北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の妹であり報道官格である金与正(キム・ヨジョン)労働党第1副部長が4日、脱北民団体のビラ散布に強い不快感を表わし、南北軍事合意破棄の可能性をちらつかせた。すると韓国統一部は緊急記者会見を自ら要望して「ビラ散布中断法律案を準備している」と明らかにした。続いて青瓦台(チョンワデ、大統領府)関係者も「ビラは百害無益な行為」とし「安保に危害を加える行為には政府が断固として対応していくだろう」と話した。
南北関係改善が望ましいのは確かだが、主権国家として守るべき最低限のラインはあるものだ。ビラ散布は韓国の憲法が保障している「表現の自由」に直結する権利だ。南北対話や境界隣接地域の国民の安全に負担になる場合があるが、あくまでも韓国政府と国民の自律的決定に任せる事案だ。ところがこの重要な懸案を政府は北朝鮮ナンバー2が談話を発表してから4時間半で、事実上、そのまま受け入れる行動を取った。北朝鮮に対する低姿勢を超えて「屈従」と批判を受けても行き過ぎではないようにみえる。
韓国政府は、金与正氏の要求を聞き入れれば行き詰まっている南北関係に風穴を開けることができると判断したのかもしれない。しかし、北朝鮮が南側に望むのは経済支援、すなわち金が核心だ。米国主導の北朝鮮制裁網を一寸迂回するのも難しい政府が北朝鮮のそのような要求を聞き入れる方法は事実上ない。このような状況でビラ散布禁止立法を推進すれば北朝鮮政策のカードを失うだけでなく、同時に違憲論争を自ら招くだけだ。
北朝鮮は昨年11月、南北境界隣接地である昌麟島(チャンリンド)から海岸砲を放ち、最近では南側監視哨所(GP)に銃撃を加えるなど、暇さえあれば9・19軍事合意を違反してきた。そうしながら自分たちが必要な時だけ軍事合意の遵守を要求するとは、賊反荷杖(開き直り)にも程がある。韓国政府も抗議を一言二言、短くするだけで、北朝鮮の合意違反を、事実上、黙認してきた。そのような政府がビラ散布を法によって根本から封鎖する場合、北朝鮮権力に対する行き過ぎた過恭という評価を受けるのは当然ではないだろうか。
ビラは保守政府でもジレンマだった。朴槿恵(パク・クネ)政府時期の2014年、北朝鮮は脱北民団体が飛ばしたビラ風船に向かって高射銃10余発を発射した。不安が大きくなると、韓国政府は警察力を動員してビラ散布を制止し、脱北民団体に会って自粛を要請する形で対応した。これに反発した脱北民団体が国家を相手に損害賠償訴訟を起こすと、裁判所は原告敗訴の判決を下しながらも「ビラ散布は表現の自由の実現のためのもので、原則的には制止できない」とした。憲法上の権利は守られるべきだという判決だった。そのため政府はビラ散布をやむをえず制限しなければならない状況でも警察執務執行法など現行法規を通じて自粛させることが望ましい。
南北関係改善が望ましいのは確かだが、主権国家として守るべき最低限のラインはあるものだ。ビラ散布は韓国の憲法が保障している「表現の自由」に直結する権利だ。南北対話や境界隣接地域の国民の安全に負担になる場合があるが、あくまでも韓国政府と国民の自律的決定に任せる事案だ。ところがこの重要な懸案を政府は北朝鮮ナンバー2が談話を発表してから4時間半で、事実上、そのまま受け入れる行動を取った。北朝鮮に対する低姿勢を超えて「屈従」と批判を受けても行き過ぎではないようにみえる。
韓国政府は、金与正氏の要求を聞き入れれば行き詰まっている南北関係に風穴を開けることができると判断したのかもしれない。しかし、北朝鮮が南側に望むのは経済支援、すなわち金が核心だ。米国主導の北朝鮮制裁網を一寸迂回するのも難しい政府が北朝鮮のそのような要求を聞き入れる方法は事実上ない。このような状況でビラ散布禁止立法を推進すれば北朝鮮政策のカードを失うだけでなく、同時に違憲論争を自ら招くだけだ。
北朝鮮は昨年11月、南北境界隣接地である昌麟島(チャンリンド)から海岸砲を放ち、最近では南側監視哨所(GP)に銃撃を加えるなど、暇さえあれば9・19軍事合意を違反してきた。そうしながら自分たちが必要な時だけ軍事合意の遵守を要求するとは、賊反荷杖(開き直り)にも程がある。韓国政府も抗議を一言二言、短くするだけで、北朝鮮の合意違反を、事実上、黙認してきた。そのような政府がビラ散布を法によって根本から封鎖する場合、北朝鮮権力に対する行き過ぎた過恭という評価を受けるのは当然ではないだろうか。
ビラは保守政府でもジレンマだった。朴槿恵(パク・クネ)政府時期の2014年、北朝鮮は脱北民団体が飛ばしたビラ風船に向かって高射銃10余発を発射した。不安が大きくなると、韓国政府は警察力を動員してビラ散布を制止し、脱北民団体に会って自粛を要請する形で対応した。これに反発した脱北民団体が国家を相手に損害賠償訴訟を起こすと、裁判所は原告敗訴の判決を下しながらも「ビラ散布は表現の自由の実現のためのもので、原則的には制止できない」とした。憲法上の権利は守られるべきだという判決だった。そのため政府はビラ散布をやむをえず制限しなければならない状況でも警察執務執行法など現行法規を通じて自粛させることが望ましい。
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