年初にハンギョレ新聞のA記者が会社を去った。彼は2017年5月、週刊誌の表紙に文在寅(ムン・ジェイン)大統領を掲載した後、親文派ネットユーザーの非難を浴びた。「なぜ無愛想な表情の写真を選んだのか」ということだ。その日夜、彼はフェイスブックに「かかってこい、親文派たち」というコメントを載せた。「よし、やってやろう…そうくるのならやるしかない」という危険な挑発だった。あっという間に親文派ネットユーザーは1万件の書き込みで攻撃した。A記者はすぐに「申し訳ございません。酒を飲んでつまらないことをした…どうか怒りを収めてください」と謝罪のコメントを載せたが、波紋は続いた。
ハンギョレ新聞は会社レベルの謝罪文を発表した。A記者は記者として有能で自負心も強かったという。そのためか社内の懲戒はなかったという。彼を支持した当時の社長がかばったという話もある。しかしどうすることもできなかった。親文陣営は2カ月間で2000人が週刊誌の購読を中断するなど容赦なく報復した。社内の視線も冷たくなった。その後、A記者は3年近く核心部署に入ることができず、デジタル開発など外郭で過ごした。彼は結局、総選挙の直前に「大学で言論の勉強をする」と言って会社を離れたという。
このように「親文派」の攻撃は執拗だ。「一度でも目をつけられれば死ぬ」というのは誇張でない。民主党の趙応天(チョ・ウンチョン)議員さえも「私も周囲の反応を気にしながら自らを自己検閲してきたことを告白する」と話すほどだ。そのような親文ネットユーザーの最近のターゲットは不動産だ。文在寅大統領を脅かす最大の懸案であるからだ。一昨日、文大統領は一線の学校体験で「未来の何が最も気になりますか」という質問に対し「不動産について知りたい」と答えた。陳聲準(チン・ソンジュン)民主党戦略企画本部長ら親文派の核心も大統領の支持率が落ちると、「8末9初」を持ち出した。「不動産対策の効果として8月末から9月初めごろ住宅価格が落ちる」と声を高める。
実際、親文派の集団行動も尋常でない。先日、親文派ネットユーザーが多いあるインターネットサイトでは「不動産掲示板をなくそう」という要求が登場した。6月に趙己淑(チョ・ギスク)元広報首席秘書官がフェイスブックに「文大統領が参謀から過去に誤った(不動産)神話を学習したようだ、大変なことになると思った」というコメントを載せると、親文ネットユーザーは「反逆者」として攻撃した。趙氏の曽祖父の過去まで持ち出しながら「黙ってろ」と脅迫した。趙氏は2日後にコメントを削除した。
文在寅政権の不動産政治化は慢性的な現象だ。振り返ると、過去3年間は不動産に対し、全国民主労働組合総連盟(民主労総)・参与連帯など自身の支持層を意識して接近した。支持層の望みに合わせて「ソウルのアパート供給は十分」「不動産投機が問題」という論理を守った。再建築規制の緩和など供給の拡大を注文すれば「土建族の手先」と罵倒した。朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長も9年間、再建築を束縛した。その結果、22回も住宅担保融資を引き締めて、税金の金棒を振り回すばかりで、供給は全く考慮しなかった。それですべて失敗するしかなかった。不動産は税金で統制するのではなく需要・供給で統制するのが基本だ。
親文派は今回の不動産対策にも決定的な影響を及ぼした。民主党は臨時国会で野党との協議なく不動産関連法案をわずか1週間で一方的に強行した。不動産問題を解決できなければ自滅するかもしれない政治的な賭けだった。これには背景がある。民主党のある関係者は「最も重要な支持層が『我々が総選挙で多数党を作った理由は何か。不動産と検察改革は今年しか機会がない』と激しく圧力を加え、急いで法案を処理した」と告白した。民主党議員も次々と反応した。「それでも住宅価格は落ちない」というコメントで攻撃を受けた陳聲準(チン・ソンジュン)民主党戦略企画委員長は、再びテレビの生放送に登場し、「住宅価格は安定し、伝貰(チョンセ、入居時に当該不動産売買価格の70-90%程度の高額の保証金を賃貸人に預託し、契約期間中は家賃などの賃借料を支払わない)価格も落ち着いている」と言葉を覆した。陳委員長は7月末-8月初めの数値だけを取り上げ、最近の8月10日の不動産統計は抜いた。
親文陣営が信仰する8・4不動産対策は税金爆弾が核心だ。多住宅者(複数の住宅所有者)に総合不動産税・譲渡所得税・贈与税の3セットの懲罰的爆弾を投下した。しかし売り物件が増える兆しはない。2年後の大統領選挙までは持ちこたえようという人が少なくない。さらに賃貸借3法が通過したことで、伝貰は上がり、伝貰物件は急減した。「伝貰終末・家賃地獄」という悲鳴が聞こえる。しかし不動産市場がいつどんな方向に転ぶかは誰にも分からない。いくら低金利で流動性があふれていても、新型コロナ感染の再拡大で経済状況が悪化すれば不動産市場も冷え込むかもしれない。あまりにも強力な不動産税法であるうえ、今後4年間は民主党が国会を支配するだけに、いつ不動産不敗神話が揺れるか分からない。
しかし問題は不動産対策に対する憎悪と敵対感だ。文在寅政権の不動産政策は多住宅所有者とソウル江南(カンナム)を悪魔化させた。不動産を善悪の対立構図にしてしまった。江南の富裕層のための再建築規制緩和は全く通用しなかった。その代わりソウルの住宅価格を抑えようと首都を世宗(セジョン)市に移そうと主張した。安易にグリーンベルトを解除しようとしたが、逆風を招いた。こうした空回りが繰り返されれば、果たして8・4対策も政府が意図するように効果を出せるかは疑問だ。むしろ専門家は不動産税金を上げれば「価値の高い不動産」が好まれ、江南よりも新都市やソウル郊外の住宅価格から暴落するかもしれないと警告する。
【コラム】親文陣営の不吉な不動産暴走…日本の失敗した「韓国版三重野」は避けるべき(2)
ハンギョレ新聞は会社レベルの謝罪文を発表した。A記者は記者として有能で自負心も強かったという。そのためか社内の懲戒はなかったという。彼を支持した当時の社長がかばったという話もある。しかしどうすることもできなかった。親文陣営は2カ月間で2000人が週刊誌の購読を中断するなど容赦なく報復した。社内の視線も冷たくなった。その後、A記者は3年近く核心部署に入ることができず、デジタル開発など外郭で過ごした。彼は結局、総選挙の直前に「大学で言論の勉強をする」と言って会社を離れたという。
このように「親文派」の攻撃は執拗だ。「一度でも目をつけられれば死ぬ」というのは誇張でない。民主党の趙応天(チョ・ウンチョン)議員さえも「私も周囲の反応を気にしながら自らを自己検閲してきたことを告白する」と話すほどだ。そのような親文ネットユーザーの最近のターゲットは不動産だ。文在寅大統領を脅かす最大の懸案であるからだ。一昨日、文大統領は一線の学校体験で「未来の何が最も気になりますか」という質問に対し「不動産について知りたい」と答えた。陳聲準(チン・ソンジュン)民主党戦略企画本部長ら親文派の核心も大統領の支持率が落ちると、「8末9初」を持ち出した。「不動産対策の効果として8月末から9月初めごろ住宅価格が落ちる」と声を高める。
実際、親文派の集団行動も尋常でない。先日、親文派ネットユーザーが多いあるインターネットサイトでは「不動産掲示板をなくそう」という要求が登場した。6月に趙己淑(チョ・ギスク)元広報首席秘書官がフェイスブックに「文大統領が参謀から過去に誤った(不動産)神話を学習したようだ、大変なことになると思った」というコメントを載せると、親文ネットユーザーは「反逆者」として攻撃した。趙氏の曽祖父の過去まで持ち出しながら「黙ってろ」と脅迫した。趙氏は2日後にコメントを削除した。
文在寅政権の不動産政治化は慢性的な現象だ。振り返ると、過去3年間は不動産に対し、全国民主労働組合総連盟(民主労総)・参与連帯など自身の支持層を意識して接近した。支持層の望みに合わせて「ソウルのアパート供給は十分」「不動産投機が問題」という論理を守った。再建築規制の緩和など供給の拡大を注文すれば「土建族の手先」と罵倒した。朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長も9年間、再建築を束縛した。その結果、22回も住宅担保融資を引き締めて、税金の金棒を振り回すばかりで、供給は全く考慮しなかった。それですべて失敗するしかなかった。不動産は税金で統制するのではなく需要・供給で統制するのが基本だ。
親文派は今回の不動産対策にも決定的な影響を及ぼした。民主党は臨時国会で野党との協議なく不動産関連法案をわずか1週間で一方的に強行した。不動産問題を解決できなければ自滅するかもしれない政治的な賭けだった。これには背景がある。民主党のある関係者は「最も重要な支持層が『我々が総選挙で多数党を作った理由は何か。不動産と検察改革は今年しか機会がない』と激しく圧力を加え、急いで法案を処理した」と告白した。民主党議員も次々と反応した。「それでも住宅価格は落ちない」というコメントで攻撃を受けた陳聲準(チン・ソンジュン)民主党戦略企画委員長は、再びテレビの生放送に登場し、「住宅価格は安定し、伝貰(チョンセ、入居時に当該不動産売買価格の70-90%程度の高額の保証金を賃貸人に預託し、契約期間中は家賃などの賃借料を支払わない)価格も落ち着いている」と言葉を覆した。陳委員長は7月末-8月初めの数値だけを取り上げ、最近の8月10日の不動産統計は抜いた。
親文陣営が信仰する8・4不動産対策は税金爆弾が核心だ。多住宅者(複数の住宅所有者)に総合不動産税・譲渡所得税・贈与税の3セットの懲罰的爆弾を投下した。しかし売り物件が増える兆しはない。2年後の大統領選挙までは持ちこたえようという人が少なくない。さらに賃貸借3法が通過したことで、伝貰は上がり、伝貰物件は急減した。「伝貰終末・家賃地獄」という悲鳴が聞こえる。しかし不動産市場がいつどんな方向に転ぶかは誰にも分からない。いくら低金利で流動性があふれていても、新型コロナ感染の再拡大で経済状況が悪化すれば不動産市場も冷え込むかもしれない。あまりにも強力な不動産税法であるうえ、今後4年間は民主党が国会を支配するだけに、いつ不動産不敗神話が揺れるか分からない。
しかし問題は不動産対策に対する憎悪と敵対感だ。文在寅政権の不動産政策は多住宅所有者とソウル江南(カンナム)を悪魔化させた。不動産を善悪の対立構図にしてしまった。江南の富裕層のための再建築規制緩和は全く通用しなかった。その代わりソウルの住宅価格を抑えようと首都を世宗(セジョン)市に移そうと主張した。安易にグリーンベルトを解除しようとしたが、逆風を招いた。こうした空回りが繰り返されれば、果たして8・4対策も政府が意図するように効果を出せるかは疑問だ。むしろ専門家は不動産税金を上げれば「価値の高い不動産」が好まれ、江南よりも新都市やソウル郊外の住宅価格から暴落するかもしれないと警告する。
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