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【時視各角】『朝鮮駆魔師』の教訓

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
初放送から打ち切りまでわずか4日、史上初の事態だった。歴史わい曲論争と反中感情で視聴者の不満が殺到して2話で電撃放映終了が決まったSBSドラマ『朝鮮駆魔師』のことだ。オンライン論争で放送通信審議委員会への嘆願、青瓦台(チョンワデ、大統領府)国民請願、広告主への圧迫まで一糸不乱の動きが続いた。

『朝鮮駆魔師』は悪霊に取り憑かれた朝鮮太宗と王子が悪行を行い、バチカンから来たカトリック駆魔司祭の助けを受けるというファンタジー時代劇だ。現実とはかけ離れた話だが、中国風の小道具や衣装などの考証問題、殺人魔になった太宗や「聖君の表象」の忠寧大君〔世宗(セジョン)〕に対する否定的な描写が反感を買った。ドラマ製作会社の親会社であるYGエンターテインメントに中国資本が入り、さらに脚本を書いたパク・ケオク作家が韓中合作製作会社と契約関係だったというのも論争を大きくした。「チャイナマネー」を通した「文化東北工程」の一環、あるいは悪意の韓国歴史蔑視疑惑が登場した。

製作会社は「ファンタジーフュージョン時代劇で、実存人物を借用して恐怖の現実性を伝えてファンタジー的想像力にフォーカスを合わせようとした」と説明した。しかし、歴史的事実に対する再解釈とひねりはいくらでも可能だが、問題意識も脈絡もなくただ「現実的恐怖感」のために歴史を脇役に立てるのは別の問題だ。パク・ケオク作家は前作『哲仁王后』(tvN)でも現代の男性が朝鮮王妃の身体に入る「トランスジェンダー状況」など独特の設定でストーリーを書いたが、実存人物にこだわり歴史わい曲論争に巻き込まれた。時代劇ジャンルに対する安易な認識を見せている。


国内の反中感情がこれほどだったかと驚く雰囲気だが、事実、民族主義・愛国主義で武装した韓中ネットユーザーの葛藤は根が深い。中国では数年間の東北工程、限韓令に続き、キムチや韓服の元祖が中国で(「韓国=文化泥棒」というフレームだ)、尹東柱(ユン・ドンジュ)詩人も中国人という主張が広まっている。「中国共産党の支持の下、オンラインを利用して盲目的に愛国して狂的に外国を排斥し、自由主義的知識人を攻撃する中国憤怒青年の活躍」だ(『中国愛国主義紅衛兵、憤怒青年』)。中国古代文明をすべて東夷族が作ったという韓国の類似歴史学者の主張も世論を悪化させた。韓国で発売された中国ゲームが韓服と笠子帽(カッ)を韓国伝統だと紹介して中国ネットユーザーの反発によって中国産だと訂正すると、今度は韓国ネットユーザーが不買運動を行ったこともある。

中国政府は「嫌韓」感情をあおり、韓国では政府が中国に低姿勢だという反感が「反中」感情を刺激する。両国の「憤怒青年」がオンラインで一大民族主義文化戦争を行う局面だ。問題は非理性的な「オンライン中華主義」を批判しながらも、徐々にこれと似たようなものになっているという懸念だ。パク・ケオク作家や猟奇的な赤ん坊すり替え事件の主人公である「亀尾(クミ)母娘」が中国同胞という根拠ない主張と共に中国同胞への嫌悪が大きくなる。単に中国原作という理由でまだ放映さえされていないドラマに『歴史わい曲』のレッテルを貼る風潮も広がる。インターネットには「歴史わい曲売国ドラマ対処法」としながら今後の行動指針まで紹介されている。広告主損失効果を確認した今回のドラマのように「放送通信委員会への嘆願は効果がない。金脈を切れ。資本主義では金融治療が最高」という一文も見える。

圧巻は「歴史わい曲審議を強化して放送会社の再許可・再承認に反映する」という李元旭(イ・ウォンウク)国会科学技術情報放送通信委員長(共に民主党)の発言だ。原則的発言であり、無分別な歴史わい曲は問題だが、一歩間違えれば創作の自律を害して歴史をひねる想像力にくつわをはめ、韓流の資産であるドラマ制作に退行的ガイドラインになりかねない。Netflix(ネットフリックス)には白人中心の歴史に対する挑戦として、19世紀英国王妃と一部貴族を黒人に設定して世界的に興行した『ブリジャートン家』という英国ドラマがある。『朝鮮駆魔師』事態から何を学ぶのだろうか。

ヤン・ソンヒ/中央日報コラムニスト



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