4日朝に韓米首脳が電話会談した。メディアは両首脳が短い時間に「包括的対北朝鮮戦略をともに作る必要」があるということで認識をともにし、「韓米同盟を一次元アップグレードすることで約束」したと報道した。「韓日関係改善が重要」するということでも認識が一致したという。
事実韓国外交の3種類の当面の課題がすべて議論された格好だ。問題はこれら3種類のイシューにそれぞれ北朝鮮、中国、日本がかかわっているという点だ。両首脳間で合意したことを韓国政府が履行していくには米国だけでなくこの3つの国との関係で外交の方向を相当程度ひねらなければならない。慣性の力は常に強く、政策再調整にはリスクが伴うため韓国政府には相当な決断が必要な状況だ。ひとつずつ見てみよう。
最初は「包括的対北朝鮮戦略をともに作り」履行する問題だ。韓国政府の立場ではおそらく2018年の思い出が強いだろう。2017年の高まった緊張を平昌(ピョンチャン)五輪を通じて交渉局面に転換させ、3度の南北首脳会談、3度の米朝首脳間の会合があった。多分この夏の東京五輪の際に第2の平昌イベントを作ろうと思うかもしれない。しかし深く考えてみるべきだ。
北朝鮮をながめるバイデン政権の見方はわれわれが想像するよりはるかに冷静だ。彼らはトランプ・金正恩(キム・ジョンウン)会談がテレビショーであり、金正恩はトランプを手玉に取ろうとしたと考える。そして率直に金正恩委員長の関心もすべて米国に向かっており、韓国にありそうではない。韓国政府の切ない呼び掛けにもかかわらず、当分対南態度変化の兆しは見られない。
それならいっそ北朝鮮に大きな期待をかけるより米国に専念するほうが良い。韓国がどのようにすれば、バイデン政権が多くの差し迫ったアジェンダのうち北朝鮮問題を上に引き上げて交渉再開を繰り上げられるのか、「先に非核化、後に制裁解除」というこれまでの非現実的なアプローチより、同時並行、段階的なアプローチ法に変えさせるのか、交渉チームを重視するボトムアップ式アプローチ法だけに固執するのではなく、どのように必要な時に首脳間で疎通もするようにするのか、もしイラン式核妥結案を推進するならばその枠組みとロードマップを組むのにどのように韓国の意見を反映するのか、こうした問題を考えて米国を説得する案を模索することが韓半島(朝鮮半島)平和構築の観点から実質的な効果がもっと大きいだろう。
2番目は「韓米同盟を一次元アップグレードすること」にした約束だ。ここには中国がかかわっている。中国はアジアで覇権的地位に向け20年間以上にわたり韓米同盟を弱体化させるのに注力しきた国だ。あれこれ心理戦術と経済制裁で自らの意志を周辺国に貫徹させる名手だ。韓国政府は米国と中国の間で適当な「戦略的曖昧さ」で対応しようとするかもしれない。しかし状況が大きく変わった。「曖昧さ」ではなく適切な水準の外交の原則と方向が必要な状況だ。
トランプ大統領は同盟の価値より主に資金問題に執着した。防衛費分担金問題など自らの関心事を除いた他の領域に対し特別に神経を使わず、韓日関係悪化も傍観した。そのため韓国には相対的に選択肢が多く、行動半径も広かった。「戦略的曖昧さ」を活用するのが容易だったのだ。
ところがバイデン大統領はずいぶん違う。彼は民主主義、同盟、多国間主義を強調する伝統的な中道現実主義外交を駆使しようとしている。彼の目に写った韓国は米国の同盟のうち最も成功した事例だ。2003年の外交部長官時代にワシントンで上院外交委員長だった彼と何度か会ったことがあったが、そうした考えを読み取ることができた。韓国に対する期待が大きいだけに要請も多いだろう。そのため韓国が何を聞き入れることができ、何は困り、そして米国は韓国に何を協力してほしいと要請するのか、一種の戦略が必要だ。
その場合、価値同盟、グローバル協力同盟次元では積極的に助けて同盟を「アップグレード」しなければならないだろう。そしてともに行くという認識を米国に植え付けなければならない。ただ韓半島から韓米同盟の軍事的ターゲットを中国まで拡大しないよう明確に話さなければならないだろう。そして韓半島平和構築問題を他人事のようにせず積極的にちょっと助けてほしいと説得しなければならないだろう。中国にも、憲法に民主主義を規定した国家アイデンティティ次元から韓国は米国と価値同盟、グローバル問題解決に協力する同盟をするほかないと静かにしかし明確に明らかにしなければならないだろう。中国の反発の可能性もあり、そのためある程度の費用を払うことは避けられないならば国民世論に訴え団結して対応するほかない。長い目で見るとそれが良い戦略だ。
最後に日本問題だ。韓国国内の有権者を意識し感性的に韓日関係を取り扱う場合、外交的に大きな費用を払うほかなくなる。もちろん安倍前首相の修正主義歴史観が大きな問題であり、韓日間の地政学的立地の差に韓日対立の構造的原因があった。そして司法の判決を尊重すべき側面もある。しかし過去史問題と経済・安保問題は分離してアプローチする実質的な努力をしなければならない。何より司法的判決が及ぼす波紋を迂回して防ぐこれまであちこちで提案された政治的解決策を検討し実際に実践しなければならない。韓日関係改善は中国だけでなく米国に対する上でも韓国の外交立地を強化させるだろう。
尹永寛(ユン・ヨングァン)/元外交部長官
事実韓国外交の3種類の当面の課題がすべて議論された格好だ。問題はこれら3種類のイシューにそれぞれ北朝鮮、中国、日本がかかわっているという点だ。両首脳間で合意したことを韓国政府が履行していくには米国だけでなくこの3つの国との関係で外交の方向を相当程度ひねらなければならない。慣性の力は常に強く、政策再調整にはリスクが伴うため韓国政府には相当な決断が必要な状況だ。ひとつずつ見てみよう。
最初は「包括的対北朝鮮戦略をともに作り」履行する問題だ。韓国政府の立場ではおそらく2018年の思い出が強いだろう。2017年の高まった緊張を平昌(ピョンチャン)五輪を通じて交渉局面に転換させ、3度の南北首脳会談、3度の米朝首脳間の会合があった。多分この夏の東京五輪の際に第2の平昌イベントを作ろうと思うかもしれない。しかし深く考えてみるべきだ。
北朝鮮をながめるバイデン政権の見方はわれわれが想像するよりはるかに冷静だ。彼らはトランプ・金正恩(キム・ジョンウン)会談がテレビショーであり、金正恩はトランプを手玉に取ろうとしたと考える。そして率直に金正恩委員長の関心もすべて米国に向かっており、韓国にありそうではない。韓国政府の切ない呼び掛けにもかかわらず、当分対南態度変化の兆しは見られない。
それならいっそ北朝鮮に大きな期待をかけるより米国に専念するほうが良い。韓国がどのようにすれば、バイデン政権が多くの差し迫ったアジェンダのうち北朝鮮問題を上に引き上げて交渉再開を繰り上げられるのか、「先に非核化、後に制裁解除」というこれまでの非現実的なアプローチより、同時並行、段階的なアプローチ法に変えさせるのか、交渉チームを重視するボトムアップ式アプローチ法だけに固執するのではなく、どのように必要な時に首脳間で疎通もするようにするのか、もしイラン式核妥結案を推進するならばその枠組みとロードマップを組むのにどのように韓国の意見を反映するのか、こうした問題を考えて米国を説得する案を模索することが韓半島(朝鮮半島)平和構築の観点から実質的な効果がもっと大きいだろう。
2番目は「韓米同盟を一次元アップグレードすること」にした約束だ。ここには中国がかかわっている。中国はアジアで覇権的地位に向け20年間以上にわたり韓米同盟を弱体化させるのに注力しきた国だ。あれこれ心理戦術と経済制裁で自らの意志を周辺国に貫徹させる名手だ。韓国政府は米国と中国の間で適当な「戦略的曖昧さ」で対応しようとするかもしれない。しかし状況が大きく変わった。「曖昧さ」ではなく適切な水準の外交の原則と方向が必要な状況だ。
トランプ大統領は同盟の価値より主に資金問題に執着した。防衛費分担金問題など自らの関心事を除いた他の領域に対し特別に神経を使わず、韓日関係悪化も傍観した。そのため韓国には相対的に選択肢が多く、行動半径も広かった。「戦略的曖昧さ」を活用するのが容易だったのだ。
ところがバイデン大統領はずいぶん違う。彼は民主主義、同盟、多国間主義を強調する伝統的な中道現実主義外交を駆使しようとしている。彼の目に写った韓国は米国の同盟のうち最も成功した事例だ。2003年の外交部長官時代にワシントンで上院外交委員長だった彼と何度か会ったことがあったが、そうした考えを読み取ることができた。韓国に対する期待が大きいだけに要請も多いだろう。そのため韓国が何を聞き入れることができ、何は困り、そして米国は韓国に何を協力してほしいと要請するのか、一種の戦略が必要だ。
その場合、価値同盟、グローバル協力同盟次元では積極的に助けて同盟を「アップグレード」しなければならないだろう。そしてともに行くという認識を米国に植え付けなければならない。ただ韓半島から韓米同盟の軍事的ターゲットを中国まで拡大しないよう明確に話さなければならないだろう。そして韓半島平和構築問題を他人事のようにせず積極的にちょっと助けてほしいと説得しなければならないだろう。中国にも、憲法に民主主義を規定した国家アイデンティティ次元から韓国は米国と価値同盟、グローバル問題解決に協力する同盟をするほかないと静かにしかし明確に明らかにしなければならないだろう。中国の反発の可能性もあり、そのためある程度の費用を払うことは避けられないならば国民世論に訴え団結して対応するほかない。長い目で見るとそれが良い戦略だ。
最後に日本問題だ。韓国国内の有権者を意識し感性的に韓日関係を取り扱う場合、外交的に大きな費用を払うほかなくなる。もちろん安倍前首相の修正主義歴史観が大きな問題であり、韓日間の地政学的立地の差に韓日対立の構造的原因があった。そして司法の判決を尊重すべき側面もある。しかし過去史問題と経済・安保問題は分離してアプローチする実質的な努力をしなければならない。何より司法的判決が及ぼす波紋を迂回して防ぐこれまであちこちで提案された政治的解決策を検討し実際に実践しなければならない。韓日関係改善は中国だけでなく米国に対する上でも韓国の外交立地を強化させるだろう。
尹永寛(ユン・ヨングァン)/元外交部長官
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