「第2の半導体」と呼ばれる電気自動車バッテリー競争が原材料確保競争に移っている。韓国・日本・中国などがバッテリー生産に必要なニッケルなど原材料の確保に死活をかけているが、韓国政府・与党はニッケル鉱山の売却に動いている。韓国バッテリー業界が原材料確保競争で不利になるという懸念が強まっている。
関連業界によると、韓国鉱物資源公社が2兆ウォン(約1800億円)を投資したアフリカ東方の島国マダガスカルのアンバトビー・ニッケル鉱山事業は、与党・共に民主党が鉱物資源公社の海外資源開発直接投資を禁止する法案を推進し、全面白紙化される状況を迎えた。専門家らは「次世代バッテリー開発がニッケルの比率を増やす方向に進み、ニッケルの需要が急激に増加している世界的な傾向と正反対に向かっている」と指摘した。LG化学、サムスンSDI、SKイノベーションのうち海外ニッケル鉱山を保有する企業は1つもない。
ニッケル価格は需要の急増で連日急騰している。25日の英ロンドン金属取引所(LME)によると、ニッケル現物価格は1トンあたり1万4862ドルと、今年の最高値となった。この5カ月間で34.4%も上昇した。バッテリー用ニッケルの需要は2020年の15万トンから2030年には約110万トンと、7倍以上に増える見込みだ。
◆未来の素材確保は「後まわし」…逆行する韓国政府の政策
韓国鉱物資源公社が今月初め、マダガスカルのアンバトビー・ニッケル・コバルト鉱山売却作業に入り、国内の業界は当惑している。アンバトビー鉱山はニッケル原鉱1億4620万トンが埋蔵された世界3大ニッケル鉱山の一つ。2006年の開発段階から論争が絶えなかったが、この鉱山を売却すれば「第2の半導体」と呼ばれるバッテリー原材料の海外依存度がさらに高まるという指摘が出ている。
◆ニッケル鉱山の売却を急ぐ韓国政府
鉱物資源公社は今月初め、アンバトビー鉱山の株式33%売却のためのコンサルティング業務入札公告を出した。来月までに選定する方針だ。この事業は昨年末基準で2兆1945億ウォンが投入された鉱物資源公社の最大の海外資源開発事業。公社の関係者は「国会で鉱業公団統合法案が再発議され、海外プロジェクト売却手続きを踏んでいる」と伝えた。
鉱物資源公社は2006年にこの事業に参入した。日本の住友商事(持ち株比率47.67%)とカナダのシェリット(12%)も参加している。公社側は「国富の流出という批判がないよう国内企業を対象にまず売却を進め、これが不可能なら海外投資家に売却する」と明らかにした。しかし国内で買収企業を探すのは容易ではない見込みだ。業界関係者は「生産施設の拡充と研究開発の投資に追われるバッテリー企業が兆ウォン単位の鉱山の株式を取得するのは難しい」とし「最悪のシナリオだが、競争相手の中国や日本に売却される可能性が高い」と話した。
アンバトビーは事業開始当時、未来に目を向けた投資決定という評価を受け、大きな期待を集めた。しかし2010年以降、マダガスカル内戦、原材料価格の急落、工場の事故、新型コロナウイルス感染症による工場の閉鎖など悪材料が続いた。李明博(イ・ミョンバク)政権当時に推進した他の海外資源開発事業も問題が見つかり「積弊」と見なされた。鉱物資源公社は昨年末基準で負債6兆4000億ウォンと、資本欠損の状態にある。
しかしアンバトビーの事業は徐々に改善している。ニッケル生産量が2012年には6000トンにすぎなかったが、2015年には4万7000トンに増えた。最近ニッケル価格が上昇し、さらに改善する可能性が高い。アンバトビー鉱山は韓国に年間ニッケル1万トンほど(全体需要の約7-8%)供給している。電気自動車3万台に供給できる量だ。株式を売却すれば供給が不安定になるという懸念が出る理由だ。公社関係者も「資源投資は20-30年後を見通してする」とし「過去の実績を基準に売却を急ぐのは残念だ」と話した。
◆ニッケルの中国依存度高まる
バッテリー市場で韓国の最大ライバルの中国はニッケル確保の動きを加速させている。世界最大コバルト企業の中国華友コバルトは5月、1兆ウォンをインドネシアのニッケル採掘事業に投資すると明らかにした。住友商事は赤字にもかかわらずアンバトビーへの出資をさらに増やした。パナソニックは住友商事のほか三菱商事、伊藤忠商事など1990年代から資源開発に投資した自国企業を通じて安定的に原材料を調達している。
ニッケルの需要が急増し、主要生産国が「経済武器化」に入る兆候も表れている。世界ニッケル供給量4分の1を占めるインドネシアは昨年10月、ニッケル原鉱の輸出を中断した。表面的には埋蔵量不足と主張しているが、専門家らはインドネシアがニッケル原石を直接加工した後、バッテリー陽極材など高付加価値商品として生産・販売するためとみている。フィリピンでは新型コロナで操業に支障が生じ、上半期の生産量が前年同期比で28%減少した。
韓国バッテリー業界のニッケル中国依存度はさらに高まっている。ニッケル陽極材の中間製品の前駆体(ニッケルにマンガンなどを混合)形態で70%以上を中国から輸入する。LG化学は2018年、中国華友コバルトと合弁会社を設立し、ニッケル・コバルトなど原材料の供給を受けている。韓国国内トップの陽極材生産企業ポスコケミカルも華友コバルトから陽極材の原料の前駆体を輸入している。バッテリー業界の関係者は「日本が半導体素材の輸出を規制したように、中国が資源を武器として圧力を加えればどうすることもできない構造」と語った。
関連業界によると、韓国鉱物資源公社が2兆ウォン(約1800億円)を投資したアフリカ東方の島国マダガスカルのアンバトビー・ニッケル鉱山事業は、与党・共に民主党が鉱物資源公社の海外資源開発直接投資を禁止する法案を推進し、全面白紙化される状況を迎えた。専門家らは「次世代バッテリー開発がニッケルの比率を増やす方向に進み、ニッケルの需要が急激に増加している世界的な傾向と正反対に向かっている」と指摘した。LG化学、サムスンSDI、SKイノベーションのうち海外ニッケル鉱山を保有する企業は1つもない。
ニッケル価格は需要の急増で連日急騰している。25日の英ロンドン金属取引所(LME)によると、ニッケル現物価格は1トンあたり1万4862ドルと、今年の最高値となった。この5カ月間で34.4%も上昇した。バッテリー用ニッケルの需要は2020年の15万トンから2030年には約110万トンと、7倍以上に増える見込みだ。
◆未来の素材確保は「後まわし」…逆行する韓国政府の政策
韓国鉱物資源公社が今月初め、マダガスカルのアンバトビー・ニッケル・コバルト鉱山売却作業に入り、国内の業界は当惑している。アンバトビー鉱山はニッケル原鉱1億4620万トンが埋蔵された世界3大ニッケル鉱山の一つ。2006年の開発段階から論争が絶えなかったが、この鉱山を売却すれば「第2の半導体」と呼ばれるバッテリー原材料の海外依存度がさらに高まるという指摘が出ている。
◆ニッケル鉱山の売却を急ぐ韓国政府
鉱物資源公社は今月初め、アンバトビー鉱山の株式33%売却のためのコンサルティング業務入札公告を出した。来月までに選定する方針だ。この事業は昨年末基準で2兆1945億ウォンが投入された鉱物資源公社の最大の海外資源開発事業。公社の関係者は「国会で鉱業公団統合法案が再発議され、海外プロジェクト売却手続きを踏んでいる」と伝えた。
鉱物資源公社は2006年にこの事業に参入した。日本の住友商事(持ち株比率47.67%)とカナダのシェリット(12%)も参加している。公社側は「国富の流出という批判がないよう国内企業を対象にまず売却を進め、これが不可能なら海外投資家に売却する」と明らかにした。しかし国内で買収企業を探すのは容易ではない見込みだ。業界関係者は「生産施設の拡充と研究開発の投資に追われるバッテリー企業が兆ウォン単位の鉱山の株式を取得するのは難しい」とし「最悪のシナリオだが、競争相手の中国や日本に売却される可能性が高い」と話した。
アンバトビーは事業開始当時、未来に目を向けた投資決定という評価を受け、大きな期待を集めた。しかし2010年以降、マダガスカル内戦、原材料価格の急落、工場の事故、新型コロナウイルス感染症による工場の閉鎖など悪材料が続いた。李明博(イ・ミョンバク)政権当時に推進した他の海外資源開発事業も問題が見つかり「積弊」と見なされた。鉱物資源公社は昨年末基準で負債6兆4000億ウォンと、資本欠損の状態にある。
しかしアンバトビーの事業は徐々に改善している。ニッケル生産量が2012年には6000トンにすぎなかったが、2015年には4万7000トンに増えた。最近ニッケル価格が上昇し、さらに改善する可能性が高い。アンバトビー鉱山は韓国に年間ニッケル1万トンほど(全体需要の約7-8%)供給している。電気自動車3万台に供給できる量だ。株式を売却すれば供給が不安定になるという懸念が出る理由だ。公社関係者も「資源投資は20-30年後を見通してする」とし「過去の実績を基準に売却を急ぐのは残念だ」と話した。
◆ニッケルの中国依存度高まる
バッテリー市場で韓国の最大ライバルの中国はニッケル確保の動きを加速させている。世界最大コバルト企業の中国華友コバルトは5月、1兆ウォンをインドネシアのニッケル採掘事業に投資すると明らかにした。住友商事は赤字にもかかわらずアンバトビーへの出資をさらに増やした。パナソニックは住友商事のほか三菱商事、伊藤忠商事など1990年代から資源開発に投資した自国企業を通じて安定的に原材料を調達している。
ニッケルの需要が急増し、主要生産国が「経済武器化」に入る兆候も表れている。世界ニッケル供給量4分の1を占めるインドネシアは昨年10月、ニッケル原鉱の輸出を中断した。表面的には埋蔵量不足と主張しているが、専門家らはインドネシアがニッケル原石を直接加工した後、バッテリー陽極材など高付加価値商品として生産・販売するためとみている。フィリピンでは新型コロナで操業に支障が生じ、上半期の生産量が前年同期比で28%減少した。
韓国バッテリー業界のニッケル中国依存度はさらに高まっている。ニッケル陽極材の中間製品の前駆体(ニッケルにマンガンなどを混合)形態で70%以上を中国から輸入する。LG化学は2018年、中国華友コバルトと合弁会社を設立し、ニッケル・コバルトなど原材料の供給を受けている。韓国国内トップの陽極材生産企業ポスコケミカルも華友コバルトから陽極材の原料の前駆体を輸入している。バッテリー業界の関係者は「日本が半導体素材の輸出を規制したように、中国が資源を武器として圧力を加えればどうすることもできない構造」と語った。
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