韓国・日本の間でまた資源・外交・経済をめぐる駆け引きが表れている。今回は済州(チェジュ)東南側の海域「第7鉱区」であり、1970-80年代に国民に産油国の夢を抱かせたところだ。
構図は「動こうとする韓国と微動だにしない日本」だ。韓国は約20年ぶりに第7鉱区原油・ガス開発に向けた動きを見せている。韓国政府は今年1月、韓国石油公社を「租鉱権者」に指定した。租鉱権とは各種エネルギー・鉱物資源を探査・採掘する権利だ。しかし租鉱権を得たからといって第7鉱区で原油・ガス探査をすぐに始めることはできない。第7鉱区は「韓日共同開発区域」だからだ。
◆「日本は答えずに時間稼ぐ可能性も」
韓国外交部は今年2月、手続きに基づいて「石油公社が租鉱権を得た」と日本に通知した。事実上「第7鉱区を共に開発する日本側の租鉱権者を決めてほしい」という要請だ。協力を議論するため「韓日共同委員会を開こう」とも提案した。しかし日本側はまだ明確な返答をしていない。外交部は「韓日関係当局間で議論が行われている」とだけ伝えた。「新型コロナウイルス感染症などのため進展は速くない」とも話した。
韓国海洋水産開発院のチェ・ジヒョク専門研究員は「日本は容易には答えず、時間を稼ぐはず」という見方を示した。実際、2009年にも韓国は第7鉱区共同開発を日本側に要請したが、日本が返答を避けてうやむやになった。こうした日本の態度と戦略の裏には、自国の資源開発利益を最大化しようとする狙いがある。
第7鉱区が注目されたのは60年代後半からだ。68年に米国海軍海洋研究所が西海(ソヘ、黄海)と南海大陸棚地域を探査した。結果は「韓国の大陸棚に石油・ガスが存在する可能性が高い」という「エメリー報告書」だった。朴正熙(パク・ジョンヒ)政権はすぐに開発のための鉱区7カ所を設定した。このうち第7鉱区が摩擦を起こした。日本からも近く、日本が開発権を主張した。
韓国には武器があった。当時は「陸地から続く水深200メートル以下の大陸棚は該当国が各種管轄権を持つ」というのが国際慣例だった。いわゆる「大陸延長論」だ。これによると、第7鉱区は韓国に権限がある。韓国からは大陸棚がつながっているが、日本は海の中間に溝があり断絶している。
しかし70年代には韓国は海底原油・ガスを開発する資金も技術もなかった。結局、韓日両国は第7鉱区をめぐり「韓日大陸棚共同開発協定」を結んだ。共に開発して収益も分け合うという内容だ。協定は78年に発効した。2028年まで50年間有効だ。
協定の発効直後、第7鉱区では探査とボーリングが始まった。韓国は米国企業、日本は自国企業に作業を任せた。87年まで7つのボーリング孔を開けたが、収穫はなかった。その後は開発が進まなかった。再び火がついたのは2000年に入ってからだった。第7鉱区付近で中国が原油・ガスを発見したのがきっかけだった。韓国と日本は共同で地質調査(弾性波探査)を実施した。
探査の結果をめぐり解釈が分かれた。少なくとも5カ所ほど可能性が高い場所があるという意見では両国が一致した。しかし日本は「経済性がない」と判断した。2009年に韓国が提起した共同開発要請にも沈黙した。
そして今年、韓国がまた動いた。可能性が高いと判断した。第7鉱区の第4小区付近で中国が原油・ガスを採掘している。政府が年初、石油公社に第2・4小区の租鉱権を与えた理由の一つだ。また、海底石油・ガス開発技術が発達し、現在は過去に比べて経済性が高まった。
韓国政府にはこうした可能性や経済性よりも重要な事情がある。何もしなければ第7鉱区の資源の大部分を日本が握る可能性があるという点だ。国際慣例と国際法が変わったのが問題だ。80年代初期までは「陸地と大陸棚が続いた国」が有利だった。過去に朴正熙政権が第7鉱区に対する権利を主張した強力な根拠だ。それが80年代半ばに入って単純に領土からどれほどの距離かを問う方向に変わった。海上に両国の領土から同じ距離にある線(中間線)を引いて海を分ける方式だ。この場合、日本が第7鉱区の大部分に対して資源を開発・占有する権限を持つことになる。
実際の事例もある。オーストラリアと東ティモールの間の「ティモール海条約」だ。当初、オーストラリアと東ティモールは大陸棚の延長を基盤に過去の方式で条約を締結し、ティモール海の油田を共同開発した。しかし2018年に中間線を基準に国連が調整し、開発権はすべて東ティモール側に移った。
第7鉱区でも同じことが起こらないとは限らない。もちろん従来の協定は2028年まで有効だ。しかしその後は中間線を基準に領域を再設定することが有力視される。この場合、開発権はほとんど日本側が握る。今回の韓国側の共同開発要請に日本が応じず、共同開発協定が満了するまで時間を稼ぐだろうと予想される背景だ。
【コラム】資源開発めぐり動かない日本と駆け引き…韓国、第7鉱区の夢は?(2)
構図は「動こうとする韓国と微動だにしない日本」だ。韓国は約20年ぶりに第7鉱区原油・ガス開発に向けた動きを見せている。韓国政府は今年1月、韓国石油公社を「租鉱権者」に指定した。租鉱権とは各種エネルギー・鉱物資源を探査・採掘する権利だ。しかし租鉱権を得たからといって第7鉱区で原油・ガス探査をすぐに始めることはできない。第7鉱区は「韓日共同開発区域」だからだ。
◆「日本は答えずに時間稼ぐ可能性も」
韓国外交部は今年2月、手続きに基づいて「石油公社が租鉱権を得た」と日本に通知した。事実上「第7鉱区を共に開発する日本側の租鉱権者を決めてほしい」という要請だ。協力を議論するため「韓日共同委員会を開こう」とも提案した。しかし日本側はまだ明確な返答をしていない。外交部は「韓日関係当局間で議論が行われている」とだけ伝えた。「新型コロナウイルス感染症などのため進展は速くない」とも話した。
韓国海洋水産開発院のチェ・ジヒョク専門研究員は「日本は容易には答えず、時間を稼ぐはず」という見方を示した。実際、2009年にも韓国は第7鉱区共同開発を日本側に要請したが、日本が返答を避けてうやむやになった。こうした日本の態度と戦略の裏には、自国の資源開発利益を最大化しようとする狙いがある。
第7鉱区が注目されたのは60年代後半からだ。68年に米国海軍海洋研究所が西海(ソヘ、黄海)と南海大陸棚地域を探査した。結果は「韓国の大陸棚に石油・ガスが存在する可能性が高い」という「エメリー報告書」だった。朴正熙(パク・ジョンヒ)政権はすぐに開発のための鉱区7カ所を設定した。このうち第7鉱区が摩擦を起こした。日本からも近く、日本が開発権を主張した。
韓国には武器があった。当時は「陸地から続く水深200メートル以下の大陸棚は該当国が各種管轄権を持つ」というのが国際慣例だった。いわゆる「大陸延長論」だ。これによると、第7鉱区は韓国に権限がある。韓国からは大陸棚がつながっているが、日本は海の中間に溝があり断絶している。
しかし70年代には韓国は海底原油・ガスを開発する資金も技術もなかった。結局、韓日両国は第7鉱区をめぐり「韓日大陸棚共同開発協定」を結んだ。共に開発して収益も分け合うという内容だ。協定は78年に発効した。2028年まで50年間有効だ。
協定の発効直後、第7鉱区では探査とボーリングが始まった。韓国は米国企業、日本は自国企業に作業を任せた。87年まで7つのボーリング孔を開けたが、収穫はなかった。その後は開発が進まなかった。再び火がついたのは2000年に入ってからだった。第7鉱区付近で中国が原油・ガスを発見したのがきっかけだった。韓国と日本は共同で地質調査(弾性波探査)を実施した。
探査の結果をめぐり解釈が分かれた。少なくとも5カ所ほど可能性が高い場所があるという意見では両国が一致した。しかし日本は「経済性がない」と判断した。2009年に韓国が提起した共同開発要請にも沈黙した。
そして今年、韓国がまた動いた。可能性が高いと判断した。第7鉱区の第4小区付近で中国が原油・ガスを採掘している。政府が年初、石油公社に第2・4小区の租鉱権を与えた理由の一つだ。また、海底石油・ガス開発技術が発達し、現在は過去に比べて経済性が高まった。
韓国政府にはこうした可能性や経済性よりも重要な事情がある。何もしなければ第7鉱区の資源の大部分を日本が握る可能性があるという点だ。国際慣例と国際法が変わったのが問題だ。80年代初期までは「陸地と大陸棚が続いた国」が有利だった。過去に朴正熙政権が第7鉱区に対する権利を主張した強力な根拠だ。それが80年代半ばに入って単純に領土からどれほどの距離かを問う方向に変わった。海上に両国の領土から同じ距離にある線(中間線)を引いて海を分ける方式だ。この場合、日本が第7鉱区の大部分に対して資源を開発・占有する権限を持つことになる。
実際の事例もある。オーストラリアと東ティモールの間の「ティモール海条約」だ。当初、オーストラリアと東ティモールは大陸棚の延長を基盤に過去の方式で条約を締結し、ティモール海の油田を共同開発した。しかし2018年に中間線を基準に国連が調整し、開発権はすべて東ティモール側に移った。
第7鉱区でも同じことが起こらないとは限らない。もちろん従来の協定は2028年まで有効だ。しかしその後は中間線を基準に領域を再設定することが有力視される。この場合、開発権はほとんど日本側が握る。今回の韓国側の共同開発要請に日本が応じず、共同開発協定が満了するまで時間を稼ぐだろうと予想される背景だ。
【コラム】資源開発めぐり動かない日本と駆け引き…韓国、第7鉱区の夢は?(2)
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