』は、韓国外交の乱脈像を批判する。「ワクチン物乞い国」という非難にあわてた文大統領はロシア製ワクチン「スプートニクV」導入の検討を指示したが、どれほど多くの国民がロシア製や中国製ワクチンを快く打つのか疑問だ。

米国の外交政策には3大キーワードがある。最初がカウボーイ外交だ。味方でなければ敵とみなす両極端な態度だ。9・11テロが発生した時、米国は主犯オサマ・ビンラディンが潜伏しているパキスタンに対し死にたくなければ彼の逮捕に協力しろと圧迫した。2番目はこん棒外交だ。ルーズベルト大統領が好んで使った用語で、言葉はソフトだが常にこん棒を手にしている。第2次世界大戦当時、日本の広島と長崎に原爆を投下した国が米国だ。3番目はドル外交だ。文字通り、経済支援、借款、投資などを外交のテコとして利用してきた。外部からのミサイル攻撃など韓半島(朝鮮半島)防衛に必要な高高度防衛ミサイル(THAAD)運用も保障できず、中国の経済圏一帯一路に入れてほしいとすがる韓国政府の姿を米国はどのように見ているだろうか。米国は隣接国、クアッド(米日豪印)、同盟国の順にワクチンを配分しているため韓国は約束がない。いまやワクチンは武器となり、ワクチン外交時代を迎えている。

綱渡り外交は危険だ。落下すれば命を失いかねないためだ。

金寓竜(キム・ウリョン)/韓国外国語大学名誉教授(メディア学)



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