東京の私立大学を卒業して、金融業界に従事する29歳の男性Aさんは自分の政治的指向が「リベラル(進歩)」だと考える。だが、成人してから何度か参加した選挙で執権自民党に票を入れた。6年前の就職当時の記憶が大きかった。「大学新入生時代に就職が厳しいという話をよく耳にしたが、幸い自分が就職した時期には状況が良くなりました。自民党に対する不満も多いですが、経済的な側面ではかなり努力をしていると判断しました」。
むしろ50代のAさんの両親は現政権に批判的な立場だ。「親は憲法改正問題や新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の対応などがうまくできていないと考えているようです。しかし、私の考えでは野党が執権したからといって状況が良くなるようには思いません」。
Aさんのような20代は日本自民党の核心支持層にあげられる。第2次安倍晋三内閣が発足した2012年ごろからこのような現象が目立ち、「日本の若者は保守化したのか」という疑問が提起され始めた。数値だけを見ればこの質問に対する答えは「イエス」だ。2017年に開かれた衆議院選挙で20代の自民党支持度は40.6%で、全体支持率(36%)よりも4%ポイント高かった。反面、40~60代の自民党支持率は30%台序盤に終わった。
昨年9月「安倍継承」を前面に掲げて菅内閣になった後もこのような傾向は続いている。昨年11月、毎日新聞と社会調査研究センターが実施した世論調査によると、菅政権に対する支持率は全体57%だが、18~29歳では80%に達することが明らかになった。自民党に対する支持率も18~29歳が59%で最も高く、30~70代は30%台だった。
だが、学者は単に「若年層の保守化」というには状況が複雑だと指摘する。この分野で注目されているのが早稲田大学の遠藤晶久教授(政治学)の世代別理念志向および投票の行動に関する研究だ。遠藤教授は2019年出した『イデオロギーと日本政治-世代で異なる「保守」と「革新」』という本の中で、保守と進歩(日本では「革新」または「リベラル」として表現)を標ぼうする政党に対する認識が世代別にかなり異なることに着目した。
自民党は保守政党で、野党である立憲民主党や共産党などは進歩政党というのが日本既成世代の常識だ。だが、大学生は各政党が持っている理念志向に対して明確な判断基準を持っていないことが分かった。相当数の学生が共産党など野党を「保守」と認識し、さらに極右志向の「日本維新の会」を革新政党ととらえる者もいた。
遠藤教授は「一部の学生は憲法改正など変化を追求する自民党側がより革新的で、これに反対して現状維持を強調する野党を保守的だと考えた」としながら「これは単に『無知』の問題ではなく、すべての世代が共有できる理念に対する基準そのものが消えているということ」と説明した。
若年層の場合、「理念-政党」の連結が明確でなく、理念志向が実際の投票行為に直結することもない。東海大教養学部の金慶珠(キム・ギョンジュ)教授は「日本でも若年層の大多数が平等や公正など進歩的価値を支持している」としながら「だが、理念的志向が政党に対する好みやその政党に対する無条件な投票につながらないことが特徴」と話した。理念的に自分と合う政党に投票するのではなく、長期不況に伴う失業などで社会的地位が低下した若年層が「自分の問題」を解決してくれそうな政党に投票しているということだ。若年層の自民党支持を「保守化」と直接結びつけるのは難しいという分析だ。
進歩野党の政治的没落で自民党1党独走体制が続く状況も大きな影響を及ぼした。進歩的な価値に票を入れたい若者たちは最初から投票しないか、死票を防ごうとする心理で自民党に吸収される。実際に、遠藤教授の研究でもはっきりとした左派志向を持つ20代のうち30%は自民党に投票していることが明らかになった。
静岡県立大社会学科大学院生Bさん(女性、25)も「日本の若者が保守化したということに同意しない」と語る。Bさんは「ソーシャルメディア(SNS)等ではジェンダー平等や環境主義など進歩的イシューに対する議論が非常に活発に起きている」としながら「ただ、そのような声を代弁する政党がないので投票をしないか、問題を解決する力を持つ政党である自民党に投票する傾向はあるかもしれない」と説明した。
政治・理念的保守化ではないが、バブル経済没落後に生まれた日本の若者がこれ以上悪くならない、つまり現状維持を望むほうに「保守化」しているという分析もある。『若者保守化のリアル-「普通がいい」というラディカルな夢』を執筆した関東学院大学の中西新太郎教授は、毎日新聞とのインタビューで「意識調査をすれば、若い世代は日本社会の将来について明るい見通しを持っていない人が多数派だ」とし「若者が現状維持志向なのは『これ以上ひどくならないように』との思いからだ」と解釈した。
進歩価値を前に出す政党に力がないので保守党である自民党が青年層に訴求力のあるイシューを先行獲得して投票者の心をつかんだという評価もある。金慶珠教授は「例えば『アベノミクス』は、実際の経済的成果とは別に、若者の就職環境を改善して20代の支持を受けた」としながら「韓国政党も現在の韓国の若者の要求を吸収して、どんな解決策を提示するべきか真剣に悩む必要がある」と話した。
むしろ50代のAさんの両親は現政権に批判的な立場だ。「親は憲法改正問題や新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の対応などがうまくできていないと考えているようです。しかし、私の考えでは野党が執権したからといって状況が良くなるようには思いません」。
Aさんのような20代は日本自民党の核心支持層にあげられる。第2次安倍晋三内閣が発足した2012年ごろからこのような現象が目立ち、「日本の若者は保守化したのか」という疑問が提起され始めた。数値だけを見ればこの質問に対する答えは「イエス」だ。2017年に開かれた衆議院選挙で20代の自民党支持度は40.6%で、全体支持率(36%)よりも4%ポイント高かった。反面、40~60代の自民党支持率は30%台序盤に終わった。
昨年9月「安倍継承」を前面に掲げて菅内閣になった後もこのような傾向は続いている。昨年11月、毎日新聞と社会調査研究センターが実施した世論調査によると、菅政権に対する支持率は全体57%だが、18~29歳では80%に達することが明らかになった。自民党に対する支持率も18~29歳が59%で最も高く、30~70代は30%台だった。
だが、学者は単に「若年層の保守化」というには状況が複雑だと指摘する。この分野で注目されているのが早稲田大学の遠藤晶久教授(政治学)の世代別理念志向および投票の行動に関する研究だ。遠藤教授は2019年出した『イデオロギーと日本政治-世代で異なる「保守」と「革新」』という本の中で、保守と進歩(日本では「革新」または「リベラル」として表現)を標ぼうする政党に対する認識が世代別にかなり異なることに着目した。
自民党は保守政党で、野党である立憲民主党や共産党などは進歩政党というのが日本既成世代の常識だ。だが、大学生は各政党が持っている理念志向に対して明確な判断基準を持っていないことが分かった。相当数の学生が共産党など野党を「保守」と認識し、さらに極右志向の「日本維新の会」を革新政党ととらえる者もいた。
遠藤教授は「一部の学生は憲法改正など変化を追求する自民党側がより革新的で、これに反対して現状維持を強調する野党を保守的だと考えた」としながら「これは単に『無知』の問題ではなく、すべての世代が共有できる理念に対する基準そのものが消えているということ」と説明した。
若年層の場合、「理念-政党」の連結が明確でなく、理念志向が実際の投票行為に直結することもない。東海大教養学部の金慶珠(キム・ギョンジュ)教授は「日本でも若年層の大多数が平等や公正など進歩的価値を支持している」としながら「だが、理念的志向が政党に対する好みやその政党に対する無条件な投票につながらないことが特徴」と話した。理念的に自分と合う政党に投票するのではなく、長期不況に伴う失業などで社会的地位が低下した若年層が「自分の問題」を解決してくれそうな政党に投票しているということだ。若年層の自民党支持を「保守化」と直接結びつけるのは難しいという分析だ。
進歩野党の政治的没落で自民党1党独走体制が続く状況も大きな影響を及ぼした。進歩的な価値に票を入れたい若者たちは最初から投票しないか、死票を防ごうとする心理で自民党に吸収される。実際に、遠藤教授の研究でもはっきりとした左派志向を持つ20代のうち30%は自民党に投票していることが明らかになった。
静岡県立大社会学科大学院生Bさん(女性、25)も「日本の若者が保守化したということに同意しない」と語る。Bさんは「ソーシャルメディア(SNS)等ではジェンダー平等や環境主義など進歩的イシューに対する議論が非常に活発に起きている」としながら「ただ、そのような声を代弁する政党がないので投票をしないか、問題を解決する力を持つ政党である自民党に投票する傾向はあるかもしれない」と説明した。
政治・理念的保守化ではないが、バブル経済没落後に生まれた日本の若者がこれ以上悪くならない、つまり現状維持を望むほうに「保守化」しているという分析もある。『若者保守化のリアル-「普通がいい」というラディカルな夢』を執筆した関東学院大学の中西新太郎教授は、毎日新聞とのインタビューで「意識調査をすれば、若い世代は日本社会の将来について明るい見通しを持っていない人が多数派だ」とし「若者が現状維持志向なのは『これ以上ひどくならないように』との思いからだ」と解釈した。
進歩価値を前に出す政党に力がないので保守党である自民党が青年層に訴求力のあるイシューを先行獲得して投票者の心をつかんだという評価もある。金慶珠教授は「例えば『アベノミクス』は、実際の経済的成果とは別に、若者の就職環境を改善して20代の支持を受けた」としながら「韓国政党も現在の韓国の若者の要求を吸収して、どんな解決策を提示するべきか真剣に悩む必要がある」と話した。
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