石炭
米財務省外国資産管理室（ＯＦＡＣ）は８日、北朝鮮の石炭輸送に関連した６社と４隻の船舶を制裁すると発表した。制裁対象となった貿易会社６社は▽北朝鮮のデジン貿易総会社▽中国の威海匯江貿易▽英国のオルウェイズ・スムース▽英国のグッド・シブリングス▽香港のシルバーブリッジ▽ベトナムのティンクオン。
４隻の船舶は▽アジア・ブリッジ▽カーム・ブリッジ▽ラッキー・スター▽スター１８で、北朝鮮の石炭を運ぶのに動員されたと伝えられた。これらの船舶はすでにＯＦＡＣの対北朝鮮制裁リストに上がっていた。
ＯＦＡＣによると、これら企業と船舶は北朝鮮の石炭取引に持続的に関与してきた。平壌（ピョンヤン）にあるデジン貿易総会社は２０１６年半ばから北朝鮮産石炭を輸出してきた会社だ。この会社は数千トンに達する石炭と鉄鉱石をベトナムに運び、これをロシア産と偽って制裁を回避したりした。
ＯＦＡＣはこの会社が石炭の購入、販売、供給、運送などに直接的・間接的に関与し、北朝鮮当局と朝鮮労働党の収益に寄与したと指摘した。
威海匯江貿易、オルウェイズ・スムース、グッド・シブリングスの３社の場合、北朝鮮の石炭貿易に関与した。これら企業はアジア・ブリッジ、ラッキー・スターなどの船舶で北朝鮮の港で石炭を載せベトナムに運んだとＯＦＡＣは指摘した。
ムニューシン財務長官は「北朝鮮は石炭輸出を禁止した国連決議を回避し続けている。（石炭輸出は）北朝鮮の大量破壊兵器計画を支援する主要な収入源だ」と強調した。その上で「北朝鮮の石炭調達にかかわった個人と会社、船舶などに措置を取り、国連安保理決議を履行しなければならない」と中国を狙った。
今回の制裁対象となった貿易会社は米国内の資産が凍結される。また、制裁対象に上がった企業と船舶にサービスを提供する金融機関と個人も米国のセカンダリーボイコット（２次制裁）の対象になる恐れがある。
これに先立ち米国は２０１７年に大統領令１３８１０号を発動し「北朝鮮と商品、サービス、技術の輸出入に関与する個人と企業の米国内資産凍結」を明示した。また、大統領令１３６８７号は朝鮮労働党とかかわった団体と機関の制裁を、１３７２２号では北朝鮮との直接取引を禁止している。
任期を４０日ほど残したトランプ政権は最近対北朝鮮制裁とリンクさせた対中圧迫レベルを高めている。これに先立ちオブライエン大統領補佐官は７日に公開されたインタビューで北朝鮮の石炭密輸出を問題にして中国に対北朝鮮制裁履行を圧迫した。
米国務省も最近報奨金５００万ドルを掲げた対北朝鮮制裁回避情報提供サイトを開設した。米国務省のアレックス・ウォン北朝鮮担当特別副代表は１日、「年間５５５回にわたり国連が禁止した石炭などの制裁物品を積んだ船舶が北朝鮮から中国に入るのを見守った。ただの一度も中国当局はこうした違法輸入を防ぐための措置を取らなかった」と公開指摘している。
これに先立ちウォール・ストリート・ジャーナルは前日、米国務省高官の発言と衛星写真を通じ、北朝鮮船籍の船舶が堂々と中国に石炭を運んだと報道した。
こうした動きと関連し、トランプ政権終盤の対中圧力強化と対北朝鮮制裁強化が今後発足するバイデン政権には機会要因になるという分析も出ている。ある外交消息筋は「今後バイデン政権発足後の本格的な米中交渉でバイデン氏が使えるカードをトランプ大統領が多く作っている格好」と話した。
一方、１月２０日に発足するバイデン政権は米財務省の制裁政策をより効率的で体系的に変えていく方針だという。ブルームバーグは８日、バイデン政権の財務副長官に指名されたワリー・アデエモ氏がこのためにトランプ政権の制裁方式に対する包括的な政策的レビューをする予定だと報道した。トランプ政権の対イランと対北朝鮮制裁が過度に一方的で広範囲で同盟国に混乱を与えたとみて、総合的で体系的な制裁政策を構想するという。これに伴い、トランプ政権の「マイウェイ式制裁」を超え、同盟国に制裁効果を最大化する緊密な協力を要請すると予想される。
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