北朝鮮の対南脅迫が度を超え、しかもそのレベルもかなり高まっている。今月4日、金与正(キム・ヨジョン)労働党第1副部長が「くず」「X犬」のような、口にすることもはばかられるような罵声を浴びせながら脱北団体のビラ散布を阻止しろと韓国政府に要求する談話でだ。その翌日には北朝鮮統一戦線部が「敵はやはり敵だ。行くところまで行ってみよう」とし「南北共同連絡事務所を断じて撤廃する」とすごんだ。韓国統一部は与正氏の談話の発表4時間半後に緊急ブリーフィングを開いて「ビラ散布禁止法案を検討中」と発表した。時を合わせるようにして青瓦台(チョンワデ、大統領府)も「ビラは百害無益」という発言を出した。国内の批判世論を覚悟しながらも、北朝鮮の不満をなだめるために迅速に動いた。
ところが北朝鮮の対南攻勢はさらに激しくなった。北朝鮮の宣伝メディア「わが民族同士」は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「好循環関係」主張を具体的に取り上げて「無知と無能の極限状態」「月の国でしか通じない月の国のたわごと」とこき下ろした。宣伝メディア「こだま」も文政府を「史上最悪の無知無能政権」と非難した。このような賊反荷杖(居直り)式のごり押し形態を総合してみると、ビラはただの言い訳で、何かもっと複雑な意図が根底にあるのではないかとも考えることができる。脱北団体のビラ散布にいくら怒ったとしても、南北首脳が共同追認した南北軍事合意と南北連絡事務所を「なかったこと」にすると脅迫する理由に挙げるには事案の重みが釣り合わないためだ。
このため北朝鮮が置かれている対内外情勢に注目するほかない。北朝鮮は今年に入って中国向けの輸出入規模が前年比90%も急減し、北朝鮮経済の血管である市場が大きく萎縮した中で外貨保有額も枯渇する兆しだ。しかし、ドナルド・トランプ米大統領政府は大統領選挙とコロナに人種葛藤事態まで重なり、北朝鮮との対話に関心を持つ余裕がない。したがって北朝鮮は内部結束を通じて体制危機を解消し、米国の関心を引いて米朝膠着状態を打開するという下心で「対南・対米攻勢」に始動をかけたのだろうという見方が説得力を持つ。
すでに先月24日、金正恩(キム・ジョンウン)委員長主宰で開いた労働党中央軍事委員会が「核戦争抑制力を一層強化する新たな方針が提示された」とし、しばらく自制してきた「核カード」を取り出したこともこれを後押ししている。今後、北朝鮮は大陸間弾道弾(ICBM)の発射と核実験の可能性を流したり、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射体系を備えた3000トン級潜水艦開発に拍車を加えたりして米国を圧迫する可能性がある。休戦ライン一帯での低強度軍事挑発を強行し、韓国側の意志を試そうとする懸念も出ているだけに、政府と軍は備えに万全を期さなければならない。
北朝鮮としては前例のない危機感の中で、局面に揺さぶりをかけてこそ突破口が開けるという意図だが、得より損が大きくならざるをえない。何よりも北朝鮮が挑発すれば国際社会の制裁網はより一層細かく、そして厚くなるだけだ。唯一、北朝鮮の味方をしてきた中国でさえ、米中葛藤の激化で地域内の安定が切実となっている。北朝鮮の挑発には強硬な姿勢を取るほかはない。北朝鮮の挑発は米国人の反北朝鮮感情も悪化させ、11月大統領選挙で対話派のトランプ氏ではなく、タカ派のジョー・バイデン民主党候補が有利になる可能性が高まる。韓国でも反北朝鮮感情が高まり、南北協力に積極的な文在寅(ムン・ジェイン)政府の肩から力が抜けるほかはない。北朝鮮は非核化の他には方法がないということに気づき、交渉テーブルに直ちに復帰するのが賢明な手順だ。
ところが北朝鮮の対南攻勢はさらに激しくなった。北朝鮮の宣伝メディア「わが民族同士」は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「好循環関係」主張を具体的に取り上げて「無知と無能の極限状態」「月の国でしか通じない月の国のたわごと」とこき下ろした。宣伝メディア「こだま」も文政府を「史上最悪の無知無能政権」と非難した。このような賊反荷杖(居直り)式のごり押し形態を総合してみると、ビラはただの言い訳で、何かもっと複雑な意図が根底にあるのではないかとも考えることができる。脱北団体のビラ散布にいくら怒ったとしても、南北首脳が共同追認した南北軍事合意と南北連絡事務所を「なかったこと」にすると脅迫する理由に挙げるには事案の重みが釣り合わないためだ。
このため北朝鮮が置かれている対内外情勢に注目するほかない。北朝鮮は今年に入って中国向けの輸出入規模が前年比90%も急減し、北朝鮮経済の血管である市場が大きく萎縮した中で外貨保有額も枯渇する兆しだ。しかし、ドナルド・トランプ米大統領政府は大統領選挙とコロナに人種葛藤事態まで重なり、北朝鮮との対話に関心を持つ余裕がない。したがって北朝鮮は内部結束を通じて体制危機を解消し、米国の関心を引いて米朝膠着状態を打開するという下心で「対南・対米攻勢」に始動をかけたのだろうという見方が説得力を持つ。
すでに先月24日、金正恩(キム・ジョンウン)委員長主宰で開いた労働党中央軍事委員会が「核戦争抑制力を一層強化する新たな方針が提示された」とし、しばらく自制してきた「核カード」を取り出したこともこれを後押ししている。今後、北朝鮮は大陸間弾道弾(ICBM)の発射と核実験の可能性を流したり、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射体系を備えた3000トン級潜水艦開発に拍車を加えたりして米国を圧迫する可能性がある。休戦ライン一帯での低強度軍事挑発を強行し、韓国側の意志を試そうとする懸念も出ているだけに、政府と軍は備えに万全を期さなければならない。
北朝鮮としては前例のない危機感の中で、局面に揺さぶりをかけてこそ突破口が開けるという意図だが、得より損が大きくならざるをえない。何よりも北朝鮮が挑発すれば国際社会の制裁網はより一層細かく、そして厚くなるだけだ。唯一、北朝鮮の味方をしてきた中国でさえ、米中葛藤の激化で地域内の安定が切実となっている。北朝鮮の挑発には強硬な姿勢を取るほかはない。北朝鮮の挑発は米国人の反北朝鮮感情も悪化させ、11月大統領選挙で対話派のトランプ氏ではなく、タカ派のジョー・バイデン民主党候補が有利になる可能性が高まる。韓国でも反北朝鮮感情が高まり、南北協力に積極的な文在寅(ムン・ジェイン)政府の肩から力が抜けるほかはない。北朝鮮は非核化の他には方法がないということに気づき、交渉テーブルに直ちに復帰するのが賢明な手順だ。
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