新型コロナウイルスのためだろうとは思いながらも国の経済がとてもおかしな方向に突き進んでいるという考えを消すことはできない。いくつかだけ見てもそうだ。(1)7月の就業者は前年より27万7000人減ったが、60歳以上だけは37万9000人増えた。主に政府が金を払う高齢者雇用事業のためだ。(2)4-6月期の世帯当たり月平均所得は前年より4.8%増えたが、実際に働いて得る勤労所得は5.3%減、事業所得は4.6%減となった。所得全体を増やしたのは主に政府が給付した緊急災害支援金だった。(3)高騰する住宅価格を抑えるという政府が容積率緩和をニンジンに掲げた公共財建築を提示した。ここには韓国土地住宅公社やソウル住宅都市公社が参加しなければならないという条件が付けられた。(4)現政権は収入より支出がはるかに多い。その結果上半期の政府財政(管理財政収支)は110兆5000億ウォンの赤字で、過去最大だ。
1~4の事例を貫く考え方がある。雇用も政府が与え、消費する現金も政府が与える。家を作るのも政府が覗き見る。いわゆる「政府万能主義」だ。政府がすべての問題を直接解決しようとするということだ。光の速度で増えている国の債務はそれと無関係ではない。その負債をどのように減らし返していくのか現政権は話さずにいる。
韓国経済で政府の割合は前例がないほど大きくなった。新型コロナウイルス危機のために避けられない側面はある。しかし新型コロナウイルスがなかった昨年の成長率である2%のうち民間は0.4ポイント、政府はその4倍の1.6ポイントを担当した。民間が走り政府が支援していた韓国経済の姿が一瞬で変わったのだ。
民間より政府を前面に出すのが現政権だ。文在寅(ムン・ジェイン)政権が国政目標として掲げるのが「私の暮らしの責任を持つ国」だ。国が問題解決者として前面に出たのだ。
しかし現実で政府の独走は深刻な副作用を呼ぶ。最低賃金の無理な引き上げは数多くの社会的弱者を仕事場から押し出した。週52時間制は産業現場の活力を落とした。ようやく出した住宅供給対策は民間の関心を集めるのに失敗し住宅価格は再び高騰した。労働政策であれ不動産政策であれ政府が完全な市場をかき回して壊した側面が強い。
それでも現政権に政府万能主義的政策基調を再考する兆しはない。むしろ社会主義的色彩がますます強まっている。文大統領は不動産市場監督機関を設置する構想を打ち出した。価格規制措置はさらに頻繁になっている。伝貰価格が急騰するとすぐに伝貰価格を規制し、反伝貰・月貰が増えるとすぐに伝貰・月貰転換率を引き下げる規制に出た。規制が問題を起こし、その問題を治めようとして新たな規制を作り出す悪循環が繰り返されている。ついには規定を破る家主を相手に訴訟を提起すれば良いという話が公務員から公然と出てきている。正常な政府なら国民同士の訴訟を防ぎ減らさなければならないのではないか。
解決者には手足が必要だからか。現政権の公務員増員は歴代級だ。昨年末基準で公務員数は朴槿恵(パク・クネ)政権当時より6.99%増えた。増加率は李明博(イ・ミョンバク)政権の1.24%、朴槿恵政権の4.19%を大きく上回る。金大中(キム・デジュン)政権が通貨危機の中で公務員規模を3.37%減らしたような改革性はない。昨年公共機関の職員数は2016年より25%増加した。
政府の肥大化、政府の市場圧倒は経済に高い代価を要求する。必然的に市場と民間を萎縮させるためだ。天井知らずに増える政府支出は結局国民の税金で充当しなければならない。それだけ国民の財布は薄くなり、使えるお金が不足し消費を減らすほかない。それがまさに韓国経済の力を落とす要因として作動している。
パンデミックは国同士の命運をひっくり返す。新型コロナウイルスという特殊危機が消えた後も、政府がお金を分け与える直接支援が名分を失う時期にも、韓国経済は巡航できなくてはならない。政府は果たしてコロナ以降に自信を持てるのか。
政府万能主義は、市場に対する無知、市場は富裕層だけが利益を得るという不信、政府を動かす執権勢力だけが正しいという独善から始まる。その果てはどうだろうか? 世界的に民間が政府ばかり見つめる依存型経済になるのが左派執権国の特徴だった。その社会では民間の創意性と自律性が息づかなかった。その結果は国民を悲惨にさせた経済荒廃化だったことを私たちは知っている。
イ・サンリョル/コンテンツ製作チーフエディター
1~4の事例を貫く考え方がある。雇用も政府が与え、消費する現金も政府が与える。家を作るのも政府が覗き見る。いわゆる「政府万能主義」だ。政府がすべての問題を直接解決しようとするということだ。光の速度で増えている国の債務はそれと無関係ではない。その負債をどのように減らし返していくのか現政権は話さずにいる。
韓国経済で政府の割合は前例がないほど大きくなった。新型コロナウイルス危機のために避けられない側面はある。しかし新型コロナウイルスがなかった昨年の成長率である2%のうち民間は0.4ポイント、政府はその4倍の1.6ポイントを担当した。民間が走り政府が支援していた韓国経済の姿が一瞬で変わったのだ。
民間より政府を前面に出すのが現政権だ。文在寅(ムン・ジェイン)政権が国政目標として掲げるのが「私の暮らしの責任を持つ国」だ。国が問題解決者として前面に出たのだ。
しかし現実で政府の独走は深刻な副作用を呼ぶ。最低賃金の無理な引き上げは数多くの社会的弱者を仕事場から押し出した。週52時間制は産業現場の活力を落とした。ようやく出した住宅供給対策は民間の関心を集めるのに失敗し住宅価格は再び高騰した。労働政策であれ不動産政策であれ政府が完全な市場をかき回して壊した側面が強い。
それでも現政権に政府万能主義的政策基調を再考する兆しはない。むしろ社会主義的色彩がますます強まっている。文大統領は不動産市場監督機関を設置する構想を打ち出した。価格規制措置はさらに頻繁になっている。伝貰価格が急騰するとすぐに伝貰価格を規制し、反伝貰・月貰が増えるとすぐに伝貰・月貰転換率を引き下げる規制に出た。規制が問題を起こし、その問題を治めようとして新たな規制を作り出す悪循環が繰り返されている。ついには規定を破る家主を相手に訴訟を提起すれば良いという話が公務員から公然と出てきている。正常な政府なら国民同士の訴訟を防ぎ減らさなければならないのではないか。
解決者には手足が必要だからか。現政権の公務員増員は歴代級だ。昨年末基準で公務員数は朴槿恵(パク・クネ)政権当時より6.99%増えた。増加率は李明博(イ・ミョンバク)政権の1.24%、朴槿恵政権の4.19%を大きく上回る。金大中(キム・デジュン)政権が通貨危機の中で公務員規模を3.37%減らしたような改革性はない。昨年公共機関の職員数は2016年より25%増加した。
政府の肥大化、政府の市場圧倒は経済に高い代価を要求する。必然的に市場と民間を萎縮させるためだ。天井知らずに増える政府支出は結局国民の税金で充当しなければならない。それだけ国民の財布は薄くなり、使えるお金が不足し消費を減らすほかない。それがまさに韓国経済の力を落とす要因として作動している。
パンデミックは国同士の命運をひっくり返す。新型コロナウイルスという特殊危機が消えた後も、政府がお金を分け与える直接支援が名分を失う時期にも、韓国経済は巡航できなくてはならない。政府は果たしてコロナ以降に自信を持てるのか。
政府万能主義は、市場に対する無知、市場は富裕層だけが利益を得るという不信、政府を動かす執権勢力だけが正しいという独善から始まる。その果てはどうだろうか? 世界的に民間が政府ばかり見つめる依存型経済になるのが左派執権国の特徴だった。その社会では民間の創意性と自律性が息づかなかった。その結果は国民を悲惨にさせた経済荒廃化だったことを私たちは知っている。
イ・サンリョル/コンテンツ製作チーフエディター
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