淑明女子大学日本学科のパク・ジヌ教授[写真 本人提供]
龍谷大学法学部の瀬畑源准教授
2012年安倍第2次政権以降、いわゆる「安倍3原則」が今年の全国戦没者追悼式の式辞でも維持された。
第一、アジアの国民に対する加害に対して反省と哀悼の意向を表明しない。第二、不戦(戦争をしない)の誓いをしない。第三、戦没者の犠牲の上に「平和と繁栄」があるという点に触れながらも、それが日本国民のたゆまぬ努力(天皇のおことばでは毎回登場する言葉)であることには言及しないということだ。
徳仁天皇は「深い反省」を言及することで、明仁上皇が30年間構築した内容を踏襲したとみられる。一見すると世界平和を祈る平和主義を継承しているように見えるかもしれない。しかし、周辺アジア国家2500万人の犠牲に対しては具体的に言及しなかったという点では安倍氏の認識と大きく異ならないと考える。
天皇が述べた「先の大戦」は太平洋戦争または第2次世界大戦を意味するが、それ以前の日中戦争、満州事変など侵略戦争は入っていない。天皇制と過去の戦争は不可分の関係だ。
徳仁天皇の発言は少なくとも10年間を見守りながら、明仁上皇との共通点や差異点を確認しなければならない。
◆龍谷大学法学部の瀬畑源准教授
追悼式の「おことば」で新型コロナウイルス感染症に関してメッセージを入れたのはとても驚いた。これまで、追悼式の際に社会情勢に言及するケースはなく、東日本大震災の時ですら入っていなかった。
災害に対して慰問などを積極的に行ってきた明仁天皇とは異なり、徳仁天皇がコロナ禍の中でなぜ沈黙しているのかとの見方があったのも事実だ。しかし、東日本大震災のような自然災害は「終わり」があるが、新型コロナウイルス感染症は先が見えない状況である。また、大勢の人が集まった時のリスクがあるため、慰問や激励も容易ではなかった。
政府の対策への批判も強い中、政治的行動が認められない「象徴天皇」として、メッセージを出しにくい点もある。なので追悼式の時、短くかつ政治的に問題にならない表現でメッセージを発するという異例の方法を探ったのだと思う。
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