21日に原告敗訴という結論が出た慰安婦損害賠償訴訟判決では、朴槿恵(パク・クネ)政権が推進した2015年の韓日慰安婦合意についても詳細に評価された。ソウル中央地裁民事15部(部長ミン・ソンチョル)はこの日、李容洙(イ・ヨンス)さんと故クァク・イェナムさんら20人が日本政府を相手にした1億ウォン(約970万円)の慰謝料請求訴訟で「国際慣習法の国家免除原則に基づき日本政府は訴訟の対象にならない」と判決した。
民事15部は「韓国政府は日本政府と慰安婦被害者問題の解決のために交渉を進め、2015年に合意に至り、該当の合意は依然として有効」とし「韓国政府の外交的保護権行使が継続する限り、訴訟でなく代替権利救済手段がある」と明らかにした。「これ以上政府から外交的な保護権行使を期待できず、訴訟だけが最後の権利救済手段」という原告の主張を受け入れなかったのだ。
また裁判部は「慰安婦合意は文言上、被害者に対する謝罪と反省が込められていて、これにより日本政府が資金(10億円)を出捐して和解・癒やし財団を設立した。生存被害者と死亡被害者の遺族など99人が支援金を受領した」とし、「たとえ慰安婦合意が日本政府の責任の性格を明確に規定していないなど一部問題があるとしても、外国との外交交渉は必然的に相手方があり、当然、韓国の立場は相手方が受け入れない限りすべて反映できるのではない」と指摘した。
続いて「韓国政府は生存被害者の年齢を考慮して早期に実質的な措置を準備しようとしたとみられ、今回の合意はそれ以前の外交努力に比べて相対的に進展した内容を含んでいる」と判断した。
これに先立ちソウル中央地裁民事34部も先月29日、1月の確定判決に対する訴訟費用の韓国側国庫負担決定文で2015年の合意を取り上げながら「国家間の合意があるだけに『以前と矛盾する言動をしてはならない』という国際慣習法上の禁反言(estoppel)の原則に基づき日本政府に対して強制執行をしてはならない」と説明した。
問題はこうした裁判所の判断が憲法裁判所の2019年12月の慰安婦合意に対する評価とかけ離れているという点だ。憲法裁は当時の慰安婦合意の違憲確認訴訟で「憲法裁判所が判断する性格でない」と却下決定をし、「慰安婦合意はいかなる法的効果もなく、被害者の損害賠償請求権にも影響を及ぼさない」として法的性格を詳細に説明した。
憲法裁は「該当の合意は韓日両国間で激しい葛藤がある問題であり、国民の基本権に関連した慰安婦被害者の被害回復に関する問題を扱いながらも国会の同意や憲法上の条約締結手続きを守らなかった」とし「合意で総理大臣が被害者に対する謝罪と反省を表示する部分も、被害者の権利救済を目的とするのかどうかが表れていない」と指摘した。また「国家責任が示されず、日本軍関与の強制・不法性も明示されず、謝罪の表示は被害回復のための法的措置ではない」という判断も示した。
1月8日の原告勝訴で確定した1次慰安婦被害訴訟ではこうした憲法裁の観点が反映され、2次訴訟の原告代理人も憲法裁の判断を損害賠償請求権引用の主要根拠として弁論した。「慰安婦合意は被害者の権利の救済に全く役に立たないだけに、裁判所が損害賠償責任を認めることだけが最後の救済手段」という趣旨だった。
慰安婦被害訴訟の下級審がわずか3カ月の間隔で相反する解釈を出したのとは別に、法院と憲法裁の解釈も衝突する余地があるということだ。今回の2次訴訟が大法院(最高裁)まで進み、憲法裁と解釈が異なる判決が確定する場合、訴訟当事者がそれぞれ有利な解釈の優位を主張する可能性もある。
実際、原告の代理人である法務法人ジヒャンのイ・サンヒ弁護士は21日、「憲法裁は2015年の合意が権利救済手続きにならないと明示した」とし「今日の判決はそれに反するもので、とうてい納得できない」と批判した。
民事15部は「韓国政府は日本政府と慰安婦被害者問題の解決のために交渉を進め、2015年に合意に至り、該当の合意は依然として有効」とし「韓国政府の外交的保護権行使が継続する限り、訴訟でなく代替権利救済手段がある」と明らかにした。「これ以上政府から外交的な保護権行使を期待できず、訴訟だけが最後の権利救済手段」という原告の主張を受け入れなかったのだ。
また裁判部は「慰安婦合意は文言上、被害者に対する謝罪と反省が込められていて、これにより日本政府が資金(10億円)を出捐して和解・癒やし財団を設立した。生存被害者と死亡被害者の遺族など99人が支援金を受領した」とし、「たとえ慰安婦合意が日本政府の責任の性格を明確に規定していないなど一部問題があるとしても、外国との外交交渉は必然的に相手方があり、当然、韓国の立場は相手方が受け入れない限りすべて反映できるのではない」と指摘した。
続いて「韓国政府は生存被害者の年齢を考慮して早期に実質的な措置を準備しようとしたとみられ、今回の合意はそれ以前の外交努力に比べて相対的に進展した内容を含んでいる」と判断した。
これに先立ちソウル中央地裁民事34部も先月29日、1月の確定判決に対する訴訟費用の韓国側国庫負担決定文で2015年の合意を取り上げながら「国家間の合意があるだけに『以前と矛盾する言動をしてはならない』という国際慣習法上の禁反言(estoppel)の原則に基づき日本政府に対して強制執行をしてはならない」と説明した。
問題はこうした裁判所の判断が憲法裁判所の2019年12月の慰安婦合意に対する評価とかけ離れているという点だ。憲法裁は当時の慰安婦合意の違憲確認訴訟で「憲法裁判所が判断する性格でない」と却下決定をし、「慰安婦合意はいかなる法的効果もなく、被害者の損害賠償請求権にも影響を及ぼさない」として法的性格を詳細に説明した。
憲法裁は「該当の合意は韓日両国間で激しい葛藤がある問題であり、国民の基本権に関連した慰安婦被害者の被害回復に関する問題を扱いながらも国会の同意や憲法上の条約締結手続きを守らなかった」とし「合意で総理大臣が被害者に対する謝罪と反省を表示する部分も、被害者の権利救済を目的とするのかどうかが表れていない」と指摘した。また「国家責任が示されず、日本軍関与の強制・不法性も明示されず、謝罪の表示は被害回復のための法的措置ではない」という判断も示した。
1月8日の原告勝訴で確定した1次慰安婦被害訴訟ではこうした憲法裁の観点が反映され、2次訴訟の原告代理人も憲法裁の判断を損害賠償請求権引用の主要根拠として弁論した。「慰安婦合意は被害者の権利の救済に全く役に立たないだけに、裁判所が損害賠償責任を認めることだけが最後の救済手段」という趣旨だった。
慰安婦被害訴訟の下級審がわずか3カ月の間隔で相反する解釈を出したのとは別に、法院と憲法裁の解釈も衝突する余地があるということだ。今回の2次訴訟が大法院(最高裁)まで進み、憲法裁と解釈が異なる判決が確定する場合、訴訟当事者がそれぞれ有利な解釈の優位を主張する可能性もある。
実際、原告の代理人である法務法人ジヒャンのイ・サンヒ弁護士は21日、「憲法裁は2015年の合意が権利救済手続きにならないと明示した」とし「今日の判決はそれに反するもので、とうてい納得できない」と批判した。
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