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【社説】513兆ウォンも足りないという深刻な財政中毒=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
「福祉ポピュリズムに対抗してレオニダスが率いた300人の最精鋭戦士のようにテルモピュライの峡谷をしっかりと守らなければいけない」。2011年6月、朴宰完(パク・ジェワン)企画財政部長官が就任のあいさつで述べた言葉だ。当時は欧州財政危機が世界経済に波及し、韓国は翌年に総選挙を控えた状況だった。政界は大幅予算拡張を注文した。朴長官は対抗した。結局、GDPに対する国家債務比率は2011年の30.3%から翌年30.8%へと小幅増加にとどまった。朴長官の所信は韓国が今まで財政健全性を維持している主な理由の一つになった。

今はどうだろうか。洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政部長官は「国家債務比率を40%前後で管理する根拠は何か」という文在寅大統領の一言に屈した。来年度は今年度比9.3%増の513兆5000億ウォン(約48兆円)というスーパー予算を編成した。これをカバーするために来年発行される赤字性国債は60兆ウォンを超える。これでも足りず支出をさらに増やすという。17の国会常任委員会のうち予算案予備審査を終えた8つの委員会だけで8兆2000億ウォンの増額を要求した。

とにかくお金をばらまいてみようという財政中毒症が深刻だ。さらに青瓦台(チョンワデ、大統領府)は錯覚までしているようだ。青瓦台の高ミン廷(コ・ミンジョン)報道官は先日、ラジオ番組に出演し、「倉庫に作物をずっと蓄えておけば腐ってしまうものだ」と語った。国のお金を支出すべきという話だった。しかし韓国は現在のお金でなく借金を増やしている状況だ。昨年681兆ウォンだった国家債務が5年後の2023年には1061兆ウォンになるほど増加ペースが速い。それでも「蓄えたお金を支出すべき」というのは錯覚を越えて無知に近い。


いま韓国経済は危機に向かっている。今年も来年も1%台の成長にとどまるという警告があちこちで出ている。これを克服するにはある程度の拡張財政は避けられない。とはいえ「効率性」という前提がなければいけない。新産業発掘・育成のように成長動力を引き上げる分野、そして短期景気浮揚効果を最大化する項目に集中する必要がある。しかし来年度予算案は効率とは距離がある。効果が疑わしい雇用予算が今年より21%増えた26兆ウォンだ。その多くの部分が所得主導成長の副作用を一時的に処方する対症療法用だ。各種現金散布額は54兆ウォンにのぼる。地域の図書館・体育館を建設する生活SOC予算は10兆4000億ウォンと30%増やした。来年の総選挙を意識したものと考えられる。

お金をばらまくだけで景気は回復しないのではないか心配だ。国家債務が増えて財政余力が落ちれば、ふらつく経済を立て直すのも難しくなる。来年の予算が最大限に効率よく使われなければいけない理由だ。いつよりも厳しい予算案審査が求められる。国会予算決算委員会が「健全財政の番人」という任務を放棄しないことを望む。



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