北朝鮮が今年7月に開かれる東京オリンピック(五輪)に参加しないと6日に宣言すると、日本は当惑しながらも北朝鮮の狙いを把握するために動いている。菅義偉首相とジョー・バイデン大統領の16日の初めての日米対面首脳会談を控えて今回の発表が出てきて、米国と協力して拉致問題の解決を図ろうとしていた菅首相の計画にも支障が出ることになった。
NHKなど日本メディアによると、この日午前に北朝鮮の発表が出ると、丸川珠代五輪相は初めて聞く話だとし「詳細を確認している」と述べた。加藤勝信官房長官もこの日午前、「引き続き注視していく」と明らかにした。東京五輪組織委員会関係者は、共同通信に「(北朝鮮の不参加に対して)何も聞いていない。寝耳に水だ」と戸惑う様子をみせた。
日本は今回の北朝鮮の選択が他の国の五輪参加決定に影響を及ぼさないか懸念している。東京五輪不参加を決めた国は薬物問題で参加しないロシアを除くと北朝鮮が初めてだ。まだ多くの国々で新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)が猛威を振るっていて、ワクチン接種も一部の先進国を除いては円滑に進んでいない状況だ。そこに日本国内の感染状況も悪化し、北朝鮮をはじめ不参加宣言がドミノ式に相次ぐ可能性を排除することはできない。
これに対して日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は、「多くの選手にとってオリンピックは一生に一度のチャンスだ。欧米に比べて日本はワクチン接種の進みは遅いが、世界的に見れば感染状況は落ち着いている状況」としながら「派遣に対して不安を感じるところはあるかもしれないが派遣を止めるということはものすごく勇気がいると思う」としながらも影響は大きくないと展望した。
一方では今後出てくる可能性のある不参加宣言に対し、対応策を用意するべきだという声もある。組織委のある関係者は、共同通信に対して北朝鮮の不参加は驚くほどのことではないとしつつ「大会本番でも、新型コロナ感染症によって不参加の国が出てくるというのは想定している」と語った。
◆制裁に五輪不参加で応酬?
微妙なことは不参加を宣言したタイミングだ。北朝鮮はこの日、五輪不参加の決定が先月25日に画像方式で開催された北朝鮮五輪委員会の総会で決まったものだと明らかにした。決定後すぐにこれを公開せず、12日後に発表した背景には政治的狙いがあるのではないかという分析もある。
折しも日本政府は6日朝、閣議を通じて今月13日に期限が切れる北朝鮮に対する制裁措置を2年延長することを決めた。北朝鮮の非核化および弾道ミサイル廃棄や日本人拉致問題の解決に対して具体的な進展がみられないことから、制裁を解く時点ではないと判断した。
日本は北朝鮮の核実験および弾道ミサイル発射を問題視し、国連安全保障理事会次元の制裁とは別に2006年から独自制裁措置を取っている。初期は北朝鮮船舶の入港禁止などに限定されていたがその後輸出禁止などに水準を引き上げて2年単位で延長してきた。
北朝鮮が先月弾道ミサイル発射を再開し、日本メディアからは「制裁が延長される」というニュースが出始めた。北朝鮮がこのような情報を確認して制裁延長に「応戦」することができる発表時点を選んだ可能性もある。
◆金与正(キム・ヨジョン)氏が五輪に来れば会うと話していた菅首相
拉致問題解決に向けて北朝鮮と接触する方法を模索してきた菅首相の動きにもブレーキがかかった。菅首相は就任初期から拉致問題を最も重要な政策課題の一つに掲げながら「金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長と条件をつけずに会う」と何度も表明してきた。先月には金与正労働党副部長が東京五輪にやって来た場合を仮定した質問を受けて、対話する意向も明らかしていた。
来週に予定されている菅首相とバイデン大統領の会談でも拉致問題が主要な議題として扱われる予定だった。菅首相は4日、フジテレビに出演して「金正恩委員長が一番気にしているのは米国」としながら「拉致問題がいかに重要なことであるか。政権の最重要課題でもあるので、対面の中で(バイデン)大統領に、しっかり理解してもらいたい」と話した。
拉致被害者がまだ北朝鮮に生存していると主張する日本と、「拉致問題は完全に解決済み」とする北朝鮮は数年間にわたって対話の接点を探れずにいる。今回の東京五輪に北朝鮮の主要人物を招いて平昌五輪の興行を継続すると同時に、断絶した日朝両国間の疎通を再開しようとしていた日本の青写真は、北朝鮮の不参加宣言で、事実上、実現不可能なものとなった。
NHKなど日本メディアによると、この日午前に北朝鮮の発表が出ると、丸川珠代五輪相は初めて聞く話だとし「詳細を確認している」と述べた。加藤勝信官房長官もこの日午前、「引き続き注視していく」と明らかにした。東京五輪組織委員会関係者は、共同通信に「(北朝鮮の不参加に対して)何も聞いていない。寝耳に水だ」と戸惑う様子をみせた。
日本は今回の北朝鮮の選択が他の国の五輪参加決定に影響を及ぼさないか懸念している。東京五輪不参加を決めた国は薬物問題で参加しないロシアを除くと北朝鮮が初めてだ。まだ多くの国々で新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)が猛威を振るっていて、ワクチン接種も一部の先進国を除いては円滑に進んでいない状況だ。そこに日本国内の感染状況も悪化し、北朝鮮をはじめ不参加宣言がドミノ式に相次ぐ可能性を排除することはできない。
これに対して日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は、「多くの選手にとってオリンピックは一生に一度のチャンスだ。欧米に比べて日本はワクチン接種の進みは遅いが、世界的に見れば感染状況は落ち着いている状況」としながら「派遣に対して不安を感じるところはあるかもしれないが派遣を止めるということはものすごく勇気がいると思う」としながらも影響は大きくないと展望した。
一方では今後出てくる可能性のある不参加宣言に対し、対応策を用意するべきだという声もある。組織委のある関係者は、共同通信に対して北朝鮮の不参加は驚くほどのことではないとしつつ「大会本番でも、新型コロナ感染症によって不参加の国が出てくるというのは想定している」と語った。
◆制裁に五輪不参加で応酬?
微妙なことは不参加を宣言したタイミングだ。北朝鮮はこの日、五輪不参加の決定が先月25日に画像方式で開催された北朝鮮五輪委員会の総会で決まったものだと明らかにした。決定後すぐにこれを公開せず、12日後に発表した背景には政治的狙いがあるのではないかという分析もある。
折しも日本政府は6日朝、閣議を通じて今月13日に期限が切れる北朝鮮に対する制裁措置を2年延長することを決めた。北朝鮮の非核化および弾道ミサイル廃棄や日本人拉致問題の解決に対して具体的な進展がみられないことから、制裁を解く時点ではないと判断した。
日本は北朝鮮の核実験および弾道ミサイル発射を問題視し、国連安全保障理事会次元の制裁とは別に2006年から独自制裁措置を取っている。初期は北朝鮮船舶の入港禁止などに限定されていたがその後輸出禁止などに水準を引き上げて2年単位で延長してきた。
北朝鮮が先月弾道ミサイル発射を再開し、日本メディアからは「制裁が延長される」というニュースが出始めた。北朝鮮がこのような情報を確認して制裁延長に「応戦」することができる発表時点を選んだ可能性もある。
◆金与正(キム・ヨジョン)氏が五輪に来れば会うと話していた菅首相
拉致問題解決に向けて北朝鮮と接触する方法を模索してきた菅首相の動きにもブレーキがかかった。菅首相は就任初期から拉致問題を最も重要な政策課題の一つに掲げながら「金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長と条件をつけずに会う」と何度も表明してきた。先月には金与正労働党副部長が東京五輪にやって来た場合を仮定した質問を受けて、対話する意向も明らかしていた。
来週に予定されている菅首相とバイデン大統領の会談でも拉致問題が主要な議題として扱われる予定だった。菅首相は4日、フジテレビに出演して「金正恩委員長が一番気にしているのは米国」としながら「拉致問題がいかに重要なことであるか。政権の最重要課題でもあるので、対面の中で(バイデン)大統領に、しっかり理解してもらいたい」と話した。
拉致被害者がまだ北朝鮮に生存していると主張する日本と、「拉致問題は完全に解決済み」とする北朝鮮は数年間にわたって対話の接点を探れずにいる。今回の東京五輪に北朝鮮の主要人物を招いて平昌五輪の興行を継続すると同時に、断絶した日朝両国間の疎通を再開しようとしていた日本の青写真は、北朝鮮の不参加宣言で、事実上、実現不可能なものとなった。
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