ロシアのA50早期警報統制機(写真上)と中国のH6爆撃機。A50早期警報統制機、Tu95爆撃機などロシアの軍用機15機とH6と推定される中国軍用機4機が22日に韓国の防空識別圏(KADIZ)に進入し離脱した。これら軍用機の領空侵犯はなかったと合同参謀本部は明らかにした。[写真 ロシア国防省ホームページ、日本防衛省統合幕僚幹部提供資料]
米政府系ラジオのボイス・オブ・アメリカ(VOA)が30日に伝えたところによると、米国政界は22日の中ロ戦闘機のKADIZ進入を徹底的に計算された長期的対外戦略の一環とみて米国の強力な支援の下で韓国が断固とした対応に出なければならないと指摘している。
中ロの軍用機が同時にKADIZに進入したのは昨年7月の両国合同演習以降初めてだ。当時は中国の軍用機2機とロシアの軍用機3機がKADIZに進入したが、今回は19機と大量に出撃した。
当日米国務省が中国・ロシア軍用機の大規模出撃を「挑発的な空軍作戦」と規定し、「域内を不安定にさせようとする試みを防ぐ」と反発したのは増え続ける両軍事大国の武力示威に対する米国官民の危機意識を反映するとVOAは伝えた。
ベル元在韓米軍司令官はVOAに「中国とロシアの挑発が事前に調整されていたのは明白だ。中国とロシアとも両国軍が韓国と日本を狙った作戦をほとんど突発的に同時に行うことができるということを見せるため謀議したという意味」と指摘した。
続けて「われわれの相互防衛条約が確かな中で韓国や日本、あるいは両方を攻撃するのは米国に対する攻撃でもある。飛行計画を通知しないで防空識別圏に侵入したのは韓国と日本、米国に重大な懸念となるだろう」とした。
ベル元司令官は「中国とロシアが韓国などと軍事的調整をせずに防空識別圏を飛行することがとても頻繁になった。韓半島で戦争が勃発する場合、両国が北朝鮮を支援し北朝鮮とともに戦うことができるというシグナルを韓国と日本、米国に送ろうとする意図」とも話した。
また「中国とロシアは米国と同盟が米中ロ3強大国間の緊張の根源であり、米国との同盟を終わらせ東アジア地域で中国とロシアの指導力、すなわち無言の覇権を受け入れることが韓国と日本の利益に合致するというシグナルを送っている」とした。
ベル元司令官は「平和と自由を愛するすべての国、特に韓国はこうした挑発的侵入に強く抵抗しなければならない。こうした行動を日常茶飯事と受け入れる場合、韓国は自由を確固として守る意志がなく米国との同盟が弱まり不確実になっているという認識を中国とロシアに与えるだろう」と指摘した。
ローレンス・コーブ元国防次官補は「(中ロの武力示威は)アジア太平洋地域に焦点を合わせて多くの資源を投じている米国を狙った措置。域内での影響力を増やそうとする米国に向け、何をしようが2つの太平洋国を先に相手にしなければならないというシグナルを送っている」とした。
コーブ元次官補は「韓国は中国とロシアに公式に抗議し米国もやはりこれを支援しなければならない」と強調した。
パシフィックフォーラムのラルフ・コッサ名誉会長は「どういう目的なのかは明らかでないが、中国やロシアの動機が何であれ防空識別圏侵入は中国の浮上が完全に平和になされていないという点と中国は望めば武力的な威嚇をはばからないという事実を想起させてくれる」とした。
合わせて「韓国の適切な対応策は韓米同盟を強化し、対空防御能力を引き上げ、中国は信じられないという事実を理解すること」と話した。
ブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン専任研究員は「中国とロシア軍は時には個別に、時には一緒に米国の同盟と米軍に累を及ぼしながらそのような活動をしてきた。韓国はこうした状況に対処するための方策を探さなければならない。非軍事的な方式を選び、その過程で冷静さを失ってはならない」とした。
だが軍事専門家らは中ロの域内軍事作戦が究極的には米国のアジア太平洋戦略を狙うだけに、韓米同盟がさらに断固とした共同対応の意志を見せなければならないと強調した。
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