「新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)が出産率に及ぼす影響は2021年から現実化して少なくとも2年は続くものとみられる」
韓国銀行が昨年末まとめた「ポストコロナ時代の人口構造変化の環境点検」という報告書内容の一部だ。2019年3月統計庁は急速な出産率の下落を反映した「将来人口特別推計」をまとめた。この際、人口頂点時期と規模を2028年5194万人に予測したが、わずか1年前を見通すことができなかった。
行政安全部によると、昨年末住民登録人口は5183万人で前年末より約2万人が減少した。住民登録人口が減ったのは史上最初であり、死亡者数が出生者数を上回る「人口デッドクロス」が起きた。妊娠および準備期間などを考えると、昨年人口減少が単に新型肺炎のためだと見ることは難しい。新型肺炎で結婚を延期したり妊娠を先送りしたりしたとすれば、その影響は今年以降に本格的に現れるだろう。今より状況がさらに悪化する可能性があるということだ。
様々な支援策や制度改善で出産率を高めることが求められるが、今は現実化した人口減少と急激な人口構造の変化にも備えなければならない。昨年出生した子どもは27万5815人で、史上初めて30万人割れとなった。大規模な移民がない以上、この出生者数は未来を規定する。数年後、この子どもたちが保育園や幼稚園に行くとき、院児募集をまともにできない所があるかもしれない。
数年か前に私立幼稚園の不正が浮上したとき、政府は私立幼稚園が公共性のある教育機関であることを明確にした。このような困難が生じる場合、政府は私立幼稚園をどのように扱うべきだろうか。国民の税金を投じて「教育機関」を支援するべきだろうか。それとも、私立だから自ら片付けるようにするだろうか。
昨年小学生数は269万人だ。最近出生数を考えると、6~7年後には小学生数が200万人を下回るだろう。このような状況で果たして教師数をどの程度に維持するべきか。確実なのは過去の基準で教員育成をすることができないということだ。
2021学年度地方大学の定時募集の平均競争率が3対1に及ばなかったという。学生別に3カ校に志願することができるので3対1未満であれば定員を満たすことが難しかったという意味だ。困難はますます深刻化するだろう。だが、教育大学と師範大学が自ら定員を減らし、競争力のない大学が自ら閉校することをを期待することは難しい。
現在、小・中・高校のための地方教育財政は内国税の収入で約20%を割り当てて用意する。教育が国の百年大計であることは事実だが、小中高学生数が1980年代1000万人を超えたときと今のように500万人台に減った状況が同じだと見ることは難しい。かつての財政投入の割合を維持しながらもより質の高い教育をしなければならないという意見もあるだろう。一方では2025年1000万人を上回るものと予想される65歳以上高齢層の福祉にさらに気を遣うべきだという主張も出るかもしれない。
昨年12月発表された4回目の少子高齢社会基本計画にも「雇用・教育・医療・住宅など領域別に一部は超過供給、一部は超過需要が発生するなど、社会領域別需給の不均衡が発生する可能性がある」という内容がある。急速な人口変化に対する悩みを露わにした。だが、本格的な公論化は停滞している。新しい支援策を前面に出すことは簡単だが、恩恵を減らすということを簡単に口にすることはできない。政治的にも人気がない政策だ。
だが、限られた政府の財政ですべてを満足させることはできない。急激な人口変化の時期には苦痛な選択を避けられない。過剰部分は減らし、足りなくて必要な部門に財源をさらに投じるべきだ。韓国より先立って人口減少を体験している日本で出版された書籍『人口減少社会の未来学』(内田樹など)での一部分を引用したい。
「急激な人口減少はもう防ぐことができません。社会構造は劇的な変化を強いられます。ある種の産業分野はまるごと消滅するでしょう。しかし、被害を最小化して破局的事態を回避し、軟着陸するための対策を講じることはできます」
まだ韓国の財政環境が健全だというが、バラマキ政策が続けば耐える力がない。さらに、新型肺炎による財政需要も増加している。残っている分野から足りない分野に財政と資源を回すことができるシステムを作り、これに対する社会的コンセンサスを形成することができなければ人口減少は大災難になってしまうだろう。今は不便でも、必ずやるべきことを準備する時だ。
キム・ウォンベ/社会ディレクター
韓国銀行が昨年末まとめた「ポストコロナ時代の人口構造変化の環境点検」という報告書内容の一部だ。2019年3月統計庁は急速な出産率の下落を反映した「将来人口特別推計」をまとめた。この際、人口頂点時期と規模を2028年5194万人に予測したが、わずか1年前を見通すことができなかった。
行政安全部によると、昨年末住民登録人口は5183万人で前年末より約2万人が減少した。住民登録人口が減ったのは史上最初であり、死亡者数が出生者数を上回る「人口デッドクロス」が起きた。妊娠および準備期間などを考えると、昨年人口減少が単に新型肺炎のためだと見ることは難しい。新型肺炎で結婚を延期したり妊娠を先送りしたりしたとすれば、その影響は今年以降に本格的に現れるだろう。今より状況がさらに悪化する可能性があるということだ。
様々な支援策や制度改善で出産率を高めることが求められるが、今は現実化した人口減少と急激な人口構造の変化にも備えなければならない。昨年出生した子どもは27万5815人で、史上初めて30万人割れとなった。大規模な移民がない以上、この出生者数は未来を規定する。数年後、この子どもたちが保育園や幼稚園に行くとき、院児募集をまともにできない所があるかもしれない。
数年か前に私立幼稚園の不正が浮上したとき、政府は私立幼稚園が公共性のある教育機関であることを明確にした。このような困難が生じる場合、政府は私立幼稚園をどのように扱うべきだろうか。国民の税金を投じて「教育機関」を支援するべきだろうか。それとも、私立だから自ら片付けるようにするだろうか。
昨年小学生数は269万人だ。最近出生数を考えると、6~7年後には小学生数が200万人を下回るだろう。このような状況で果たして教師数をどの程度に維持するべきか。確実なのは過去の基準で教員育成をすることができないということだ。
2021学年度地方大学の定時募集の平均競争率が3対1に及ばなかったという。学生別に3カ校に志願することができるので3対1未満であれば定員を満たすことが難しかったという意味だ。困難はますます深刻化するだろう。だが、教育大学と師範大学が自ら定員を減らし、競争力のない大学が自ら閉校することをを期待することは難しい。
現在、小・中・高校のための地方教育財政は内国税の収入で約20%を割り当てて用意する。教育が国の百年大計であることは事実だが、小中高学生数が1980年代1000万人を超えたときと今のように500万人台に減った状況が同じだと見ることは難しい。かつての財政投入の割合を維持しながらもより質の高い教育をしなければならないという意見もあるだろう。一方では2025年1000万人を上回るものと予想される65歳以上高齢層の福祉にさらに気を遣うべきだという主張も出るかもしれない。
昨年12月発表された4回目の少子高齢社会基本計画にも「雇用・教育・医療・住宅など領域別に一部は超過供給、一部は超過需要が発生するなど、社会領域別需給の不均衡が発生する可能性がある」という内容がある。急速な人口変化に対する悩みを露わにした。だが、本格的な公論化は停滞している。新しい支援策を前面に出すことは簡単だが、恩恵を減らすということを簡単に口にすることはできない。政治的にも人気がない政策だ。
だが、限られた政府の財政ですべてを満足させることはできない。急激な人口変化の時期には苦痛な選択を避けられない。過剰部分は減らし、足りなくて必要な部門に財源をさらに投じるべきだ。韓国より先立って人口減少を体験している日本で出版された書籍『人口減少社会の未来学』(内田樹など)での一部分を引用したい。
「急激な人口減少はもう防ぐことができません。社会構造は劇的な変化を強いられます。ある種の産業分野はまるごと消滅するでしょう。しかし、被害を最小化して破局的事態を回避し、軟着陸するための対策を講じることはできます」
まだ韓国の財政環境が健全だというが、バラマキ政策が続けば耐える力がない。さらに、新型肺炎による財政需要も増加している。残っている分野から足りない分野に財政と資源を回すことができるシステムを作り、これに対する社会的コンセンサスを形成することができなければ人口減少は大災難になってしまうだろう。今は不便でも、必ずやるべきことを準備する時だ。
キム・ウォンベ/社会ディレクター
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