李在明(イ・ジェミョン)京畿道(キョンギド)知事
李知事は城南(ソンナム)市長在任当時の2014年、保健所長と精神科専門医に実兄を精神病院に強制入院させるよう指示した疑い(職権乱用権利行使妨害)など、4件の容疑で2018年に起訴された。1審はこれら容疑に対してすべて無罪を言い渡した。しかし2審はこのうち公職選挙法上の虚偽事実公表容疑1件を有罪とし、罰金300万ウォン(約27万円)を言い渡した。2018年の地方選挙直前のテレビ討論会で「保健所長を通じて実兄を精神病院に入院させようとしたのでは」という相手候補の質問に対し、「そのようなことはない」と答えたからだ。
選挙法によると、罰金100万ウォン以上の刑が確定する場合、当選自体が無効処理され、職を喪失することになる。また、その後5年間は被選挙権、すなわち公職に出馬する権利も剥奪される。李知事に対する控訴審の量刑は当選無効刑に該当するだけに、確定すれば李知事は知事職を剥奪されるほか、2022年3月に行われる予定の次期大統領選挙に出馬できなくなる。再起できるかどうかも分からない絶体絶命の危機ということだ。与党・共に民主党の立場でも故朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長に続き、もう一人の有力大統領候補を失う結果となる。
控訴審が無罪とした3件の容疑のうち一部が有罪の趣旨で破棄差し戻しとなるシナリオも李知事の立場では厳しい。知事職はしばらく維持できるが、破棄差し戻し審で当選無効刑を言い渡される可能性がさらに高まる。
一方、無罪の趣旨で破棄差し戻しとなる場合、1審判決(無罪)が確定判決として残る可能性が高まり、大統領選挙街道にも青信号がつく見通しだ。李知事は最近発表されたハンギルリサーチの次期大統領候補支持率調査で直前より5.5%ポイント上昇した20%の支持率で2位に浮上した。直前より4.5ポイント下落した李洛淵(イ・ナギョン)前首相(28.8%)との差も縮まった。
最近、裁判所は選挙法違反事件について「お金は縛って口は解く」と要約できる判決を一貫して出している。不正資金関連事案には厳しいが、発言を通じた選挙運動および政治的表現の自由は過去より広く保障するという趣旨だ。このため大法院が李知事の討論会の発言を誹謗防御用「政治的表現の自由」と見るのか、虚偽事実で有権者を混乱させた行為と見るかが重要な争点となる見通しだ。
1審は「討論会の特性上、質問と答弁が明確でないだけに、虚偽かどうかは状況によって評価が異なることもある」と見なしたが、2審は「李知事が実兄関連の事実を隠して有権者の公正な判断を誤らせた」と判断した。
大法院は4月から最高裁裁判官4人で構成された小部でこの事件を扱ったが、合意に至らなかったため、先月、事件を全員合議体に回付した。李知事に対する大法院の宣告は16日午後2時、テレビと大法院ユーチューブチャンネルで生中継される。
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