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【コラム】お金刷って放出すれば良さそうだが結局ベネズエラみたいになる=韓国(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
MMTの政策提案に対し、主流マクロ経済学者らは1980年代の米国のレーガン大統領時代に租税率を引き下げれば経済活動が活性化し財政収入が増大するという主張で流行した「供給重視経済学」の事例のように、聞こえは良いが妥当性が弱いと批判している。しかも深刻に悪い結果を招くことになる危険な発想という酷評まで受けている。代表的なものとして、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「貨幣発行で財政赤字を充当することは問題ないという考えは間違いだ」と言及したことがある。まず貨幣発行は実質残高需要によって制約されるため、もし投資家が政府の国債を保有することをためらうならば、彼らは貨幣を保有するのも恐れるためだ。この場合政府が市場にお金を注ぎ込むならば、インフレは避けられず、為替相場も急変動する可能性が大きい。

したがって米国政府も貨幣発行の完全な独立性を有しているということはできない。また、貨幣膨脹と低金利の長期化が招く金融市場の超過供給状態は不安定性問題とインフレの潜在的リスクを持っている。また、MMTは貨幣膨脹が資産市場のバブルを作り、その結果として富の分配を悪化させる影響を看過している。

◇金融緩和の誘惑は大きいが耐え抜かねば


それでもMMTの主張が妥当性を持つ理由は、各国政府が直面している政策対応の現実的切迫性のほかにも、現在世界的にドル需要が無限弾力的な流動性の罠状態にあり、金利がほとんど0またはマイナスに近く、ソーシャルディスタンスによる景気低迷が深くインフレリスクがほとんどないためだ。

注目すべき事実は、進歩ないしはポピュリスト政権であるほどMMT政策に魅力を感じるという点だ。その理由として、MMTは政府が完全雇用を保障し、貨幣発行で財源問題を解決できるためだ。すでにチリ(1970~73)、アルゼンチン(2003~2015)、ペルー(1985~1990)、ベネズエラ(1999~現在)、ブラジル(最近)など南米のポピュリスト政権が貨幣発行で財政支出を充当する政策を推進してきた。その結果インフレ、通貨価値切り下げ、実質賃金の急落など経済的災害を招いた。

それならヘリコプターマネーは大恐慌以来最大の衝撃という新型コロナ危機から世界経済を助ける福音になるだろうか。そうでなければ南米の前例のような経済的災害の始まりなのか。明確な点は、ヘリコプターマネーは短期的には福音のような政策だが、繰り返し使う場合、長期的に危険な結果を招きかねないという点だ。さらに深刻な問題は、もしこの秋と冬にさらに強力な新型コロナショックが起きるなら各国政府はどのように対応するかという点だ。もっと大きな規模のヘリコプターでさらに多くのお金をばらまくのだろうか。そうでなければヘリコプターマネーの誘惑を克服できるだろうか。どちらの場合でも新型コロナの衝撃に加え世界経済はいまMMT政策の不確実性というまた別の暗雲に入っている。

キム・ドンウォン/元高麗大学経済学科招聘教授


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