経済関係は緊密だがオーストラリアは政治・外交・軍事的には中国とぎすぎすしている。特に中国が東南アジア諸国と南シナ海で領有権紛争を起こし、これらの島を軍事基地化したことがオーストラリアの神経を逆なでした。
韓国外国語大学国際地域大学院のパク・ジェジョク教授は「オーストラリアは中国が南シナ海の軍事基地を踏み台として武力行使することを恐れている」と話した。1日に『2020年国防戦略更新』と『2020国防構造計画』を公開し、同国のモリソン首相が「わが地域は第2次世界大戦以降最も重要な戦略的再編成過程にある」と話した理由だ。
オーストラリアは香港国家安全法制定過程で中国が香港デモ隊を過激に鎮圧したことに対し反対した。また、新型コロナウイルスの起源に対する調査を中国に要求した。すると中国は経済的圧力を与えるためオーストラリアの輸出品リストを作り関税賦課と非関税障壁を検討することもした。
6月にオーストラリア戦略政策研究所が、中国が海外の中国人地域社会と海外の知識人層に影響力を行使して中国の利益を取りまとめているという報告書を発表すると、中国はすぐ反発した。オーストラリア海軍の軍艦は先月中国が領有権を主張する南シナ海のスプラトリー諸島(中国名・南沙群島)近海で中国軍艦と5回にわたり対峙したとの報道もある。
◇オーストラリアを沸き立たせた中国の3C工作
オーストラリア世論とメディアで反中感情を刺激する事件が最近相次いだ。中国がオーストラリアへの影響力を拡大するために政界と学界に対する工作を行っていたのが露見したのだ。
中国は中豪関係研究所(ACRI)と中国平和統一促進オーストラリア委員会(ACPPRC)という組織を通じ、それぞれ学界と政界を後援した。これらの組織は在豪中国大使館と領事館の指示を受けたものと疑われている。特に不動産開発で大金を稼いだ中国系オーストラリア人の周沢栄と黄向墨が背後にいる。
2016年にオーストラリア国立大学(ANU)が周と黄の寄付金を受けた事実に対しオーストラリア安全保障情報局(ASIO)が調査に着手した。2017年7月に親中派の労働党サム・ダスティヤリ上院議員が中国共産党と関連した中国系企業から政治後援金を受け取り情報を流していた容疑で辞任した。ダスティヤリ議員は普段から南シナ海問題などで中国を擁護する発言をしてきた人物だ。
2018年5月にオーストラリアの高官であるジョン・アッシュ氏が周から高級プレゼントを受け取っていたという暴露が出てきた。昨年11月に中国人民解放軍所属スパイである王立強がオーストラリアに亡命を申請し、「中国情報当局の指示によりオーストラリアでスパイ活動し、指示を受けた命令には暗殺まで含まれていた」と暴露した。
こうした中国の「影響力工作(Influence Operations)」は逆効果を生んだ。ターンブル前オーストラリア首相は中国を名指ししてオーストラリアを対象に「秘密(covert)」「強圧(coercive)」「腐敗(corrupting)」工作をしていると非難した。
◇インド太平洋戦略4人組のオーストラリア
米国が主導するインド太平洋戦略でオーストラリアは重要な役割をしている。オーストラリアは米国の伝統的同盟国だ。そのため米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国情報協力体制であるファイブアイズのひとつがオーストラリアだ。
オーストラリア内陸のパインギャップという所に米国とオーストラリアが共同で建てた大規模モニタリング施設がある。中国が狙う南シナ海と東シナ海をこの施設が担当する。オーストラリア北部ダーウィンのオーストラリア空軍基地に2012年から米海兵の空地任務部隊(MAGTF)2500人が循環配置されている。
オーストラリアは中国の脅威を掲げてインド太平洋戦略に積極的に参加している。先月フィリピン海で米国・日本と海上訓練を行った。今年末にインドが主導する米国、インド、日本の多国籍海上訓練であるマラバールに参加する可能性が高い。
オーストラリアは2017年にこの訓練にオブザーバーとして参観した。インドが中国の反発を懸念し正式招待することはなかった。だが今年は中国と国境武力衝突が起きインドの立場が変わった。マラバールはインド太平洋戦略の4カ国がすべて集まり中国と戦う訓練という事実をそのまま見せる格好だ。
中国はこうしたオーストラリアを相手に留学から貿易まで全方向で圧迫を加えている。しかしオーストラリアはびくともしないでいる。オーストラリアと中国の政治的対立にもかかわらず、上半期のオーストラリアの対中製鉄用石炭輸出は前年同期比67%増の2400万トンだった。このように中国に経済的に依存しているが、中国が買わなくても売るところは多いというのがオーストラリアの論理だ。
パク・ジェジョク教授は「オーストラリアは中国を相手にできるレバレッジを持っているが、米国の肩を持ちインド太平洋戦略をともに追求している」と評価している。
軍事費20兆円投じるオーストラリア…その裏には中国の情報・暗殺工作が(1)
韓国外国語大学国際地域大学院のパク・ジェジョク教授は「オーストラリアは中国が南シナ海の軍事基地を踏み台として武力行使することを恐れている」と話した。1日に『2020年国防戦略更新』と『2020国防構造計画』を公開し、同国のモリソン首相が「わが地域は第2次世界大戦以降最も重要な戦略的再編成過程にある」と話した理由だ。
オーストラリアは香港国家安全法制定過程で中国が香港デモ隊を過激に鎮圧したことに対し反対した。また、新型コロナウイルスの起源に対する調査を中国に要求した。すると中国は経済的圧力を与えるためオーストラリアの輸出品リストを作り関税賦課と非関税障壁を検討することもした。
6月にオーストラリア戦略政策研究所が、中国が海外の中国人地域社会と海外の知識人層に影響力を行使して中国の利益を取りまとめているという報告書を発表すると、中国はすぐ反発した。オーストラリア海軍の軍艦は先月中国が領有権を主張する南シナ海のスプラトリー諸島(中国名・南沙群島)近海で中国軍艦と5回にわたり対峙したとの報道もある。
◇オーストラリアを沸き立たせた中国の3C工作
オーストラリア世論とメディアで反中感情を刺激する事件が最近相次いだ。中国がオーストラリアへの影響力を拡大するために政界と学界に対する工作を行っていたのが露見したのだ。
中国は中豪関係研究所(ACRI)と中国平和統一促進オーストラリア委員会(ACPPRC)という組織を通じ、それぞれ学界と政界を後援した。これらの組織は在豪中国大使館と領事館の指示を受けたものと疑われている。特に不動産開発で大金を稼いだ中国系オーストラリア人の周沢栄と黄向墨が背後にいる。
2016年にオーストラリア国立大学(ANU)が周と黄の寄付金を受けた事実に対しオーストラリア安全保障情報局(ASIO)が調査に着手した。2017年7月に親中派の労働党サム・ダスティヤリ上院議員が中国共産党と関連した中国系企業から政治後援金を受け取り情報を流していた容疑で辞任した。ダスティヤリ議員は普段から南シナ海問題などで中国を擁護する発言をしてきた人物だ。
2018年5月にオーストラリアの高官であるジョン・アッシュ氏が周から高級プレゼントを受け取っていたという暴露が出てきた。昨年11月に中国人民解放軍所属スパイである王立強がオーストラリアに亡命を申請し、「中国情報当局の指示によりオーストラリアでスパイ活動し、指示を受けた命令には暗殺まで含まれていた」と暴露した。
こうした中国の「影響力工作(Influence Operations)」は逆効果を生んだ。ターンブル前オーストラリア首相は中国を名指ししてオーストラリアを対象に「秘密(covert)」「強圧(coercive)」「腐敗(corrupting)」工作をしていると非難した。
◇インド太平洋戦略4人組のオーストラリア
米国が主導するインド太平洋戦略でオーストラリアは重要な役割をしている。オーストラリアは米国の伝統的同盟国だ。そのため米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国情報協力体制であるファイブアイズのひとつがオーストラリアだ。
オーストラリア内陸のパインギャップという所に米国とオーストラリアが共同で建てた大規模モニタリング施設がある。中国が狙う南シナ海と東シナ海をこの施設が担当する。オーストラリア北部ダーウィンのオーストラリア空軍基地に2012年から米海兵の空地任務部隊(MAGTF)2500人が循環配置されている。
オーストラリアは中国の脅威を掲げてインド太平洋戦略に積極的に参加している。先月フィリピン海で米国・日本と海上訓練を行った。今年末にインドが主導する米国、インド、日本の多国籍海上訓練であるマラバールに参加する可能性が高い。
オーストラリアは2017年にこの訓練にオブザーバーとして参観した。インドが中国の反発を懸念し正式招待することはなかった。だが今年は中国と国境武力衝突が起きインドの立場が変わった。マラバールはインド太平洋戦略の4カ国がすべて集まり中国と戦う訓練という事実をそのまま見せる格好だ。
中国はこうしたオーストラリアを相手に留学から貿易まで全方向で圧迫を加えている。しかしオーストラリアはびくともしないでいる。オーストラリアと中国の政治的対立にもかかわらず、上半期のオーストラリアの対中製鉄用石炭輸出は前年同期比67%増の2400万トンだった。このように中国に経済的に依存しているが、中国が買わなくても売るところは多いというのがオーストラリアの論理だ。
パク・ジェジョク教授は「オーストラリアは中国を相手にできるレバレッジを持っているが、米国の肩を持ちインド太平洋戦略をともに追求している」と評価している。
軍事費20兆円投じるオーストラリア…その裏には中国の情報・暗殺工作が(1)
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