米ワシントンの代表的なタカ派、ジョン・ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当、2018年4月-19年9月在職)の回顧録の波紋がソウルにまで広がった。ボルトン氏の回顧録(『それが起きた部屋:ホワイトハウス回顧録』)は23日(現地時間)出版予定だが、メディアを通じて内容が公開された。
中央日報が確認した回顧録の韓半島(朝鮮半島)関連の部分によると、ボルトン氏はトランプ米大統領だけでなく、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長など韓国に対しても辛らつに批判した。回顧録には文大統領を表す「Moon」が計153回も登場する。その間の韓国政府の説明とボルトン氏の主張を比較した。
◆金正恩委員長、「先に非核化」同意したのか
ボルトン氏は、2018年5月4日に鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長がホワイトハウスを訪問し、4・27板門店(パンムンジョム)会談の結果をより詳しく説明したと伝え、「北の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が『完全かつ検証可能で、不可逆的(CVID)』な非核化に同意するよう我々が金委員長を強く説得した」と発言した、と明らかにした。続いて「文大統領が(金正恩委員長に) 『トランプ大統領とビッグディールをすべきだ。詳しいことは実務交渉で議論しなければいけないが、非核化後の恩恵は非核化が完成した後に受けることになるはず』と説明した」とし「『金正恩委員長はこれらすべてを理解した』とも話した」と伝えた。
韓国側が「米国が意味する非核化(CVID)」を金委員長に伝え、金委員長はこれを受け入れる意思があると説明した、という主張だ。続いて鄭室長は「文大統領がこの問題をトランプ大統領と金委員長が会う前に相談することを望んでいる」とし、ボルトン氏はこれに「完全に同意する」とし、5月下旬の韓米首脳会談を計画したと書かれている。しかし最初の米朝首脳会談の翌月の2018年7月、シンガポール合意履行のために訪朝したポンペオ国務長官に対し、当時の金英哲(キム・ヨンチョル)党統一戦線部長は「北朝鮮の体制の保障が先にあるべきで、検証は非核化の前ではなく後になる」と説明したという。
▼ファクトチェック=完全な非核化の意味や時期を米朝間で伝達したかについて、青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)が公開的に説明したことはない。ただ、2018年3-4月の対話序盤に鄭室長は平壌(ピョンヤン)を特使として訪問した後、すぐに訪米し、「金委員長は完全な非核化をする意思がある」と明らかにしている。「完全な非核化」の意味は板門店宣言(4・27)やシンガポール宣言(6・12)でもあいまいに言及され、これは韓米朝の間で同床異夢の解釈を招いたた決定的な部分に挙げられる。
◆北朝鮮「寧辺ビッグディール」提案の背後に韓国?
昨年2月27、28日の「ハノイノーディール」以降の青瓦台の状況認識について、ボルトン氏は批判的に描写している。回顧録によると、鄭室長はボルトン氏との電話で「金委員長がハノイに『プランB』なく、一つの戦略だけを持ってきたのは驚く」としながらも「米国側が北の『行動対行動』を拒否したのは正しいが、寧辺(ヨンビョン)核廃棄は北が非核化の不可逆的段階に入る最初の段階として非常に意味がある」と述べたという。ボルトン氏は、北朝鮮の「行動対行動」案を拒否しながらも「寧辺廃棄」案を受け入れるのは「文大統領の統合失調症患者のような考え(Schizophrenic idea)」と激しく非難した。「文大統領が中国の『同時的・併行的接近』を受け入れたことほど話にならない(nonsense)」と表現した。
▼ファクトチェック=韓国政府がハノイ会談前に寧辺核施設の廃棄を強調したのは事実だ。康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は2018年10月、ワシントンポスト(WP)のインタビューで「北が寧辺核施設を永久に解体すれば、これは北核プログラムの非常に大きな部分」とし「米国は終戦宣言のような相応措置を取ることができると考える」と述べた。文大統領も昨年6月のインタビューで「意味のある非核化の段階は寧辺廃棄」と述べた。ただ、これが北朝鮮がハノイに「寧辺プラン」だけ持ってくる背景になったかどうかについて韓国政府は確認していない。
◆文大統領だけが終戦宣言を主張したのか
ボルトン氏は今まで米朝交渉は「韓国政府の統一議題を貫徹するための外交的ファンダンゴ(スペインの男女ペアで踊るダンス)」と低く評価し、その証拠として終戦宣言問題を挙げた。ボルトン氏は「シンガポール首脳会談を控えて、5月22日に鄭室長が終戦宣言を提案してきた」とし「最初はこれを北朝鮮の構想と考えたが、後に文大統領の統一議題を支持するものだという疑心を抱いた」と回顧録に書いている。
ボルトン氏は南北対話、米朝対話の最初のボタンだった2018年2月の平昌(ピョンチャン)オリンピック(五輪)当時から韓国政府の真意を疑った。「文大統領の国内政治的目的のために米国の制裁対象である金与正(キム・ヨジョン)氏を含む北朝鮮の高官級を出席させることに総力を挙げている」「北側の平昌参加費用はオリンピック精神に基づくものでなく、韓国が全額負担したことが分かった」としながらだ。ボルトン氏は「韓国の左派が崇拝する太陽政策は北朝鮮によい対応をして朝鮮半島の平和をもたらすというものだが、北朝鮮の独裁体制に資金を出すことに帰結する」と指摘した。
▼ファクトチェック=国内情報筋の話を総合すると、ハノイ会談で最終署名は不発に終わったが、米朝首脳宣言文に終戦宣言とみることができる部分が含まれている。韓国政府が終戦宣言に注力したもの事実だ。板門店宣言にこれと似た内容があり、文大統領が昨年6月30日の板門店会談後の最初の国務会議で「文書上署名したわけではないが、(米朝)両国が事実上、敵対関係の終息を宣言した」と評価した。
中央日報が確認した回顧録の韓半島(朝鮮半島)関連の部分によると、ボルトン氏はトランプ米大統領だけでなく、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長など韓国に対しても辛らつに批判した。回顧録には文大統領を表す「Moon」が計153回も登場する。その間の韓国政府の説明とボルトン氏の主張を比較した。
◆金正恩委員長、「先に非核化」同意したのか
ボルトン氏は、2018年5月4日に鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長がホワイトハウスを訪問し、4・27板門店(パンムンジョム)会談の結果をより詳しく説明したと伝え、「北の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が『完全かつ検証可能で、不可逆的(CVID)』な非核化に同意するよう我々が金委員長を強く説得した」と発言した、と明らかにした。続いて「文大統領が(金正恩委員長に) 『トランプ大統領とビッグディールをすべきだ。詳しいことは実務交渉で議論しなければいけないが、非核化後の恩恵は非核化が完成した後に受けることになるはず』と説明した」とし「『金正恩委員長はこれらすべてを理解した』とも話した」と伝えた。
韓国側が「米国が意味する非核化(CVID)」を金委員長に伝え、金委員長はこれを受け入れる意思があると説明した、という主張だ。続いて鄭室長は「文大統領がこの問題をトランプ大統領と金委員長が会う前に相談することを望んでいる」とし、ボルトン氏はこれに「完全に同意する」とし、5月下旬の韓米首脳会談を計画したと書かれている。しかし最初の米朝首脳会談の翌月の2018年7月、シンガポール合意履行のために訪朝したポンペオ国務長官に対し、当時の金英哲(キム・ヨンチョル)党統一戦線部長は「北朝鮮の体制の保障が先にあるべきで、検証は非核化の前ではなく後になる」と説明したという。
▼ファクトチェック=完全な非核化の意味や時期を米朝間で伝達したかについて、青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)が公開的に説明したことはない。ただ、2018年3-4月の対話序盤に鄭室長は平壌(ピョンヤン)を特使として訪問した後、すぐに訪米し、「金委員長は完全な非核化をする意思がある」と明らかにしている。「完全な非核化」の意味は板門店宣言(4・27)やシンガポール宣言(6・12)でもあいまいに言及され、これは韓米朝の間で同床異夢の解釈を招いたた決定的な部分に挙げられる。
◆北朝鮮「寧辺ビッグディール」提案の背後に韓国?
昨年2月27、28日の「ハノイノーディール」以降の青瓦台の状況認識について、ボルトン氏は批判的に描写している。回顧録によると、鄭室長はボルトン氏との電話で「金委員長がハノイに『プランB』なく、一つの戦略だけを持ってきたのは驚く」としながらも「米国側が北の『行動対行動』を拒否したのは正しいが、寧辺(ヨンビョン)核廃棄は北が非核化の不可逆的段階に入る最初の段階として非常に意味がある」と述べたという。ボルトン氏は、北朝鮮の「行動対行動」案を拒否しながらも「寧辺廃棄」案を受け入れるのは「文大統領の統合失調症患者のような考え(Schizophrenic idea)」と激しく非難した。「文大統領が中国の『同時的・併行的接近』を受け入れたことほど話にならない(nonsense)」と表現した。
▼ファクトチェック=韓国政府がハノイ会談前に寧辺核施設の廃棄を強調したのは事実だ。康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は2018年10月、ワシントンポスト(WP)のインタビューで「北が寧辺核施設を永久に解体すれば、これは北核プログラムの非常に大きな部分」とし「米国は終戦宣言のような相応措置を取ることができると考える」と述べた。文大統領も昨年6月のインタビューで「意味のある非核化の段階は寧辺廃棄」と述べた。ただ、これが北朝鮮がハノイに「寧辺プラン」だけ持ってくる背景になったかどうかについて韓国政府は確認していない。
◆文大統領だけが終戦宣言を主張したのか
ボルトン氏は今まで米朝交渉は「韓国政府の統一議題を貫徹するための外交的ファンダンゴ(スペインの男女ペアで踊るダンス)」と低く評価し、その証拠として終戦宣言問題を挙げた。ボルトン氏は「シンガポール首脳会談を控えて、5月22日に鄭室長が終戦宣言を提案してきた」とし「最初はこれを北朝鮮の構想と考えたが、後に文大統領の統一議題を支持するものだという疑心を抱いた」と回顧録に書いている。
ボルトン氏は南北対話、米朝対話の最初のボタンだった2018年2月の平昌(ピョンチャン)オリンピック(五輪)当時から韓国政府の真意を疑った。「文大統領の国内政治的目的のために米国の制裁対象である金与正(キム・ヨジョン)氏を含む北朝鮮の高官級を出席させることに総力を挙げている」「北側の平昌参加費用はオリンピック精神に基づくものでなく、韓国が全額負担したことが分かった」としながらだ。ボルトン氏は「韓国の左派が崇拝する太陽政策は北朝鮮によい対応をして朝鮮半島の平和をもたらすというものだが、北朝鮮の独裁体制に資金を出すことに帰結する」と指摘した。
▼ファクトチェック=国内情報筋の話を総合すると、ハノイ会談で最終署名は不発に終わったが、米朝首脳宣言文に終戦宣言とみることができる部分が含まれている。韓国政府が終戦宣言に注力したもの事実だ。板門店宣言にこれと似た内容があり、文大統領が昨年6月30日の板門店会談後の最初の国務会議で「文書上署名したわけではないが、(米朝)両国が事実上、敵対関係の終息を宣言した」と評価した。
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