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【コラム】ミナリ、少数者の感情、人種差別

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版

シン・ジュンボン専門記者/中央カルチャー&ライフスタイルラボ

移民の国米国はやはりいろいろと問題も多い。一方ではマイノリティを対象に憎悪犯罪性の銃撃事件が発生するかと思えば別の一方では文化的多様性が爆発する様相だ。

この爆発に韓国が一役買っている。1週間後のアカデミー賞授賞式で韓国人のだれもが善戦を祈る映画『ミナリ』の話だ。簡単な検索だけで「アジアンアメリカン」に気を遣う米映画産業界のトレンドを確認できる。韓国系米国人スティーヴン・ユァンがアジア系米国人としては初めて主演男優賞候補に上がった。助演女優賞候補にノミネートされたユン・ヨジョンは言うまでもない。韓国系であるリー・アイザック・チョン監督が監督賞、やはり韓国系の製作者クリスティーナ・オーが作品賞を狙う。

韓国系の活躍は活字の領域でも見つけられる。プリンストン大学で文芸創作を教えるイ・チャンレが注目されたのはずいぶん前だ。やはり韓国系であるイ・ミンジンは長編『パチンコ』がネットフリックスでドラマ化され評価が大きく上昇した感じだ。最近では米国で生まれ育った韓国系詩人のキャシー・パク・ホン(45)が加わった。昨年出版した自伝的散文集『Minor Feelings:An Asian American Reckoning(「少数者の感情」とでも翻訳するのはどうだろうか)』が全米図書批評家協会賞(NBCCA)の回顧録分野受賞作に先月選ばれてだ。1974年に制定された賞は600人ほどの文学評論家、各種メディアの出版担当エディターが参加する。米国の代表的な現代小説家フィリップ・ロス(2018年没)、昨年のノーベル文学賞受賞者である女性詩人ルイーズ・グリュックがこの賞を贈られている。


ところで、感じられるだろうか。『ミナリ』と『少数者の感情』は韓国の血と息遣いが流れるという共通点を除けば全く異なる作品だ。ジャンルが違うだけではない。題名からしてそうだ。『ミナリ』が中立的な単語で事前情報がなければ内容を察しにくいならば、『少数者の感情』はすでにどんな種類の話なのかを明確にしている。

実際に『ミナリ』は不慣れな土地に投げ込まれた韓国人移民者の苦しい人生を描いたとはいうが暖かい映画だ。少なくとも記者にはそのように感じられた。人見知りしていた孫は結局祖母と親しくなり、自分だけの作物栽培方法に固執した家長のジェイコブは火事で事実上すべてを失った後にアーカンソーの多分に怪しい営農慣習に従うことにする。ジェイコブのこうした心変わりをめぐり、結局移民者が米国社会に溶け込む同化過程を描いた叙事ではないのかという見方もある。他者を手懐ける西部映画の韓国系バージョンということだ(映画評論家キム・ボンソク)。

それに対し『少数者の感情』のキャシー・パク・ホンは戦士のようだ。表向きは派手だが、内部では根深い差別的な米国社会の恥部を暴こうとでも考えたのか。「アジア系米国人は白人の指図を受け黒人を押さえ付ける役割をしなければ、黒人から疑われたり白人に無視される煉獄のようなところに置かれた存在」。こうした直撃弾を飛ばす。題名から便宜上『少数者の感情』と即興翻訳したが、実は白人と黒人の支配的な代表感情に踏みにじられ居場所を見つけられず内容も規定しにくい「少数的感情」に近い。微妙で不明瞭な、しかし解消されはしない不便な感情。これが積もってできる憤怒。こうした曖昧なものなどだ。

単なる映画と自叙伝をどのように見るべきかという原則のようなものは世の中にない。『少数者の感情』に集中すれば『ミナリ』は過度に浪漫的に見えるかもしれない。しかし『ミナリ』や『少数者の感情』は米国だけの問題だろうか。人口の崖に対処し、大量の移民を受け入れるならば、韓国は?

シン・ジュンボン専門記者/中央カルチャー&ライフスタイルラボ



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