技術覇権をめぐる米中間のグローバル競争構図が強まる中、韓国と日本も過去の問題をめぐる葛藤を乗り越えて先端技術分野で協力を模索すべきだという声が高まっている。28日に開催された第23回韓日ビジョンフォーラムでは、第4次産業革命時代の韓日技術協力案について専門家らが討論した。参加者らは「米中競争構図で韓国・日本が技術協力で第3の軸を作ってグローバル競争力を確保し、今後の関係改善の土台を用意すべきだ」という意見をまとめた。
◆ユン・テソンKAIST(韓国科学技術院)教授の発題の要約
韓国が強調する第4次産業革命は、人工知能(AI)やビッグデータなどデジタル技術を活用した「超連結基盤の知能化革命」と定義することができる。日本版の第4次産業革命は「ソサエティー5.0」だ。狩猟・農耕・工業・情報社会に続く5番目の社会を意味する。仮想のサイバー空間と現実の物理的空間を高度に融合して経済を発展させ、社会的な課題を解決するという趣旨だが、人間中心の社会を目指している。その核心は仮想と現実をつなぐ技術であり、これを促進するデジタル変革(DX)だ。例えば人工知能を活用した顔認識技術の場合、対象者の顔に関する有意味なデータが蓄積されるほどインフラが充実し、技術力も高まる。
韓国・日本はデータインフラ構築で協力することが可能だ。インフラを構築する過程では力を合わせ、その後にそのインフラを各自のビジネスに合わせて活用し、競争することができる。インフラ活用の過程でブロックチェーンやバーチャルリアリティ(VR)・拡張現実(AR)技術を活用できる。また、技術を適用する過程で得た知識を従来のデータインフラに反映できる。こうして絶えずインフラが拡張、発展するサイクルを構築することが、第4次産業革命とソサエティー5.0が目指す未来の世界だ。
技術競争はスポーツ競技とは違い、一度勝った方がゲームの規則自体を変えることができる。後発走者は永遠に先発走者に追いつくことができない無限競争だ。個別技術の確保に集中するよりも、技術協力を基盤に大きなシナジー効果を狙わなければいけない。
製造業強国には韓国のほか、米国・日本・ドイツ・中国ほどを挙げることができるが、こうした中で韓国・日本が技術協力を通じて「第3の軸」を形成することができる。協力を摸索できる具体的分野には▼技術ロードマップ作成▼国際標準化活動▼発明特許など知識財産権▼科学技術人材交流--などがある。また、韓国・日本の「第3の軸」を中心にそのほかの技術強小国を参加させて技術供給源を確保し、市場の拡大に注力できる。
申ガク秀(シン・ガクス)元駐日大使=米中競争の核心は技術と軍事だ。2月にバイデン米大統領は半導体・バッテリー・レアアース(希土類)・医薬品の4つの核心品目のグローバルサプライチェーンを点検すべきという行政命令に署名した。16日(現地時間)の日米首脳会談でも第5世代(5G)を越えて6G移動通信への投資について議論し、半導体サプライチェーンの安定化を協議した。クアッド(日米豪印)でも技術協力を大きく扱っている。韓日関係が正常軌道に戻れば技術協力は両国の共生を促進する核心要素だ。
イ・ウグァン元サムスン経済研究所研究員=何よりも日本の指導者と企業関係者を「なぜ韓国と協力すべきか」について共感させることが課題だ。日本政府が起こした素材・部品の輸出入問題についても、韓国が日本依存から脱離するのか、それとも協力する方向に進むのかについて悩まなければいけない。標準化分野の協力をするには、第4次産業革命に必要な標準化作業は何か、韓日が「第3の軸」としてどの方式の標準化を追求するかに関する議論が必要だ。
金顕哲(キム・ヒョンチョル)ソウル大国際大学院教授=過去に韓日関係が良かった当時、両国はお互いの価値を深く認識していなかった。最近は関係が冷え込み、韓日ともに相手国の必要性を振り返ることになった。この冷却期はお互いの重要性を再認識する良い機会になり得る。今後、コロナを克服して韓日関係が改善した後、技術協力と第4次産業革命は良いテーマになるだろう。
徐錫崇(ソ・ソクスン)韓日経済協会副会長=企業に最も重要なのは一貫性・透明性・予測の可能性だ。2019年の日本の輸出規制措置のような葛藤が続けば、企業は生存のために別の道を探すしかない。デジタル情報だけでなくアナログで形成された目に見えない信頼と経験の共有が非常に重要だ。政策の一貫性が維持されず、企業のデータ技術に対する認識が確立されていない状況で、第4次産業革命の体系化ばかりを追求する場合、砂上の楼閣を築くように基盤から不安定になるおそれがある。
朴チョル熙(パク・チョルヒ)ソウル大国際大学院教授=米中の競争が激しくなる今、韓国があえて一方だけを選択して別の一方を排除する必要はない。ただ、今までの韓国の経路を見ると、先端技術分野は米国と協力し、安保同盟・技術同盟を構築することに優先順位を置かなければならない。中国との技術協力の可能性を過度なレベルで開いておけば、不必要な不信感が生じたりする。こうした脈絡で韓日間の技術協力はリスクが低い方だ。どの国と協力してこそ人類の生活と自由の水準の向上など、人本主義的な価値を高められるかも考慮しなければいけない。
崔相龍(チェ・サンヨン)高麗大名誉教授=20世紀がイデオロギー闘争の時代なら、21世紀はテクノロジー競争の時代だ。韓日間の技術協力は、米中間の新冷戦フレームを避けながら両国が推進できる適切な構想だ。ただ両国関係を考慮すると、技術協力の主体は結局企業になるべきだが、過去4年間の韓日間の葛藤によって企業が政府の政策に同調するいわゆる「忖度」現象が続いた。したがって韓日間の技術協力のためには政治・外交領域の正常化が急がれる。
魏聖洛(ウィ・ソンラク)元駐露大使=韓日技術協力が難しい最初の理由は、韓日関係が大きく悪化し、技術協力を模索するほどの動力が残っていないという点だ。2つ目は膠着状況をあえて打開しない雰囲気だ。3つ目は現政権の任期が1年しか残っていないという点だ。21日にソウル中央地裁は、慰安婦被害者が日本政府を相手に提起した2件目の損害賠償請求訴訟で3カ月前とは異なる判決を出した。主権免除の原則を認めた。このような変化を好循環に活用すべきだが、政策的な意志が不足しているのが現実だ。
梁起豪(ヤン・ギホ)聖公会大教授=韓国がIT・電子・半導体分野に優位を持つなら、日本は伝統的に自動車・化学分野に強い。韓日が競争力を保有する領域がそれぞれ異なる状況で、協力を通じてシナジー効果を狙うよりは、それぞれの技術をそのまま独占するのが自国に有利だと判断する可能性はないのだろうか。また、2019年の日本政府の輸出規制以降、韓日間の相互信頼が著しく低下して技術協力に支障をきたした側面はないか、最近の韓日間の技術協力の成功および失敗の事例を具体的に調べる必要がある。
李元徳(イ・ウォンドク)国民大教授=日本が第4次産業革命に必要な核心新技術でも競争力を持つかどうかを確かめてみる必要がある。デジタル分野で韓日間の技術レベルの差はないのか、韓日デジタル技術の現状はどうかを検討しなければいけない。また、米中戦略競争構図で韓日が技術を通じて米中に対抗する第3の新しい軸を形成できるのか疑問だ。
洪錫ヒョン(ホン・ソクヒョン)韓半島平和構築理事長=第4次産業革命が新しい状況を作っている。韓日が主導する「第3の軸」は正当性・必要性・可能性がすべてそろう。核心産業で中国やロシアが標準化を主導すればどうなるのか。また、5G、6G標準化を中国に渡せばどうなるのか。ただ、韓日が技術協力を推進するには政治的リーダーシップを発揮しなければならないが、日本の指導者の政治力が過去よりも弱まり、韓国では反日情緒が依然として強く残っている。韓日が対立ばかりして技術分野で米中の一方に隷属してはいけない。
李夏慶(イ・ハギョン)中央日報主筆=米中競争の局面でも中国・台湾・香港は中華経済圏構図を形成している。香港の金融ハブ機能が強化されていて、台湾の輸出に占める中国の比率も依然として高い。1965年体制(韓日国交正常化)以降、さまざまな交流を通じて相互利益を守ってきた韓日がいま経済・技術的な側面で協力しない理由はないと考える。
申ガク秀元駐日大使=日本は個人のプライバシーを重視して政府部門の電算化が遅れ、デジタル化が遅れているように見えるが、企業のデジタル技術は進んでいる。東芝・SKの半導体協力、ネイバー・ヤフージャパンのLINEのように協力事例が出ている。この分野は既得権でないため協力が可能だ。
◆ユン・テソンKAIST(韓国科学技術院)教授の発題の要約
韓国が強調する第4次産業革命は、人工知能(AI)やビッグデータなどデジタル技術を活用した「超連結基盤の知能化革命」と定義することができる。日本版の第4次産業革命は「ソサエティー5.0」だ。狩猟・農耕・工業・情報社会に続く5番目の社会を意味する。仮想のサイバー空間と現実の物理的空間を高度に融合して経済を発展させ、社会的な課題を解決するという趣旨だが、人間中心の社会を目指している。その核心は仮想と現実をつなぐ技術であり、これを促進するデジタル変革(DX)だ。例えば人工知能を活用した顔認識技術の場合、対象者の顔に関する有意味なデータが蓄積されるほどインフラが充実し、技術力も高まる。
韓国・日本はデータインフラ構築で協力することが可能だ。インフラを構築する過程では力を合わせ、その後にそのインフラを各自のビジネスに合わせて活用し、競争することができる。インフラ活用の過程でブロックチェーンやバーチャルリアリティ(VR)・拡張現実(AR)技術を活用できる。また、技術を適用する過程で得た知識を従来のデータインフラに反映できる。こうして絶えずインフラが拡張、発展するサイクルを構築することが、第4次産業革命とソサエティー5.0が目指す未来の世界だ。
技術競争はスポーツ競技とは違い、一度勝った方がゲームの規則自体を変えることができる。後発走者は永遠に先発走者に追いつくことができない無限競争だ。個別技術の確保に集中するよりも、技術協力を基盤に大きなシナジー効果を狙わなければいけない。
製造業強国には韓国のほか、米国・日本・ドイツ・中国ほどを挙げることができるが、こうした中で韓国・日本が技術協力を通じて「第3の軸」を形成することができる。協力を摸索できる具体的分野には▼技術ロードマップ作成▼国際標準化活動▼発明特許など知識財産権▼科学技術人材交流--などがある。また、韓国・日本の「第3の軸」を中心にそのほかの技術強小国を参加させて技術供給源を確保し、市場の拡大に注力できる。
申ガク秀(シン・ガクス)元駐日大使=米中競争の核心は技術と軍事だ。2月にバイデン米大統領は半導体・バッテリー・レアアース(希土類)・医薬品の4つの核心品目のグローバルサプライチェーンを点検すべきという行政命令に署名した。16日(現地時間)の日米首脳会談でも第5世代(5G)を越えて6G移動通信への投資について議論し、半導体サプライチェーンの安定化を協議した。クアッド(日米豪印)でも技術協力を大きく扱っている。韓日関係が正常軌道に戻れば技術協力は両国の共生を促進する核心要素だ。
イ・ウグァン元サムスン経済研究所研究員=何よりも日本の指導者と企業関係者を「なぜ韓国と協力すべきか」について共感させることが課題だ。日本政府が起こした素材・部品の輸出入問題についても、韓国が日本依存から脱離するのか、それとも協力する方向に進むのかについて悩まなければいけない。標準化分野の協力をするには、第4次産業革命に必要な標準化作業は何か、韓日が「第3の軸」としてどの方式の標準化を追求するかに関する議論が必要だ。
金顕哲(キム・ヒョンチョル)ソウル大国際大学院教授=過去に韓日関係が良かった当時、両国はお互いの価値を深く認識していなかった。最近は関係が冷え込み、韓日ともに相手国の必要性を振り返ることになった。この冷却期はお互いの重要性を再認識する良い機会になり得る。今後、コロナを克服して韓日関係が改善した後、技術協力と第4次産業革命は良いテーマになるだろう。
徐錫崇(ソ・ソクスン)韓日経済協会副会長=企業に最も重要なのは一貫性・透明性・予測の可能性だ。2019年の日本の輸出規制措置のような葛藤が続けば、企業は生存のために別の道を探すしかない。デジタル情報だけでなくアナログで形成された目に見えない信頼と経験の共有が非常に重要だ。政策の一貫性が維持されず、企業のデータ技術に対する認識が確立されていない状況で、第4次産業革命の体系化ばかりを追求する場合、砂上の楼閣を築くように基盤から不安定になるおそれがある。
朴チョル熙(パク・チョルヒ)ソウル大国際大学院教授=米中の競争が激しくなる今、韓国があえて一方だけを選択して別の一方を排除する必要はない。ただ、今までの韓国の経路を見ると、先端技術分野は米国と協力し、安保同盟・技術同盟を構築することに優先順位を置かなければならない。中国との技術協力の可能性を過度なレベルで開いておけば、不必要な不信感が生じたりする。こうした脈絡で韓日間の技術協力はリスクが低い方だ。どの国と協力してこそ人類の生活と自由の水準の向上など、人本主義的な価値を高められるかも考慮しなければいけない。
崔相龍(チェ・サンヨン)高麗大名誉教授=20世紀がイデオロギー闘争の時代なら、21世紀はテクノロジー競争の時代だ。韓日間の技術協力は、米中間の新冷戦フレームを避けながら両国が推進できる適切な構想だ。ただ両国関係を考慮すると、技術協力の主体は結局企業になるべきだが、過去4年間の韓日間の葛藤によって企業が政府の政策に同調するいわゆる「忖度」現象が続いた。したがって韓日間の技術協力のためには政治・外交領域の正常化が急がれる。
魏聖洛(ウィ・ソンラク)元駐露大使=韓日技術協力が難しい最初の理由は、韓日関係が大きく悪化し、技術協力を模索するほどの動力が残っていないという点だ。2つ目は膠着状況をあえて打開しない雰囲気だ。3つ目は現政権の任期が1年しか残っていないという点だ。21日にソウル中央地裁は、慰安婦被害者が日本政府を相手に提起した2件目の損害賠償請求訴訟で3カ月前とは異なる判決を出した。主権免除の原則を認めた。このような変化を好循環に活用すべきだが、政策的な意志が不足しているのが現実だ。
梁起豪(ヤン・ギホ)聖公会大教授=韓国がIT・電子・半導体分野に優位を持つなら、日本は伝統的に自動車・化学分野に強い。韓日が競争力を保有する領域がそれぞれ異なる状況で、協力を通じてシナジー効果を狙うよりは、それぞれの技術をそのまま独占するのが自国に有利だと判断する可能性はないのだろうか。また、2019年の日本政府の輸出規制以降、韓日間の相互信頼が著しく低下して技術協力に支障をきたした側面はないか、最近の韓日間の技術協力の成功および失敗の事例を具体的に調べる必要がある。
李元徳(イ・ウォンドク)国民大教授=日本が第4次産業革命に必要な核心新技術でも競争力を持つかどうかを確かめてみる必要がある。デジタル分野で韓日間の技術レベルの差はないのか、韓日デジタル技術の現状はどうかを検討しなければいけない。また、米中戦略競争構図で韓日が技術を通じて米中に対抗する第3の新しい軸を形成できるのか疑問だ。
洪錫ヒョン(ホン・ソクヒョン)韓半島平和構築理事長=第4次産業革命が新しい状況を作っている。韓日が主導する「第3の軸」は正当性・必要性・可能性がすべてそろう。核心産業で中国やロシアが標準化を主導すればどうなるのか。また、5G、6G標準化を中国に渡せばどうなるのか。ただ、韓日が技術協力を推進するには政治的リーダーシップを発揮しなければならないが、日本の指導者の政治力が過去よりも弱まり、韓国では反日情緒が依然として強く残っている。韓日が対立ばかりして技術分野で米中の一方に隷属してはいけない。
李夏慶(イ・ハギョン)中央日報主筆=米中競争の局面でも中国・台湾・香港は中華経済圏構図を形成している。香港の金融ハブ機能が強化されていて、台湾の輸出に占める中国の比率も依然として高い。1965年体制(韓日国交正常化)以降、さまざまな交流を通じて相互利益を守ってきた韓日がいま経済・技術的な側面で協力しない理由はないと考える。
申ガク秀元駐日大使=日本は個人のプライバシーを重視して政府部門の電算化が遅れ、デジタル化が遅れているように見えるが、企業のデジタル技術は進んでいる。東芝・SKの半導体協力、ネイバー・ヤフージャパンのLINEのように協力事例が出ている。この分野は既得権でないため協力が可能だ。
この記事を読んで…